
3作品に共通するテーマは「生きぬくこと」。生と死の狭間で紡がれる<生>のドラマに注目です。
まずは5月7日公開の『岳-ガク-』。原作まんがを読んだみなさんはご存知かと思いますが、山岳救助隊にボランティアとして参加する島崎三歩(小栗旬)が主人公。北アルプスを舞台にした遭難救助がテーマの作品です。
原作では「スーパーマン」として描かれている三歩を、悩みをもちながら、迷い、苦しみ、それでも救助活動を続ける小栗旬演じる「小栗三歩」として描きたい、との監督の言葉通り、原作とは異なる一面をもつ三歩も映画では注目したいですね。「この映画を撮るためには、本物の山に行って撮影しなければならない」と監督がこだわった作品だけに、迫力ある映像も楽しんでほしいと思います。
6月18日には、『127時間』が公開されます。こちらは、ロッククライミング中に事故が発生、腕を挟まれた主人公がたったひとりで脱出して生還されるまでの実話を描いた作品です。といっても、もちろん単なる脱出劇ではありません。生命の限界を超える127時間まで、主人公はこれまでの人生を振り返り、悩みぬきます。
そして迎える<究極の決断>。『トレインスポッティング』や『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督作品であることも見どころのひとつです。

(C)「岳 -ガク- 制作委員会」 (C)石塚真一/小学館
最後は、この夏公開予定のラインホルト・メスナーの一作『ヒマラヤ 運命の山』。ご存知の通り、メスナーは、地球上に14座ある8000m峰を初めて無酸素で登頂した登山家です。その彼のエポックメイキングなプロジェクトのひとつであるナンガ・パルバート山行を映画化したもので、8月6日に公開されます。
山自体の映像も注目すべきですが、弟の遭難、そして登山隊長との確執など、メスナーの微妙な心のゆれを繊細に描いています。メスナー自身のひととなりを知るという意味でも、興味深い作品に仕上がっています。公開までまだ間があるので、小社から刊行されている『裸の山 ナンガ・パルバート』も併せて読めばより立体的に楽しめると思います。
以上3作品は、山岳救助隊、フリークライマー、高所登山とそれぞれ立ち位置が異なっていますが、それぞれの世界から<生>を描いています。どうしても重苦しい人間ドラマになりがちですが、背景に描かれる山や自然に、その気高さ美しさ、その一方にある厳しさも映像としておさめられています。登山を始めた初心者からベテランまで、2011年は映画から山に入ってみてはいかがでしょう。
岳 -ガク-
5月7日より、TOHOシネマズ日劇、 TOHOシネマズ梅田ほかにて公開予定
ある年の春、北アルプスの山岳救助隊に新人・久美が入隊する。彼女は秘めた想いを抱きながら、日々の訓練に励んでいた。しかし、彼女が直面する遭難現場は、自らの未熟さ無力感、そして焦りをつきつけてくるのだ。久美は、三歩は、救助隊は、かつてない自然の猛威から遭難者を助けることができるのか!? 「よくがんばった。また、山においでよ」三歩の口癖が、自然讃歌、人間讃歌を謳いあげる!!
127時間
6月18日より、TOHOシネマズシャンテ、 シネクイントほかにて全国公開予定
アーロンは冒険と孤独を愛する、ちょっとヒーロー気取りな開放的なアウトドア青年。ある日、いつもの場所で、いつものようにひとりでクライミングを楽しんでいると、頭上から巨大な岩の塊が…。その塊は、無情にも彼の右腕を絶壁に挟み込み、彼の自由を奪ってしまった。ここは谷底。仲間はいない。助けは呼べない。生命の限界を超えた127時間後、彼は決断した…。壮絶なラストシーンは、観るものに生きる力を刻印する。
[2010年アメリカ・イギリス] 1時間34分/カラー 監督:ダニー・ボイル
原作:アーロン・ラルストン著『127時間』(小学館文庫)
キャスト:ジェームズ・フランコ、ケイト・マ-ラ、ケイト・バートンほか
ヒマラヤ 運命の山
8月6日より、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
人食い山、と呼ばれたナンガ・パルバートに挑むラインホルト・メスナー兄弟。無事登頂するも、下降中に事故が発生、弟・ギュンターが遭難。本人も九死に一生を得て生還するも、下山後に待っていたものは、栄光だけではなく登山隊長との確執でもあった…。<超人・メスナー>の知られざる一面も描いたドキュメンタリー作品としても一級だが、小社刊行の『裸の山 ナンガ・パルバート』もぜひ併読したい。
パタゴニアとTNFが同居した美しい日々。
180°South
[2009年アメリカ] 1時間27分/カラー 監督・脚本・編集:クリス・マロイ 撮影:ダニー・モダー
キャスト:イヴォン・シュイナード、ダグ・トンプキンス、ジェフ・ジョンソンほか
公式サイトへ ※現在上映中
(C)2009 180゜SOUTH LLC.
その結末にあなたは耐えられるか! アイガー北壁の悲劇を描いた作品。
アイガー北壁
[2008年ドイツ・オーストリア・スイス] 2時間7分/カラー 監督:フィリップ・シュテルツェル 撮影:コーリャ・ブラント
キャスト:ベンノ・フュルマン、フロリアン・ルーカス、ヨハンナ・ヴォカレク
(C) 2008 Dor Film-West, MedienKontor Movie, Dor Film, Triluna Film, Bayerischer Rundfunk, ARD / Degeto, Schweizer Fernsehen, SRG SSR idee suisse, Majestic Filmproduktion, Lunaris Film- und Fernsehproduktion All rights reserved
仕事に賭ける男たちの生き様。 淡々と進むドラマに涙する。
劔岳 点の記
[2009年日本] /カラー 監督・撮影:木村大作 原作:『劔岳<点の記>』(文春文庫)
キャスト:浅野忠信、香川照之、松田龍平、宮﨑あおい、小澤征悦ほか
(C)2009 「劔岳 点の記」製作委員会
天は我々を見放した…。 名セリフを残した死の行軍。
八甲田山
[1977年日本] 2時間49分/カラー 監督:森谷司郎 撮影:木村大作 原作:『八甲田山死の彷徨』(新潮文庫)
キャスト:高倉健、北大路欣也、三國連太郎、加山雄三ほか
圧倒的な自然描写に心うちふるえる。
初恋がきた道
[2000年アメリカ・中国] 1時間29分/カラー 監督:チャン・イーモー 脚本:パオ・シー
キャスト:チャン・ツィイー、スン・ホンレイ、チェン・ハオほか