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雨が降り出すときは、暗い雨雲や湿った風など、たいてい兆候を感じるもの。これからの区間、難所の続くような場所では、行動前に天候を判断することも大切です。
いざ強い雨に遭ったら、いったん行動を中断して雨具を着用し、体をぬらさないことが大切です。雨に濡れると体温をうばわれかねませんので、雨具を着て体を冷やさないように。持っていればザックカバーを装着し、着替えなどの荷物も濡らさないようにしましょう。
防寒対策をしたら、今後の行動を考えます。近くの山小屋に行って様子を見る、コースを短縮してエスケープルートを下山する、往路を引き返すなど、現在地や天気の先行きによって判断はさまざまですが、無理をぜず安全を確保するすることが第一です。
山で遭遇する雷は非常に危険なもの。山での落雷による事故例は少なくありません。
落雷に遭いやすい稜線や高原で雷鳴を聞いたら、20~30分以内には頭上に雷雲が来ると予測できます。
もちろん雷の発生時には積乱雲などの兆候があり、観天望気によって雷を予測し、早くから山小屋に待機して様子を見たり、予定を切り上げて下山を開始する、といった対策も可能です。
しかし、思いがけず雷鳴を聞き、近くに避難できる山小屋もないという状況では、わずかな時間に対処しなければなりません。
基本的に雷は高い場所に落ちるので、できるだけ低い場所、稜線なら鞍部や窪地のような地形に退避し、しゃがんで雷をやり過ごします。
そして大きな雷鳴が去ったら、山小屋へ移動したり、比較的安全な樹林帯へと下山する、という対処になります。
雷については、こうすれば絶対に安全というものはなく、かなり緊迫した状況での応急的な対処といえます。本来は、つねに天候の変化に気を配り、早くから判断して行動に結びつけていくことが大切です。
テレビやラジオの天気予報の情報でも「今日は午後から雷があるかもしれない」という最低限の予測と心構えは可能です。山歩きを始めたら天気に敏感になる――、危険回避だけでなく、好天の山を楽しむ秘訣でもあります。
高山病(高度障害)は、気圧と酸素濃度の低下に体が適応できずに起こるもので、頭痛やめまい、吐き気などの症状が表れます。ヒマラヤなどの高峰や高地で起こるものばかりではなく、日本の山でも標高2500~3000m以上でこうした症状を自覚することがあります。
高山病にかかると、登り続ける限り、症状が緩和に向かうことはありません。下山することが唯一に近い対処法で、たいていの場合、高度にして500mほど下山すると、だいぶ楽になります。
高山病を防ぐには、無理のない行程を組むことが第一。標高差の大きいコースは、一気に登らず、適度に休憩をはさみながらゆっくりと登ります。休憩時には腹式呼吸での深い呼吸を意識し、行動中は、水分をよく補給し、トイレをがまんしないこともポイントです。
寒さに寄る身震い(シバーリング)は低体温症の初期症状。濡れた身体が強風や寒さで体温が奪われ、激しく疲労してエネルギー補給が追いつかないと、低体温症になり、疲労凍死に陥ることがある。
体力を過信した無理な行動、天候急変や悪天候時の無理な行動では、夏山でも起こりうる。
雨風を避けられる場所を確保し、乾いた衣服に着替え、寝袋などで保温し、温かい飲み物を飲んだり、ブドウ糖を補給したりすることで早期の回復を試みよう。
スズメバチは、動きが活発になる晩夏から秋にかけて被害がよく報じられます。山では崖下など、雨の当たらない乾燥した場所によく巣を作ります。
巣の周辺では警戒役のスズメバチが飛んでいますので、巣を見つけたり、数匹でも飛んでいるのを見かけたら、すみやかにその場を去るのが第一の対策です。
山でもっとも遭遇したくない野生動物といえば、クマ。対策にはクマに対して人間の存在を知られるクマ避けの鈴がよく知られています。
スズメバチもクマも、まずは出没情報に注意しましょう。万が一、クマに遭遇してしまったら、あわてず静かにクマの目を見て、じわじわと後退します。クマの気をそらすためにはザックを足もとに置き捨てます。大声で威嚇したり、いきなり逃走するのは禁物。クマが見えない場所まで後退してから、逃げるようにします。
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