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2011年も山岳映画が熱い!
それぞれの命のドラマを観てほしい

(C)「岳―ガク―制作委員会」 (C)石塚真一/小学館

 3作品に共通するテーマは「生きぬくこと」。生と死の狭間で紡がれる<生>のドラマに注目です。

 まずは5月7日公開の『岳-ガク-』。原作まんがを読んだみなさんはご存知かと思いますが、山岳救助隊にボランティアとして参加する島崎三歩(小栗旬)が主人公。北アルプスを舞台にした遭難救助がテーマの作品です。

 原作では「スーパーマン」として描かれている三歩を、悩みをもちながら、迷い、苦しみ、それでも救助活動を続ける小栗旬演じる「小栗三歩」として描きたい、との監督の言葉通り、原作とは異なる一面をもつ三歩も映画では注目したいですね。「この映画を撮るためには、本物の山に行って撮影しなければならない」と監督がこだわった作品だけに、迫力ある映像も楽しんでほしいと思います。

 6月18日には、『127時間』が公開されます。こちらは、ロッククライミング中に事故が発生、腕を挟まれた主人公がたったひとりで脱出して生還されるまでの実話を描いた作品です。といっても、もちろん単なる脱出劇ではありません。生命の限界を超える127時間まで、主人公はこれまでの人生を振り返り、悩みぬきます。

 そして迎える<究極の決断>。『トレインスポッティング』や『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督作品であることも見どころのひとつです。


(C)「岳 -ガク- 制作委員会」 (C)石塚真一/小学館
 最後は、この夏公開予定のラインホルト・メスナーの一作『ヒマラヤ 運命の山』。ご存知の通り、メスナーは、地球上に14座ある8000m峰を初めて無酸素で登頂した登山家です。その彼のエポックメイキングなプロジェクトのひとつであるナンガ・パルバート山行を映画化したもので、8月6日に公開されます。

 山自体の映像も注目すべきですが、弟の遭難、そして登山隊長との確執など、メスナーの微妙な心のゆれを繊細に描いています。メスナー自身のひととなりを知るという意味でも、興味深い作品に仕上がっています。公開までまだ間があるので、小社から刊行されている『裸の山 ナンガ・パルバート』も併せて読めばより立体的に楽しめると思います。

 以上3作品は、山岳救助隊、フリークライマー、高所登山とそれぞれ立ち位置が異なっていますが、それぞれの世界から<生>を描いています。どうしても重苦しい人間ドラマになりがちですが、背景に描かれる山や自然に、その気高さ美しさ、その一方にある厳しさも映像としておさめられています。登山を始めた初心者からベテランまで、2011年は映画から山に入ってみてはいかがでしょう。

2011年封切り映画に注目!

岳 -ガク-

5月7日より、TOHOシネマズ日劇、 TOHOシネマズ梅田ほかにて公開予定

 ある年の春、北アルプスの山岳救助隊に新人・久美が入隊する。彼女は秘めた想いを抱きながら、日々の訓練に励んでいた。しかし、彼女が直面する遭難現場は、自らの未熟さ無力感、そして焦りをつきつけてくるのだ。久美は、三歩は、救助隊は、かつてない自然の猛威から遭難者を助けることができるのか!? 「よくがんばった。また、山においでよ」三歩の口癖が、自然讃歌、人間讃歌を謳いあげる!!

岳Image

[2011年日本] 2時間5分/カラー 監督:片山 修
原作:石塚真一『岳』(小学館『ビックコミックオリジナル』連載)
キャスト:小栗旬、長澤まさみ、佐々木蔵之介、市毛良枝ほか

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127時間

6月18日より、TOHOシネマズシャンテ、 シネクイントほかにて全国公開予定

 アーロンは冒険と孤独を愛する、ちょっとヒーロー気取りな開放的なアウトドア青年。ある日、いつもの場所で、いつものようにひとりでクライミングを楽しんでいると、頭上から巨大な岩の塊が…。その塊は、無情にも彼の右腕を絶壁に挟み込み、彼の自由を奪ってしまった。ここは谷底。仲間はいない。助けは呼べない。生命の限界を超えた127時間後、彼は決断した…。壮絶なラストシーンは、観るものに生きる力を刻印する。

127時間

[2010年アメリカ・イギリス] 1時間34分/カラー 監督:ダニー・ボイル
原作:アーロン・ラルストン著『127時間』(小学館文庫)
キャスト:ジェームズ・フランコ、ケイト・マ-ラ、ケイト・バートンほか

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(C) 2010 TWENTYETH CENTURY FOX

ヒマラヤ 運命の山

8月6日より、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

 人食い山、と呼ばれたナンガ・パルバートに挑むラインホルト・メスナー兄弟。無事登頂するも、下降中に事故が発生、弟・ギュンターが遭難。本人も九死に一生を得て生還するも、下山後に待っていたものは、栄光だけではなく登山隊長との確執でもあった…。<超人・メスナー>の知られざる一面も描いたドキュメンタリー作品としても一級だが、小社刊行の『裸の山 ナンガ・パルバート』もぜひ併読したい。

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[2009年ドイツ]1時間44分/カラー 監督:ヨゼフ・フィルスマイアー
原作・著作:『裸の山 ナンガ・パルバート』ラインホルト・メスナー(山と溪谷社刊)
キャスト:フロリアン・シュテッター、アンドレアス・トビアス、カール・マルコヴィクス、シュテファン・シュローダーほか

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180°South

パタゴニアとTNFが同居した美しい日々。

180°South

[2009年アメリカ] 1時間27分/カラー 監督・脚本・編集:クリス・マロイ 撮影:ダニー・モダー
キャスト:イヴォン・シュイナード、ダグ・トンプキンス、ジェフ・ジョンソンほか

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(C)2009 180゜SOUTH LLC.

 人生に迷い、行く先がわからず、ただ途方にくれる人生の1ページ。だれでも経験する自分探しの時期に、あるアウトドア青年が1本のフィルムに出会う。そこには、パタゴニアのイヴォン・シュイナードとザ・ノース・フェイスのダグ・トンプキンスが、同じく迷い苦しんだ時期にパタゴニアをめざした記録が残されていた。彼らの足跡をたどれば、なにかが見つかるかもしれない…。甘く切ない自分探しの旅を淡々と描く本作品からこそ、終章にはシンパシーのクライマックスを迎えられる。旅に誘う秀作。
アイガー北壁

その結末にあなたは耐えられるか! アイガー北壁の悲劇を描いた作品。

アイガー北壁

[2008年ドイツ・オーストリア・スイス] 2時間7分/カラー 監督:フィリップ・シュテルツェル 撮影:コーリャ・ブラント
キャスト:ベンノ・フュルマン、フロリアン・ルーカス、ヨハンナ・ヴォカレク

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(C) 2008 Dor Film-West, MedienKontor Movie, Dor Film, Triluna Film, Bayerischer Rundfunk, ARD / Degeto, Schweizer Fernsehen, SRG SSR idee suisse, Majestic Filmproduktion, Lunaris Film- und Fernsehproduktion All rights reserved

 アンディ・ヒンターシュトイサーとトニー・クルツは幼なじみ。2人は初登頂をねらい、アイガー北壁をめざす。悪天候の合間をぬって登頂を開始、振り子トラバースで難所(ヒンターシュトイサートラバース)を通過するも、後続パーティの事故により下山を余儀なくされる。しかし、登るよりも苦しい悲劇は、まさにここから始まったのだ・・・。ヨーロッパ三大北壁のひとつ、アイガー北壁の登頂をめぐり、1936年に実際に起きた悲劇を映画化。衝撃のラストには、打ちのめされること必至。
劔岳 点の記

仕事に賭ける男たちの生き様。 淡々と進むドラマに涙する。

劔岳 点の記

[2009年日本] /カラー 監督・撮影:木村大作 原作:『劔岳<点の記>』(文春文庫)
キャスト:浅野忠信、香川照之、松田龍平、宮﨑あおい、小澤征悦ほか

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(C)2009 「劔岳 点の記」製作委員会

 陸軍参謀本部陸地測量部の柴崎芳太郎は、5万分ノ1地形図を完成させるため、劔岳山頂に三角点埋設の使命を受ける。前人未到の死の山として恐れられていた劔岳。登頂だけでも困難を極めるこの作業に、柴崎は黙々と打ち込む。しかし、初登頂をもくろみ、日本山岳会も劔岳をめざしていた。柴崎が先か、山岳会が先か。そして山頂で彼らがみたものとは…。淡々とした物語だからこそ、季節で様変わりする劔岳が美しい。ただひたすらに山頂をめざすひたむきさに、心打たれる。
『生きてこそ』&『アライブ―生還者―』

いま生かされている人生は仲間の一部があったればこそ。

アライブ―生還者―

[2007年フランス] 1時間53分/カラー 監督・撮影:ゴンサロ・アリホン
キャスト:ロベルト・カネッサ、ダニエル・フェルナンデス、モンチョ・サベージャ、ボビー・フランソワほか

You Toube 関連書籍

(C) Ethan Productions

 1972年10月、南米・ウルグアイで実際に起きた飛行機墜落事故をドキュメンタリー手法で描く。4000m級の山中で、生き抜くために選んだ手段は仲間の遺体を食べること・・・。人肉食という観点からのみ話題にされがちなテーマだが、本作品では生存者へのていねいなインタビューを積み重ねることで、微妙な心の動き、決断までの経緯を複合的に描き、今生かされている生存者の<人生>まで昇華させている。同じテーマを描いた『生きてこそ』や小社刊行の『アンデスの奇蹟』を併せてみても興味深い。
八甲田山

天は我々を見放した…。 名セリフを残した死の行軍。

八甲田山

[1977年日本] 2時間49分/カラー 監督:森谷司郎 撮影:木村大作 原作:『八甲田山死の彷徨』(新潮文庫)
キャスト:高倉健、北大路欣也、三國連太郎、加山雄三ほか

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 時は日露戦争直前。日本陸軍は対露対策として、青森・八甲田山での雪中行軍を実施する。中隊編成の青森第五連隊と小隊編成の弘前第三十一連隊。いずれの連隊が行軍を成功させるのか。真冬の八甲田山、折しも大寒波にみまわれようとしていた…。史実に基づき脚色、映画化。実際の真冬に撮影を敢行することで、その映像的迫力は圧巻。また、遭難という観点から二隊の編成・計画・実施について読み込んでもおもしろい。起こるべくして起きる遭難事例を通し、自身の山行に活かしたい。
初恋がきた道

圧倒的な自然描写に心うちふるえる。

初恋がきた道

[2000年アメリカ・中国] 1時間29分/カラー 監督:チャン・イーモー 脚本:パオ・シー
キャスト:チャン・ツィイー、スン・ホンレイ、チェン・ハオほか

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 父の死をきっかけに、父と母のなれそめを追想するひとりの青年。中国北部の山間地。都会と村を結ぶ一本の道に純朴なひとつの愛が紡がれる。純愛物語として定評ある本作だが、自然描写にも注目してほしい。ピンク色の服をまとうヒロインの背景を彩るのは、赤、白、緑と艶やかに色を変える山容。胸が切り裂かれるような初恋の想いを、自然描写と呼応させてここまで描く作品はほかにないだろう。自然が主テーマではないが、上記作品とともにおさえたい。けれど、無性にお腹がなるのでご注意を(笑)。
星と嵐

ぜひ観たいガストン・レビュファの古典作

星と嵐

[1955年フランス]1時間34分/監督:ガストン・レビュファ
出演:ガストン・レビュファ、モーリス・バケ

関連書籍

 1945~52年にかけてアルプスの「6つの北壁」を登攀したフランスのアルピニスト、ガストン・レビュファが監督を務めた山岳ドキュメンタリー。
グランド・ジョラス北壁、アイガー北壁、マッターホルン北壁、チマ・グランデ北壁など、アルプスでもっとも困難と言われる5つの北壁にアタックしている。 クライミング技術、クライミングスタイルを知るうえで、貴重な映像。
運命を分けたザイル

リアル描写は必見

運命を分けたザイル

[2003年イギリス]1時間47分/監督:ケヴィン・マクドナルド
出演:ブレンダン・マッキー 、ニコラス・アーロン

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 アンデスの未踏峰シウラ・グランデに挑んだジョーとサイモン。天候が悪化し、ジョーが骨折して行動不能に。2人とも命を落とすか、あるいは動ける自分だけが助かるべきか・・・。
奇跡的に生還した実話を、当事者へのインタビューと、心理描写鋭い映像で構成された一作。『アライブ』『127時間』に通じる生還へのドラマがある。