紅葉の山へ

秋山のリスクに備えよう

紅葉が美しい秋の山だが、夏山以上に気を付けたいリスクや、夏山シーズンとは異なる注意点もある。ここでは、そんな秋山の注意点を5つ紹介する。

1.秋山の天候・気象遭難

特にアルプスなどの標高が高い山域で気を付けたいのが天候だ。10月初旬でも高所では雪が降ることがあり、遭難へと繋がるリスクがあるためだ。

実際に、1989年10月8日には立山で10人のパーティが吹雪に遭い、8人が低体温症で亡くなるという重大な事故もある。

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事前の天候チェックをはじめ、もしもの降雪に備えた装備やエスケープルートの確認等、充分に計画を立てて臨もう。

また、気温も低くなるため、雨だとしても低体温症のリスクが高くなる。夏山同様、レインウェアなどの雨対策に加え、防寒着の用意もしっかりと行なおう。

2020年10月7日の白馬岳山頂(写真:テツロウさん

2.日没時間の早さ

「秋の日は釣瓶落とし」。秋が深まるにつれ、日の短さを感じるものだ。地域や年によって異なるが、東京都の日の入りを例にあげると、7月には19時だが、10月には17時と2時間短くなる。

2022年東京都の日の入り時間
  • 7月15日18:57
  • 8月15日18:31
  • 9月15日17:49
  • 10月15日17:06
  • 11月15日16:35

また、登山道では周囲の木々や山の影になるため、実際の日没時間よりもさらに早く暗くなる。

日の入り時間を調べて、その時刻よりも2時間以上早く下山できるように計画を立てよう。体調不良などで予定より歩くのに時間がかかったり、あるいは道を間違えてタイムロスしたり、ということは大いにあり得る。不測の事態に備えて、日没ぴったりの下山計画は避けよう。

そして、日帰りでもヘッドランプは必ず持とう。

山の夕暮れを楽しむなら山小屋泊で(写真:くろあんさん

3.紅葉時期の混雑

人気の山では、夏の週末やお盆に混雑するものだが、紅葉の最盛期は短いため、登山者が集中して夏以上に混雑することもある。可能なら土日を避けて、平日に登りたいものだ。

また、近年では、感染症対策もあり、山小屋では人数を絞ったうえで予約制にしている場所が多い。山小屋の予約はすぐに埋まってしまうため、早めに行なおう。

登山者で賑わう石鎚山(写真:lamjung さん

4.夏山シーズンから秋冬への路線バスダイヤの変更

路線バスの運行ダイヤは、8月下旬ごろから減少する路線があるため、注意が必要だ。始発時刻が遅くなったり、本数が減ったり、あるいは土日・祝日のみの運行に変わる路線もある。

「スマホで当日調べればOK、と思っていたら山中で電波が入らなかった」ということもあるので、出発前に往路・復路のバス時刻を必ずチェックしておこう。