
▲2011年の夏山な全体的に日照は少なかった。
果たしてこんな姿を見せてくれるだろうか?
葉に含まれる物質が気温や日照時間の変化によって変色することで起きる現象、それが紅葉だ。アカデミックな話題はさておいて、紅葉は最低気温が10℃以下になると一気に進むため、寒くなるのが早い北の大地や高山から始まる。
このように、気温と密接に結びついている紅葉が美しく色付く条件は、ほかにも「夏が暑く日照時間が長い」「夏に充分な雨が降る」「昼夜の気温の差が大きい」「湿気が少なく乾燥している」などがある。
こうした条件を確認してみると、標高の高い山ほど、この条件に当てはまるのだが、今年はどうだろうか。昨年は暑い夏のおかげで、多くの山が美しい紅葉に沸いた。一方、不安定な夏空だった2011年、山々は秋に向けてどんな姿を見せてくれるだろうか。

▲紅葉は樹木によって時期、色が変わる。赤。黄色、オレンジ、緑などが交じる
ことで、独特の美しさを放つ (写真:maiさん、安達太良山にて)
紅葉と言っても、すべての樹木や草木が色付くわけではない。一般的には、落葉樹の樹木が赤や黄色、オレンジなどに染まる。
紅葉する樹木で最も有名なのはカエデ。赤く色づく姿はお馴染みだ。同様に赤やオレンジに色づく樹木といえば、ナナカマド、ツツジ系の樹木、ミズナラ、ケヤキ、ヤマザクラなどが挙がる。
また、黄色に色づく(黄葉)ものも山岳地では多い。ブナ、ダケカンバ、カツラ、トチノキなどは黄色に染まり、山肌を彩る。
紅葉のフィナーレを飾るのがカラマツ。他の樹木の紅葉が終わる頃に黄金色に色づくので、少し遅い時期にも楽しめるのが特徴だ。
また、とくに高山では草紅葉も見逃せない。チングルマやコバイケイソウなどの高山植物や、キンコウカのような湿原の草の色付きは見事で、樹木の紅葉より一足早く始まり、湿原をオレンジ色に染めたり、山の稜線を赤や黄色に染めるので、こちらもチェックしておきたい。
紅葉期の日本列島の天気は不安定。高山で紅葉が始まる9月中旬から10月上旬は、いわゆる「秋の長雨」の時期で、本州付近には前線が停滞して曇や雨が多くなる。秋雨前線の雨は、梅雨の雨ほど激しく降ることは少ないが油断禁物。雨対策は十分に行っておこう。
雨ということで、もうひとつ気になるのが台風。台風の一番多いのは8月だが、9月、10月の台風は勢力が大きくなりやすい。台風が接近した場合は、基本的に登山は即中止。台風によって落葉してしまうので、紅葉も美しくない。
そして、紅葉期に最も気をつけなければならないのが、突然の寒波の到来だ。例年、日本アルプスや北海道では、遅くても9月中旬には初霜が降りるほど冷え込む。

▲紅葉と初冠雪は、山によっては同じ時期。防寒対策はもちろん、天候の確認は万全に
寒暖差に対応するためにはウェアの重ね着が非常に大切だ。ポイントはやはり防寒着。夏山装備に加えて、保温性の高いダウンジャケットやフリース、さらに温かいグローブや帽子、ソックスなども用意したい。
また天候の急変に備えて、ツエルト、ビバークシート(保温シート)、携帯燃料などがあると安心だ。
9月下旬~10月/初旬でも西高東低の強い冬型の気候となると、標高の高い山や北海道では降雪となり、一夜にして冬山に変わることも珍しくない。「稜線で宿泊していたら大雪に降られて、下山はアイゼンがなしでは危険」となるケースも珍しくない。行く場所や状況に応じて軽アイゼンやストックなども用意すると良いだろう。

▲長野県開田高原にて 写真:minojiさん
紅葉期の登山は、シビアな情報収集と計画が必要となり、夏山のようにはいかない。以下の点には特に注意したい。
まず注意したいのが登山口へのアクセスだ。交通機関の運行ダイヤは夏山とは変わっている場合がある。すでに運休していたり、週末運行のみだったり、本数が極端に少なくなっているケースがある。下山して最寄りのバス停に着いたものの、最終バスは行っていた、というケースは珍しくない。タクシー利用も考えた計画を立てることも検討したい。
また、山小屋での宿泊を考えている人は、必ず山小屋が営業しているかどうか確認しておこう。アルプスの山小屋は通常、10月中旬~11初旬には閉鎖してしまう。また、繁忙期が終わると週末のみの営業となっているケースもある。営業期間の確認はもちろん、事前に予約の電話を入れておきたい。
なお、テント泊の人でも、夏季にはあった水場が枯れているケースもある。十分に事前情報を掴んでおきたい。
最後に、コースプランだ。秋になると急激に日照時間が短くなる。10月初旬の日没は17:30ぐらいだが、樹林帯や谷筋などでは16:00には真っ暗になっている。歩く距離や時間は夏の7~8割に抑え、早出早着を心がけよう。
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