登山計画書を作成するときに、押さえておくべきポイント

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登山に行くためには、しっかりとした計画を行う必要があります。そのために「登山計画書」を作成し、これを「登山届」として提出するのは、自立した登山者のたしなみ。今回は、登山計画書の作り方に関する質問に答えます。

 

登山計画書の書き方を知りたい!

質問:
登山計画書の書き方について質問します。色々調べてみると、計画書には簡素なものから複雑なものまでさまざまなフォーマットがあり混乱します。登山計画書を作成する際に、最低押さえておきたいポイントを教えてください。

 

前回でも説明しましたが、登山計画書は登山という「冒険」を計画的でシッカリとした準備を行なうために書くものであれば何でもOKです。

そのため、自分なりに創意工夫して作ってみてください。ただし、これだけは抑えてほしいことがあります。それは、準備が間違いないかを確認する作業のために使うのが計画書、ということです。

以下については、しっかりと記入する必要があるでしょう。

  • 人定事項の確認:リーダーの氏名、生年月日、血液型、住所、非常時連絡先、パーティーであればメンバーの同様の情報。
  • 集合から解散までの日程、コースの予定、エスケープルート、下山予定の場所。
  • 持っていく装備、食料(および、その予備)、ツェルト・コンロ・ファーストエイドキットといった危機対応の用具の有無。

さらに、雪山や沢登りでは、――つまり一定の管理可能な登山道から外れてハッキリとした冒険行為に挑む場合――、登攀具の有無や燃料の量、携帯電話やアマチュア無線の携行状態などが加えられます。

登山計画書のフォーマットはさまざま。日本山岳会のホームページなどに、そのテンプレートがあるので参考にして欲しい。
ヤマケイオンラインのように、インターネット上で作成できるサービスもある

大切なのは、登山計画書ができた後に、以下のような感じで改めて見直していくことです。

  • 予備食・・・、もう一日分増やしておこうかな。
  • 夕立があって沢が増水してたら、こっちの尾根道から帰ろう。
  • もう寒いだろうから、ライトダウンを入れとこう

こんな様子で、見直しを進めていき、付け加えていくことをオススメします。

そして完成した計画書は、非常時の連絡先(一般的には最も親しい家族)、または山岳会やクラブなどのグループであれば山行管理の担当に、何らかの方法で渡しておきましょう。
もちろん自分も携行しておく必要があります。そして、この登山計画書を警察(一部では県など)に提出すれば「登山届」になります。

繰り返しますが、登山計画書は「言われたから作る」のではなく、自分の登山の確認と仲間同士の、山に向かう姿勢を統一するための物だということです。

例えば、季節の変わり目の登山で計画書に「雪山装備一式」なんて、いいかげんな表記をしないことです。「11月の山で、まさかラッセルするとは思わなかった。ワカン持ってないよ」なんて事になりかねません。1つずつ装備をチェックするためにも、細かく書く必要もあるでしょう。

 

プロフィール

山田 哲哉

1954年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。 著書に『奥多摩、山、谷、峠そして人』『縦走登山』(山と溪谷社)、『山は真剣勝負』(東京新聞出版局)など多数。
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