はじめての登山
Step8 残雪期の雪山を安全に歩く

高山なら、初夏でも必須のTips

残雪期の雪山を歩くテクニック
監修=北島英明 構成・文=佐藤慶典 イラスト=飯山和哉
3アイゼンを使用した歩行

 アイゼンで歩行するときは、まずしっかりと登山靴へ装着しましょう。いくら基本的な歩き方ができていても、アイゼンが途中でグラついたり外れたりしては元も子もありません。安定した場所で装着できるよう、早めの行動を心がけましょう。

 アイゼンをつけての歩行はフラットフッティングが基本です。すべての爪が雪面に刺さるようにしましょう。
 足を前へ運ぶ際は、左右のアイゼンの爪を反対の足に引っかけて転ばないように、かかとどうしを約10cmあけて足運びをするように常に心がけましょう。

 緩斜面や下りでは左右の靴を平行にするのがよいですが、やや傾斜がきつい登りでは、左右の靴が平行だと足首が曲がりきらずにかかとが浮いてしまいます。直登の場合は足をガニ股(V字形)に開くといいでしょう。
 フラットフッティングができないほど傾斜がきつい場合は、アイゼンの前爪を斜面に蹴り込むフロントポイントや、フロントポイントとフラットフッティングの併用で登りましょう。  以下にアイゼンを使用した歩行のテクニックについて紹介します。

  • ●フラットフッティング
    • 山側の足は進行方向へ向け、谷側の足はガニ股にして、すべての爪が雪面に食い込むように心がけること。
    • 山側の爪しか雪面に刺さっていないとスリップしやすいのでNG。すべての爪が刺さるようにすること。
  • ●直登
    • かかとが浮くような傾斜になったらつま先をV字に開く。歩幅を狭くし、全部の爪が雪面に刺さるようにする。
  • ●直降
    • 下りでは両方の靴を平行にして構わない。アイゼンの全部の爪が確実に刺さるよう、ひざを前に出す。
  • ●フロントポイント
    • 急斜面や堅雪で効果的な方法。アイゼンの前爪を蹴り込んで登る。ふくらはぎの負担が大きく長時間はもたない。
  • ●フロントポイント+フラットフッティング
    • 右足は前爪、左足はフラットフッティングの状態。両足フロントポイントより、ふくらはぎの疲労が少ない。
  • ●転倒防止
    • かかとの間をあける
      ゲーターやアイゼンのひもなどに爪を引っかけて転倒すると危険。常にかかとの間を10cmほどあけること。
    • 雪ダンゴを落とす
      雪がアイゼンにくっつき、高下駄を履いたような状態になると爪が効かなくなる。ピッケルでこまめに落とす。

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