富士山の見える山に行こう!
■ 富士山をキレイに撮るためのチェックポイント 7箇条
登って見えた富士山は写真に残したいもの。
富士山を撮り続けた佐古さんに富士山撮影のコツを伺おう。
何が何でも見えたら撮る! 見えてるうちに撮る!

▲頂上に立ったら雲で富士山が隠れてしまった残念な写真

 山頂に到着、富士山が見えた! となったら、まず撮ること!

 一息入れたい、お茶を沸かそうと思っているうちに、みるみる雲が出てきて、富士山が隠れてしまうこともよくあることなのです。だからまず、見えたら撮る!

天気を読み、好天を選べ!

 富士山を展望するには、登った山が晴れていて、しかも富士山自体に雲がかかっていない状態でなければならない。富士山が見えていても、一部分しか見えない場合や全体にボーッと霞んでいる場合がある。

 気象面での考慮点は以下のとおり。

  • 移動性高気圧に覆われると安定した天候になり、展望の確率が高い。ただし、背景の空に絵になる雲が現れないことが多い。
  • 移動性高気圧が「北高型(高気圧の位置が北に寄っている)」ときは、北東の風が吹き込んで曇り空になることが多い。
  • 冬季、北からの季節風が適度に吹くと澄んだ空気になって富士山が鮮明に見えるが、風が冷たく、また強すぎると雪雲に隠される。
  • 一般に、春から夏にかけては、空気が澄んでいないことが多い。水蒸気、スギ花粉、黄砂などの影響が考えられる。
  • ただし、5月ごろ、若葉寒(わかばざむ)と呼ばれる寒気の流入があり、空気が澄みわたることがある。

朝を狙え!

▲冬でも10時過ぎにはこの通り。ボンヤリしてしまう

 富士山を鮮明に見るには、一日のうち、空気の澄んでいる朝が有利だ。午前10時過ぎには遠望しづらくなることが多い。

 そのため可能な限り早朝に山頂に立ちたい。ただし冬季には寒さ対策は大切だ。

なるべく早い時間に登れ!

  富士山を見たい、撮りたいとなったら、富士山が見えるポイントに長く滞在すること。ということは、とにかく早い時間に登り、早く撮影ポイントに着くこと。

 山頂に着いて「10分前まで見えてたんですよ」と言われることほど悔しいことはない。後悔しないためにも、早い時間に登り、見るチャンスを逃さないようにしよう。

レンズと焦点距離を知っておくべし!

 筆者は富士山の左右の裾野を画面いっぱい収めたい場合、35ミリフィルム換算のレンズの焦点距離は、撮影ポイントから富士山までの距離の2~3倍の数値をメドにしてきた。

 例えば、三ツ峠山の場合、富士山からの距離は約22kmで、約2倍の数値の焦点距離40ミリ前後のレンズ(35ミリ判換算)をしようすれば、山体全体が収まる、という計算だ。

雲を活かして撮れ!

▲山体に雲がたなびくのも遠近感があって良い

 富士山を絵画的、あるいは美的に撮りたい場合、背景の空(雲を含む)と前景の取り込み方が大きな要素となる。

 筆者の場合は、確実に撮れることを最優先にして天候安定期をねらうため、ごくありふれたおとなしい富士山を見ることが多かった。空には雲ひとつない状態が多く、面白みに欠けるともいえる。

 その点、天気の変わり目には変化に富んだ雲が出る場合がある。九州方面に低気圧が接近してきた場合などをねらう人もいるほどだ。しかしこういう時は富士山自体が見えない可能性も高く、タイミングとしてはかなりきわどい。

紅富士・赤富士の違いを知るべし!

▲ピンクに染まる富士・紅富士
 富士山全体が赤く染まる状態を表現する言葉で、どちらも日の出または日の入り時の光線によって起こる。
  • 紅富士・・・冬から春にかけて白い雪で覆われた山体がピンクに染まる状態をいう
  • 赤富士・・・山体から雪が消える夏から秋に山体が赤くなる状態をいう
 と呼び分けられているので覚えておこう。
富士山の見える山 ベストコース45
価格 1,890円(税込)   サイズ 5判144ページ
 
 首都圏から日帰りできる山を中心に、絶景富士山を仰ぐ山とコースを45件収録。
 富士山周辺の三ツ峠山、毛無山、足和田山をはじめ、丹沢・箱根周辺、伊豆・駿東周辺、高尾・道志周辺、大月・大菩薩周辺の山々を1山2ページでコンパクトにガイドしています。
 巻末には「富士山展望写真193山」を収録。