行程・コース
天候
快晴(5/3、5/4)
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
上高地へ向かうバスに乗るため沢渡へ。GW中は4:40(BSターミナル発)の始発。
駐車場とバス乗り場はいくつかある。悩んだらバスターミナルを目印にするとよい。今回は「さわんど岩見平」に車を停めた。駐車料金は一泊600円。今回は二泊三日なので1,200円。
この登山記録の行程
2日目(涸沢⇒奥穂高岳⇒涸沢⇒上高地):涸沢カール(03:47)・・・穂高山荘(05:49)・・・涸沢岳手前まで散策・・・穂高山荘(06:04)・・・奥穂高岳(06:48)・・・穂高山荘(08:00)・・・涸沢カール(08:54)(昼食・テント撤収~11:11)・・・本谷橋付近まで雪道・・・横尾大橋(13:02)・・・徳沢・・・明神館(14:50)・・・河童橋(15:29)・・・上高地バスターミナル(15:34)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
※:涸沢から横尾間にGPSの誤測定部分あり。
2日目。
何度か目が覚めた。足元が少し寒いが、割と熟睡できている。
3時に目覚ましをセットしていたが、それを待たずして行動開始。
簡単な行動食を食べて、身支度をする。昨晩のうちに持っていくものは整理しておいたので、アタックザックに詰めなおして、いざ出発。
テントを開けると満天の星空が広がっていた。よし、今日も天気は最高だ。
雪道なので自由に歩き斜面にとりつく。真っ暗な中、すでに奥穂や北穂に向かう小さな光が斜面のあちこちに数点見えた。競争するものではないが、なるべく上の方で日の出を拝みたいと、歩みを早める。
足元は、夜のうちに、若干霜のようなものが積もったよう。時々、沈み込むものの、それも少し登るとしっかりとした硬さになっていた。
アイゼンをザクッっと食い込ませながら、ピッケルを打ち込みつつ、一歩いっぽ丁寧に登っていく。ザイテングラートの横を抜けて反り返るような急斜面を登り稜線を目指す。振り返るとちょうど蝶ヶ岳の方か朝日が昇ってきた。あいにく薄い雲が邪魔で綺麗な日の出とはいかなかったが、その光が自分が経っているザイテングラートの斜面を染めていく。モルゲンロートの中にまさに立っている。気を抜けばかるく数百mは滑落しそうな急斜面。息を切らせながら登ってきたが、まさに至福の時だ。
いっきに稜線に出る。夏時期であれば涸沢カールからも見える穂高山荘の赤い屋根もすっぽり雪に囲まれた。
少し時間をとって涸沢岳の手前まで駆け上がってみた。太陽も昇り切り、清々しく、しかし強い朝日が山全体を照らしていた。
穂高山荘に戻り、いよいよ奥穂岳の山頂を目指す。雪の中で黒いごつごつした岩の尖がったピークが見える。ここまでも十分、急な斜面を登ってきたが、この先は鎖場あり、階段あり、そして垂直のような雪の壁ありと、危険度も増す。が、個人的には危険な場所大好きなのでワクワクする。
アイゼンで登る階段は歩きずらい。岩場を何とか超えて、雪の壁へとやってきた。氷の塊がいっぱいあって、登るたびに上から落ちてきてはヘルメットに当たっていく。時には頬に当たり切れたかと思うほど痛い時があった。ヘルメットは必須。
ピッケルで安全確保しながら登る。怖いというより、その一歩いっぽがなんだか山に挑戦しているという証のようで嬉しくなってくる。
登り切ると奥穂のピークが目前になっていた。振り返ると、尖りにとがった槍が物凄く近くに見えた。かっくいい。これ以上カッコいい山はやはりないと思う。
6時40分。奥穂高の山頂にたどり着く。360度、名だたる山に囲まれている。遠くに白山。
昨年の夏に登った焼岳も眼下に見える。その先には穂高と御岳。
目の前には大きなこぶの形をしたジャンダルム。
あまりのスケールの大きさに圧倒されるが、どんなに手が届かないような場所へも歩み続けることでたどり着くことが出来るという達成感に包まれながら、贅沢な朝の時間を過ごす。
人が増えてきたので、涸沢まで下山を開始する。
鎖場と梯子のところでは渋滞が始まりつつあった。ショップの団体か、明らかに不慣れな人たちが何人かいて、手間取っていた。
途切れない人をなんとか抜けて、穂高山荘まで戻ってきた。上からでは穂高山荘が見えなかったほど垂直のように感じられる斜面だった。
涸沢からは蟻の軍隊のように列を作って人が登ってくる。
その横を一気に降る。日差しが一層強くなっていた。登りではガシッと食い込んでいた雪も溶けだしていて、膝まで入り込む。滑落する心配が逆になくなったので、スピードを上げて降るが、登りの人たちにとってはかなりしんどい事だろう。
テント場に戻り、涸沢ヒュッテで缶ビールを買い、奥穂高の絶景に乾杯。
昼食の後、テントを撤収。もう次の登山者が来ていて、整地済みの一等地が開くのを待っていた。
さらば奥穂高。ありがとう涸沢。
さらにゆるゆるになった斜面をまずは横尾を目指して歩く。
ズボズボ埋まるのも気にせず歩いていたこともあり、異常に気が付いたのは登りにアイゼンを装着した本谷橋付近。右側のアイゼンがいつしかなくなっていた。
外れたのさえ気が付かず歩いていたとは。お粗末さと自分の間抜けさを呪うが、いまさら戻っても探し出すことはまず不可能。想い出もあり愛用していたアイゼンだけに悔しくて仕方がない。それにしても天候や景色には恵まれた今回の旅だったが、ストックと言い大事なものをよく無くす旅でもあった。ある意味これも思い出になるか?!
ちなみに横尾山荘に立ち寄った際に、アイゼンを失くしたと届け出したら、「どんなアイゼンですか?」と聞かれたので「ブラックダイヤモンドです。」と答えたら、机の下からこれですか?と言って出てきたのにはびっくり。でも、付箋で5/3と書かれていた。自分がなくしたのはついさっき(5/4)なのであり得ない。よほどそれでいいですと答えたくなったが、残念。もし、出てきたら連絡くださいとあとにする。ブラックダイヤモンド、右側、セミワンタッチ、12爪。。。
身体の疲れと、アイゼンを失ったショックで帰りの行程が一層長く感じられる。
少しでも歩く道のりを減らしたかったが、小梨平で梓川横のキャンプ場へと回り道をする。
個人的に、そこから眺める穂高が一番好きだ。つい先ほど自分はあのピークに立っていて、この上高地を見下ろしていたんだと感慨。
上高地は観光客であふれていた。バスのチケットを購入して、同じく帰りのバスを待つ長蛇の列後尾に並ぶ。
この二日間の山は本当に素晴らしかった。こんな好条件に恵まれた中で奥穂高を堪能できる幸せは貴重なことだろう。一方で、奥穂高の山頂目前にいたころ、6時20分に2,600m付近では大学生が1名が滑落により亡くなっている。これからもアウトドアを楽しむためにも、自然の厳しさと山の怖さをきちんと心に刻み、きちんと備えトレーニングを積まないといけないと再認識した。このGW中にも多くの方が亡くなったようだ。ご冥福を祈ります。
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