はじめての登山
Step7 山で遭難しないために

装備、交通機関など、山では予期しないトラブルはさまざま

山で困った時の対処法 3
7用具
シューズの靴底がはがれてしまった――
    ⇒テープなどで応急修理し下山します

登山用具は頑丈に作られていますが、シューズの素材によっては加水分解などが起こり、剥がれることがあります。日ごろから手入れをするとともに、準備時に用具の点検もしておきたいところです。

行動に直接かかわるシューズの場合、応急修理をしなければ歩けません。靴底の剥離には、細引き(登山用の細いロープ)、テーピング用テープ、ガムテープなどが有効ですが、『山と溪谷』誌の実証実験では「手ぬぐいを引き裂いてひも状にして巻く」のが最も有効、でした。

頭の隅におぼておくと応急処理でなんとか履けるようにはなるでしょうが、登山を続行するには充分ではありません。予定していた山行を取りやめ、安全に早く下山しましょう。

8山小屋
予約していないけど山小屋に泊まりたい――
    ⇒事情を告げて、山小屋を利用する

山小屋の利用にあたっては、開設期間の確認や現地情報の入手を兼ねて、できるだけ事前の連絡と宿泊予約をしましょう。

しかし「日帰りの予定だったが、途中で体調をくずしてしまい、近くの山小屋に泊まりたい」という場合もあるかもしれません。そのときは、事情を告げて近くの山小屋を利用しましょう。あくまで無理は禁物です。

ただし、山小屋への到着が遅くなると、食事が簡易的なものになったり、混雑時には食堂や廊下に布団を敷いて就寝するということもあります。それでも体調のすぐれないままビバークすることを思えば、山小屋は心強く貴重な存在です。

こうした状況を考え、日帰りでも計画時にコース中の山小屋の位置や開設期間を把握しておくと、緊急時対策になります。

なお、すでに山小屋へ予約しているが、別の山小屋に泊まることになった場合など、連絡手段が得られる場所から、すみやかにその旨、連絡を入れるのがマナーです。

山小屋が大混雑――
    ⇒お互いのゆずり合いが、心地よくすごすコツ

入山者数の多いコース中の山小屋は、夏の週末や紅葉シーズンの連休などに、非常に混雑することがあります。

混雑を避けてゆったりしたいと考えたら、まずピーク時期をはずして計画しましょう。また、混雑状況については、予約時に確認することもできます。

しかし、休暇の事情など、どうしてもピーク時期に出かけるのであれば、混雑を覚悟する、という心構えも必要です。廊下でも寝られるようシュラフ(寝袋)を持参し、自炊の用意をするという登山者もいます。
山小屋側でも、食堂を片づけ、布団を敷いて寝室にあてる、といった対応をすることもあるので、まったく寝る場所もないという状況はまずありません。

混雑している山小屋では、装備を整頓し、就寝スペースを広く専有しないといったマナーが大切です。同室の登山者と声をかけ合い、貴重品以外の装備はまとめて廊下に出す、といった工夫も心がけましょう。利用者お互いのゆずり合いが、心地よくすごす最大のコツといえます。

登山口に駐車場がない!――
    ⇒マイカーでのアクセスは事前に駐車場の確認を

マイカー利用のアクセスは自由度がありますが、登山口の付近の駐車場の確認やマイカー規制情報など、事前準備は欠かせません。

駐車場については、どの登山口にも整備されているわけではなく、マイカー利用に向かないというコースもあります。また、駐車場が設けられていても、ピークシーズンは混雑で停められないこともあり、コースや時期によっては、その場合の対策を考えておく必要もあります。

情報を得るには、ガイドブックをはじめ、必要に応じて地元(役場の観光課、観光協会など)に問い合わせましょう。

登山口にマイカーが置けなかった場合、適切な駐車場へ移動し、そこから歩いて、またはバスやタクシーを利用して登山口へ向かうことになります。どれくらい遅れるかによっては、コースを短縮するなど計画を見直す必要もあります。

なお、尾瀬や北アルプスの上高地・乗鞍岳、富士山などでは通年、または期間を定めてマイカー規制を実施しています。登山口までの経路を調べるときなど、マイカー規制の情報にも注意することが必要です。

忘れものに気づいた――
    ⇒必需品を忘れたら登山は中止。出発前には装備リストでチェック

雨具を入れ忘れた、テント山行なのに、テントのポールを忘れた、運転をスニーカーでしていて登山靴を忘れた、冬山なのにアイゼンを忘れた――。登山口で、歩き始めて、テント場で、はじめて気がつく忘れ物もあります。
代用できるものがない場合、本格的な登山コースに必携用具がない場合、登山を中止して引き返すべきでしょう。

水や食料も、同行者からわけてもらうといった確実な方法がなければ、登山を続けることはできません。地図や季節によっては防寒着なども同様です。

ツアー登山などの場合、旅行会社から事前に渡される装備表に沿った準備をしていない場合は、ツアーに参加できないことも考えられます。登山口によっては、入山者ひとりひとりの用具が、その山域と季節に合っているか、必携品があるかのチェックがあるところもあります。

忘れものを防ぐには、前日までに、登山計画書とともに装備リストを作成して、出発前にチェックするのが基本です。

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