山でつながる携帯電話は?
携帯電話の安全登山への有用性

 ここは山中。携帯電話はもうつながらないだろうと思いながら画面をのぞくと、なんと電波が・・・。では、あの山並みを撮影して誰かに送ろうか。はたまた、今のうちに帰りの電車を調べておこうか。

 山においても携帯電話が通じると、なにかと便利なことは多い。そしてなにより、非常時には連絡できるという心強さを与えてくれる。

 『平成24年中山岳遭難統計』(長野県警察本部地域部地域課、長野県山岳遭難防止対策協会)によると、遭難の届け出は携帯電話から行なわれることが最も多く、その割合は全体の66.5%。携帯電話での通報件数をみると、平成22年は124件、23年は152件、昨年169件と、年々増加傾向にある。

 他にも、テント場や山小屋で、明日の天気を調べたり、今日の無事を家族に知らせたり・・・。携帯電話は、安全登山のための重要な役割を担っていると言えるだろう。

 しかし、それはすべて通信可能な状況での話。では、最近の山における携帯電話の電波状況は、どうなっているのだろうか。


▲北アルプスの稜線でも圏内の区域は多くない。白馬や後立山連峰では、ドコモの通話状況が圧倒的に優位だった
百名山の山小屋における携帯電話の電波状況はドコモが優勢

 以前、弊社発行の月刊『山と溪谷』2010年8月号で、日本百名山の山頂における携帯3社(ドコモ、au、ソフトバンク)の電波状況(2009年アトラストレック社調べ)を掲載した。当時のデータによると、最も多くの山でつながるのはドコモであった。

 今回は、月刊『山と溪谷』2013年1月号付録「山の便利帳2013」の山小屋情報(同じ内容は本サイトでも確認できます)をもとに、日本百名山の電波状況を調査。頂上付近、登山道、登山口のいずれかにある山小屋をひとつ選び、各社の利用可否を下表にまとめた。

 その結果、今回もドコモが圧倒的に優位で、他社の2倍近くの山でつながることがわかった。

 また、28座はドコモのみ、2座はauのみで利用可能。前回のデータと単純に比較はできないが、日本百名山において、依然ドコモのカバー率が高いのは確かなようだ。

 しかし、今回の情報は山小屋など特定地点に限られているうえ、地形や気象条件によっては利用できないことがある。はじめから携帯電話に依存しての山行は避け、状況に応じて利用するようにしたい。


▲八ヶ岳・赤岳の山頂ではドコモが通話可能。auは限定的な条件でのみ電波が入る


▲南アルプスでは通話可能な場所は少ない。最高峰の北岳周辺ではドコモとauが通話圏内だ

 遭難が発生したとき、速やかに捜索・救助活動を行なう一助となるのが登山届(登山計画書)。山岳保険の補償条件として、事前に提出されていることが必須の場合もあるので、毎回忘れずに届け出るようにしたい。

 これまで登山届は、登山口のポストに投函するか、管轄の警察署へ届け出るのが一般的だった。最近では、著名な山を管轄する県警のほとんどで、登山届の電子申請を受け付けている。その方法は、入力フォームによるもの、必要事項を記載して、担当メールアドレスへ送るもの、携帯電話でQRコードを読み取って手続きするものなど、管轄によってさまざま。

 まずは、各県警のサイトにアクセスして申請方法を確認してみよう。いずれにせよ、登山口で通信可能であれば、ポストがなくても携帯電話から提出できるので便利。登山届の作成も安全登山の一環として、提出の習慣化をおすすめする。

百名山における山小屋の電波状況評価表
月刊『山と溪谷』2013年1月号付録「山の便利帳2013」では、全国の山小屋に「利用可能な携帯電話」をアンケート。その回答をもとに、一部、電話での追加調査を加えたものを以下にまとめた。
ひとつの山に複数の小屋がある場合、その山で最も利便性が高いと思われる山小屋を抽出している(①山頂付近 ②メインルート上 ③メインルートの登山口、の順)。山中や登山口に山小屋がない場合は、登山口もしくは山頂における電波状況を自治体等に問い合わせて表記(山小屋情報は2012年11月現在、自治体情報は13年5月現在)
山名 地点名 docomo au softbank
利尻山
利尻山避難小屋(山中)
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×
×
羅臼岳
木下小屋(登山口)
×
×
×
斜里岳
清岳荘(登山口)
×
×
×
阿寒岳
国民宿舎 山の宿・野中温泉(登山口)
大雪山
姿見の池避難小屋/旭岳石室(山中)
×
トムラウシ山
国民宿舎 東大雪荘(登山口)
十勝岳
十勝岳避難小屋(山中)
×
×
×
幌尻岳
幌尻山荘(山中)
×
×
×
後方羊蹄山
羊蹄小屋(山中)
岩木山
岩木山頂避難小屋(山頂)
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×
×
八甲田山
大岳避難小屋(山中)
×
×
×
八幡平
陵雲荘(山頂)
×
×
×
岩手山
岩手山八合目避難小屋(山中)
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×
早池峰山
早池峰山頂避難小屋(山頂)
鳥海山
鳥海山頂上参籠所/御室小屋(山頂)
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×
月山
月山頂上小屋(山頂)
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×
朝日岳
大朝日小屋(山頂)
×
蔵王山
熊野岳避難小屋(蔵王山神社内)
×
飯豊山
飯豊山避難小屋(山頂)
×
吾妻山
西吾妻小屋(山中)
×
×
×
安達太良山
県営くろがね小屋(山中)
×
磐梯山
登山口、山頂
会津駒ヶ岳
会津駒ノ小屋(山中)
×
×
那須岳
峰ノ茶屋跡避難小屋(山中)
×
×
×
越後駒ヶ岳
駒の小屋/越後駒ヶ岳避難小屋(山中)
×
×
平ヶ岳
清四郎小屋(登山口)
×
×
×
巻機山
巻機山避難小屋(山中)
×
×
燧ヶ岳
尾瀬沼ヒュッテ(山中)
×
×
×
至仏山
至仏山荘(山中)
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×
×
谷川岳
谷川岳肩ノ小屋(山中)
×
雨飾山
小谷温泉奥の湯 雨飾荘(登山口)
×
苗場山
苗場山自然体験交流センター(山頂)
×
×
妙高山
黒沢池ヒュッテ(山中)
×
×
火打山
高谷池ヒュッテ(山中)
×
×
高妻山
登山口、山頂
男体山
志津小屋(山中)
×
×
×
日光白根山
五色沼避難小屋(山中)
×
×
×
皇海山
中腹以上
武尊山
武尊避難小屋(山中)
×
×
×
赤城山(黒檜山)
登山口
草津白根山
山田峠避難小屋(山中)
×
×
四阿山
あずまや高原ホテル(登山口)
浅間山
高峰高原ホテル(登山口)
筑波山(女体山)
筑波ロープウェー女体山駅(山頂)
×
×
×
白馬岳
白馬山荘(山頂)
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×
五竜岳
五竜山荘(山頂)
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×
鹿島槍ヶ岳
冷池山荘(山中)
×
×
剱岳
剣山荘(山中)
立山
一ノ越山荘(山中)
薬師岳
薬師岳山荘(山中)
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×
山名 地点名 docomo au softbank
黒部五郎岳
黒部五郎小舎(山中)
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×
水晶岳
水晶小屋(山中)
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×
鷲羽岳
三俣山荘(山中)
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×
×
槍ヶ岳
槍ヶ岳山荘(山中)
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穂高岳
穂高岳山荘(山中)
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×
常念岳
常念小屋(山中)
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×
笠ヶ岳
笠ヶ岳山荘(山中)
×
焼岳
焼岳小屋(山中)
乗鞍岳
肩ノ小屋(山中)
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×
御嶽山
御嶽頂上山荘(山頂)
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×
美ヶ原
美ヶ原 王ヶ頭ホテル(山中)
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×
霧ヶ峰
コロボックル・ヒュッテ(山中)
×
蓼科山
蓼科山頂ヒュッテ(山頂)
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八ヶ岳
赤岳頂上山荘(山頂)
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両神山
清滝避難小屋(山中)
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×
×
雲取山
雲取山荘(山中)
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甲武信岳
甲武信小屋(山中)
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金峰山
金峰山小屋(山中)
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瑞牆山
富士見平小屋(山中)
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×
大菩薩嶺
介山荘(山中)
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×
丹沢山
みやま山荘(山頂)
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×
×
富士山
頂上富士館(山頂)
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天城山
天城高原登山口
木曽駒ヶ岳
頂上木曽小屋(山中)
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×
空木岳
空木駒峰ヒュッテ(山中)
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恵那山
恵那山山頂小屋(山中)
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甲斐駒ヶ岳
仙水小屋(山中)
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仙丈ヶ岳
仙丈小屋(山中)
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鳳凰山
薬師岳小屋(山中)
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北岳
北岳肩ノ小屋(山中)
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間ノ岳
農鳥小屋(山中)
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塩見岳
塩見小屋(山中)
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悪沢岳
静岡県営千枚小屋(山中)
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赤石岳
静岡県営赤石小屋(山中)
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聖岳
静岡県営聖平小屋(山中)
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光岳
県営光小屋(山中)
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白山
白山室堂(登山口)
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荒島岳
ワラビ館(登山口)
伊吹山
山頂
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大台ヶ原山
心・湯治館 大台ヶ原(登山口)
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大峰山
弥山小屋(山中)
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大山
大山頂上避難小屋(山頂)
剣山
剣山頂上ヒュッテ(山頂)
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石鎚山
石鎚神社頂上山荘(山頂)
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九重山
法華院温泉山荘(山中)
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祖母山
祖母山九合目小屋(山中)
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阿蘇山(高岳)
山頂
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霧島山
国民宿舎 えびの高原荘(登山口)
開聞岳
山頂
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宮之浦岳
新高塚小屋(山中)
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※ 利用可能の山小屋も、登山シーズン外などに電波を中継しているアンテナが撤去されると通話できない。
■日本百名山の位置と山小屋の電波状況を地図で確認する
※ 地図上のマークをクリックすると、山名と調査地点箇所、通話状況が確認できます。