トムラウシ大量遭難事故から1年、ガイドは何を語ったのか?

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 「夏山登山史上最悪の遭難事故」として記憶される、北海道・トムラウシ山遭難事件から、ちょうど1年がったった。

 事故調査特別委員会による最終報告書では「ガイドによる判断ミスと低体温症によるもの」と結論づけられた本事件、生存者による証言や最終報告書などは様々なメディアで発表されているが、今もってなお、多くの疑問が残されている。

 その疑問点は、数多くの「なぜ?」だ。なぜ、悪天候にもかかわらずヒサゴ沼避難小屋を出発したのか? なぜ、途中で引き返さなかったのか? なぜ、パーティはバラバラになってしまったのか? なぜ、夏山で多くの遭難者が出てしまったのか?

 その疑問の多くに答えるのが、小社から7月23日に発売される「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか 低体温症と事故の教訓」だ。本書では、同行ガイドの1人が初めて遭難事故について証言。『ドキュメント 気象遭難』(小社刊)などで遭難事故に関する執筆では第一人者の羽根田治が、同行ガイドの当時の状況や心境を、余すことなく引き出している。

  • ガイドがまったくトムラウシを知らないんですよ。「冗談でしょう。先に言ってくれよ。だったら止めていたのに」って思いました。
  • 今までも「マズイでしょう」と思うことが多々あった。今度も何とかなると思っていた部分はある
  • 「ヤバイよ。これ、マズイっすよ」と言いました。「やっぱり引き返そう」と言われるのを、どれだけ待っていたか。

 

などの言葉は、当時の状況を生々しく表現している。

 なお、本書は、ガイドのインタビューのほかにも、ツアー客の詳細な証言や最終報告書をもとにまとめた遭難ドキュメント、低体温症や運動生理学の専門家を迎えての分析、ツアー登山についての考察なども収録されていて、事故の教訓を知るのに、必須の一冊となっている。

著者:羽根田 治、飯田 肇、金田正樹、山本正嘉 著
価格:1,680円(本体:1,600円 + 税)
商品コード:140140
商品サイズ:四六判
ISBN :978-4-635-14014-0
発行年月日:2010年07月23日

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■山と溪谷社ホームページでの紹介
■トムラウシ山

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