行程・コース
この登山記録の行程
【1日目】
上高地バスターミナル(05:10)・・・河童橋(05:15)・・・明神(05:50)・・・徳沢(06:30)[休憩 10分]・・・横尾(07:25)・・・一ノ俣(08:05)・・・槍沢ロッヂ(08:35)・・・ババ平(09:15)・・・水俣乗越分岐(09:35)・・・天狗原分岐(10:40)・・・グリーンバンド(11:35)・・・槍ヶ岳殺生ヒュッテ(12:30)・・・槍ヶ岳山荘(13:10)[休憩 150分]・・・槍ヶ岳(15:50)[休憩 15分]・・・槍ヶ岳山荘(16:20)
【2日目】
槍ヶ岳山荘(05:30)・・・中岳(06:25)・・・天狗原稜線分岐(07:05)・・・南岳小屋(07:35)・・・A沢のコル(09:20)[休憩 20分]・・・北穂高岳(10:55)・・・涸沢のコル(12:05)・・・涸沢岳(12:55)・・・穂高岳山荘(13:20)
【3日目】
穂高岳山荘(04:05)・・・奥穂高岳(04:45)[休憩 45分]・・・最低コル(06:35)・・・紀美子平(06:50)・・・前穂高岳(07:15)[休憩 20分]・・・紀美子平(07:55)・・・岳沢パノラマ(08:30)・・・岳沢小屋(09:40)[休憩 15分]・・・河童橋(11:50)・・・上高地バスターミナル(11:55)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
テント担いで槍から前穂まで縦走してきました。
比喩でなく、ベルトの穴0.5個分の脂を絞り切りましたが、何とか無事に歩き通せました。
流石に事前調査は色々行いましたが、結局のところ天候要素が一番大きいと思われ、状況次第で計画変更ができる様にしました。
今回のリザーブ案は概ね以下です。
・槍ヶ岳ピストン
・涸沢をBCに北穂と奥穂を個別にピストン
・槍から南岳に行った後、天狗池に降りる
登山届は山ピコで提出していましたが、稜線でスマホの電波が入るのは変更届の提出上、心強かったです。
■初日
沢渡駐車場では小雨。上高地では上がりましたが、梓川や槍沢の水量は多かったと思います。
横尾までは平坦ですので時間を稼ごうと頑張って歩きましたが、槍沢ロッヂを過ぎる頃には足取りも大分ゆっくりになってきました。
ザックが重いのもありますが、さすがに空気の薄さも感じました。
殺生ヒュッテが視界に入る辺りからは更にへばってもうヘロヘロでしたが、山荘で70過ぎのお母さんと落ち合う予定の(!)、息子さんも山岳部と言う(!)方に同行して頂き、何とか到着。
天気はガスと晴れ間のはっきりしない状態でしたが風はなく、幕営後山頂アタックをしました。
同行頂いた方に自前のヘルメットをお礼方々先にお貸しして、自分は16時頃に登りました。
ザックを置いて身軽になったところによじ登り。最高でした。
山頂ではブロッケン現象にも出会え、大満足です。
日没後はテントに篭りましたが、風が吹き始めました。
ラジオの気象情報では特に気になることは言っていませんでしたが、風が続くなら大キレットは無理かな、などと思いつつ寝ました。
■二日目
寒い朝でした。フライシートが少し凍ってました。
ただ風は夜明けと共に落ち着きました。
槍ヶ岳を見上げると、ご来光組が登頂しています。
朝から元気だなぁなどと思っていましたが、結局翌日同じ事をします。
テント撤収後、大喰岳に向かって歩き始めます。
天気は快晴、風もなく、気温もほどほど。
これ以上ない登山日和になりました。
重いザックも何のその、中岳、南岳と快調に歩きます。
この辺りで同じく大キレットに挑むと言う三重県のお兄さんに同行して貰いました。
お互いソロですが、何せ指折りの難所ですので、それだけでも心強かったです。
南岳に着くといよいよ眼前には大キレット。
「これから、ここ歩くんですよね?」とお兄さん。
「……楽しみましょう!」
ただ少しでも荷物を軽くしたかったので、水はペットボトル一本分のみ残し、あとは全て捨てました。これで1.5kgは軽くなりました。
ここからはもうよじ登り天国。
ひとつ間違えば大事故。
だけど天候コンディションは最高。
行くしかないでしょ!と、お兄さんを先頭に一歩を踏み出しました。
とは言え途中から私が遅れ始めます。お兄さん健脚。
ですので先行して貰いました。
すれ違う人も結構いました。場所が場所ですので皆さんと声を掛け合いましたが、テント担ぎはやっぱり命知らずに思われたみたいです。確かに他に、少なくともテン泊と分かりやすいテントマットを持ち歩いている人はいませんでした。
ところがそこに颯爽と現れた二人目のお兄さん。
自分と同じくテントマット担いでいます。
この方がまた健脚。早い早い。
お二人とも若さだけでない、山向きの素晴らしい体躯をお持ちでした。
それからもそれぞれのペースで登って行きます。無事にA沢のコルに着くも、最後の北穂の登りがまた強烈。それでも何とか北穂高小屋に着くと大きくひと息。
「着きましたね」
「何とかなっちゃいましたね」
改めて軽く紹介しあい、3人で穂高岳山荘でまた会いましょうと別れました。
で涸沢岳。
ここの登りがこれまた地獄。
さすがのグレードE。大キレットからのエクステンションとして考えれば更にキツいです。デザートにバケツプリンが出る様なものでした。
もう本当にヘロヘロでしたが、それでも何とか穂高岳山荘に到着。
幕営後お兄さん達と軽く一杯。
色々お話を聞かせてもらいましたが、雨が落ちて来て流れ解散となりました。
因みに快晴予報の週末とあって山荘は大繁盛。
小屋では布団が二人一組だったそうです。
テン場も厳しく、自分はヘリポートに張りました。
槍ヶ岳山荘では風の音を聞きながら眠りましたが、穂高岳山荘では雨音が子守唄になりました。
■三日目
前夜の雨は何とか上がり、ガスっぽかったですが、夜明け前にまずはご来光目的で奥穂山頂へ向かいました。
風も少しあり、山頂で瞬間最大9m程度。
地平線方向の雲が厚く、残念ながら綺麗なご来光とはなりませんでしたが、夜明け前の眺めはとにかく最高、言葉が出ませんでした。
お兄さん達はそれぞれジャンダルムに向かう(!)とのことでお別れ。
自分は吊尾根を歩いて前穂に向かいます。
紀美子平にザックをデポして、山頂へはヘルメットとウエストポーチだけでアタックしました。
シチュエーションは槍ヶ岳と似ていますが、距離は前穂の方が長かったです。
山頂の展望は正に360度。天気もどんどんよくなり、遠くに槍も見えて感慨ひとしおでした。
あとは下山です。重太郎新道をひたすら降ります。
岳沢小屋でひと息ついて、尚も山道を降ります。
天然クーラーを過ぎ、どこまで歩けば終わるのかと思っていると、急におしゃれな人が増えました。
岳沢湿原着です。
かっぱ橋まで来ると更に華やかになりました。
そんな中に息遣いの荒い、ポールをガシガシ突きながら歩く、やたら荷物の多いおっさんが混じったものですから、特に老婦人の方々に珍しがられました。
「どちらから?」
今見えている一番のトンガリ山が前穂高岳、その向こうの向こうのもひとつ向こうからですと答えましたが、むしろ旧態依然とした登山客であること自体を、何か楽しまれている様でした。
上高地もすばらしい天気で、空はどこまでも青く、水もどこまでも清らかで、どなたも実に幸せそうに見えました。
バスターミナルに着くとすぐバスが来ましたので、名残惜しむ間もなく飛び乗りました。
■総じて
今回はとにかく天候に恵まれました。
この天気で大キレットを歩けないなら、もう諦めた方が良いと断言できるレベルでした。
逆に言うと、自分の様なビギナー向けに緩めるだけ緩めて貰った感じです。
一方、槍ヶ岳直登は後半がかなりしんどかったです。
槍沢ロッジから殺生ヒュッテまでは小屋もめぼしいピークもありませんから、距離でも時間でも定期的に休憩を取らないとバテますね。
ここはもう少し研究しておくべきでした。
テン泊登山は2回目でしたが、間に丹沢のキャンプ場で前回のおさらいをしました。本当は心ゆくまでたき火をしたかっただけですが、幕営や撤収の段取りは大分マシになりました。
また、今回の山行の前に神奈川県山岳連盟のクライミング講習を受けたのですが、特に涸沢岳の登りや大キレットではとても役立ちました。
ビレイの機会はありませんでしたが、「ムーブこそクライミングのすべて」は至言です。
これから大キレットに挑もうとされる方は、クライミングかボルダリング、どちらかを経験されておく事をお勧めします。
今回も沢山の方とお話をさせて頂きました。
ありがとうございました。
皆さん、またどこかのお山でお会いしましょう。
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(補足)南岳-大キレット-涸沢岳で気付いた事
必ず○印を見つけて進まないといけません。
全て同じような岩肌に見えて、○印のルートは安心して体重を掛けられますが、それ以外のルートの岩は浮石などで簡単に崩れます。
フォトギャラリー:93枚
5時過ぎに上高地。
始発バスは5:40でしたが、乗合タクシーに誘って貰えました。
程なくしてかっぱ橋。
トレーニングは別として歴代最高のザック重量だと思いますが、何とか歩けるかも。
明神につきました。
雨上がりなので大分湿っています。
気持ち良さそう。
迂回路がありました。
まだお山はガスガスです。
徳沢ロッヂです。
なんか豪華。
新村橋です。渡ると奥又白沢ですね。
横尾に着きました。
横尾大橋を渡れば涸沢ですが、今回は槍に直ですので通過します。
登山届は山ピコで提出してあります。
槍ヶ岳に向かいます。
昔は4日かかったとか。秘境中の秘境だったんでしょうね。
槍沢。水量が凄かったです。
槍沢ロッジ。綺麗な山荘です。
ひと休みしました。
槍沢大曲り。
傾斜がキツくなってきます。
この辺りで大分バテてきました。
ですが景色は最高で、何人に抜かれても楽しさが先立ちました。
あの雪渓の先頭まで歩いたら休むんだ!
そう思っていました愚かな私。
三ノ沢こっち。
コーヒー好きな、巨漢の山男はいませんでした。
ついに槍ヶ岳だー!
なんのこっちゃと思ってましたが、ゴールまでの距離でした。
殺生ヒュッテ。
これがまた視界に入ってからとにかく遠かったです。
でも何とかなるもんです。
槍ヶ岳山荘に到着。
早速幕営。
途中から同行して頂けた方とヘルメットをシェアして、交代で槍登山。
ザックを置いたら軽い軽い。
よじ登り派には至福の時間でした。
山頂の御社です。
槍ヶ岳登ったぞー!
山頂にてブロッケン様!
高度感はこんな感じです。
明日のために、意味なくハーネスを着けて歩き心地を確認しています。
無事降りました。
今夜のメニューはアルファ米にレトルトカレー。そこに乾燥ほうれん草ときくらげを加えました。
あとは味付けサンマとココアです。
槍ヶ岳から見る夕焼け。
予報通りに晴れてくれて良かったです。
テン場の様子です。
日没から夜明けまで結構な風が吹きました。
朝ごはんは前回と同じ簡易おしるこ。
今日はカロリー勝負です。
槍ヶ岳からのご来光。
不思議と日の出と共に風がピタッと止みました。
この天気なら大キレットに挑めるでしょう。
蛭ヶ岳ダマシイで頑張ります!
朝日を浴びる笠ヶ岳。
背後には白山が見えます。
まずはお隣の大喰岳。
その大喰岳から槍ヶ岳を振り返ります。
多少のハシゴはありますが、後から思えばウォームアップでした。
続いて中岳。
大喰岳も中岳も立派な3000m峰。
そして南岳。ここから先は大キレット。
やはりテン泊装備の重さが気になります。
ペットボトル一本分を残して、残りの水をすべて捨てました。
南岳から北穂を見ます。
天気上々!
ホバリング中のヘリコプターがいました。
行方不明者の捜索だった模様です。
南岳小屋に着きました。
いよいよ大キレットです。
稜線が見えます。
これを延々と歩いて行きます。
正にキレット。
風が吹いたら歩けませんね。
北穂がそびえます。
シンプルだけど説得力満点の案内。
A沢のコルに着きました。
左が長谷川ピーク。沢山の登山者が写っています。
歩いている時は必死でしたが、写真で見るとナンじゃこりゃ?って感じですね。
ヘリコプターがまた来ました。
それは距離ですか?
それとも標高ですか?
でも何とか北穂高小屋に到着。
二日目に知り合ったお兄さん達と合流します。
山頂は小屋からすぐ。
標識は持ち上げられます。
お兄さんズ。
お二人ともとにかく健脚。
槍方面です。
随分歩いたなあ。
涸沢です。
初めての穂高で涸沢をスルーしてしまいました。
向かう先です。
涸沢岳が立ち塞がります。
大キレット同様、○印を追ってひたすらよじ登ります。
重力との戦いが続きます。
やっと着いたー!
最低コルから涸沢岳も大キレットレベルでした。
穂高岳山荘が見えました。
ジャンダルム方面。
きっとやたら古い装備の、余分な一人が写ってるんだぜ。
山荘は大繁盛でした。
何とか幕営し、晩御飯にしました。
乾燥野菜は重宝します。
テン場は賑やかでしたが、すぐに眠りました。
三日目は午前3時起床。
夕方から明け方まで雨でした。
マジックパスタを朝御飯にしました。
山荘のお水はおみやげにしました。
朝からヘッドライトをつけてよじ登ります。
山頂です。
お月さまは見えますがガスがかっています。
御来光はどうでしょうか。
夜明け前の奥穂高岳山頂。
再びジャンダルム方面。
元気な人がどんどん向かっていきます。
御来光、というタイミングではありませんでしたが、無事お日さまを拝めました。
それでは前穂に向かいます。
吊尾根のトラバース道は歩いてよし、眺めてよしでした。
前ホ。登るホ。
どんな入道のクライミング支点なんでしょう。
ついたー!
焼岳、乗鞍岳方面です。
槍方面。
紀美子平からの登り風景です。
見落としてしまいそうな紀美子平の文字。
こんなところで5歳の紀美子ちゃんが遊んでいたとは……。
岳沢パノラマ。
後は下山です。槍から前穂の縦走も終りが近付いています。
カモシカの立場から。
岳沢を見上げます。
何とか岳沢小屋に到着。
重太郎ちゃん、強烈でしたよ!
今回は降りでしたが、登りも相当体力必要なコースですね。
本当は下山後のお楽しみなのですが、予感がして食べてしまいました。
天然クーラー。
ささやかでしたが確かに涼しい風が吹いていました。
やっと降りきったー!
どんなお山でも最後の下山が一番大変です。
岳沢湿地です。
こんなにも透明な水はなかなかないですね。
絵はがきにしたい眺めでした。
かっぱ橋です。
食べ尽くされてしまったのか、今回は誰からもきゅうりを貰えませんでした。
お土産を物色する間もなくバスが来ましたので飛び乗ります。
岳沢小屋でアイス食べといて正解でした。
槍ヶ岳の様な夏の雲。
虹を見ながら帰りました。
装備・携行品
シャツ | アンダーウェア | ダウン・化繊綿ウェア | ロングパンツ | 靴下 | レインウェア |
登山靴 | バックパック | スタッフバック | スパッツ・ゲイター | 水筒・テルモス | ヘッドランプ |
タオル | 帽子 | グローブ | 着替え | 地図 | コンパス |
ノート・筆記用具 | 腕時計 | カメラ | 登山計画書(控え) | ナイフ | 修理用具 |
ツエルト | 健康保険証 | ホイッスル | 医療品 | 虫除け | 熊鈴・ベアスプレー |
ロールペーパー | 非常食 | 行動食 | テーピングテープ | 軽アイゼン | トレッキングポール |
ストーブ | 燃料 | ライター | カップ | クッカー | カトラリー |
【その他】
予備ヘッドライト、モバイルバッテリー、ハーネス、カラビナ、クイックドロー、スリング、風力計、ファブリーズ、2バンドラジオ、ハイドレーション(2L)、ヘルメット もう重量測るのやめました。 |
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