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山中でテント泊、しっかり眠れるための寝袋&マット選び

道具・装備 2017年07月07日

テント泊登山にトライしたい場合に必要な装備で、テントと共に大切なのが寝袋とマット。寒さを感じずに快適に眠るためには、自分の身体とシチュエーションにあった寝袋とマットを選ぶ必要があります。 石井山専新宿東口ビックロ店の増田さんの案内で、チョイスのポイントを教えてもらいました。

 

POINT
  • 山岳用の寝袋は、一般的にはコンパクトになり温かい「羽毛」タイプ
  • 羽毛のフィルパワーが高ければ、軽くコンパクトになる
  • マットはスポンジ入りエアマットが、使い勝手もバランスも良い

 

登山では一般的には羽毛の寝袋になるが・・・

編集部T: 前回では「家」となるテントの選び方について教えてもらいましたが、次は「掛け布団、敷き布団」となる寝袋とマットの選び方について教えてください。

【前回記事】山岳用テントの選び方は、登山スタイルをイメージから選ぼう!

増田さん: それでは、まず寝袋についてです。寝袋は中綿に使っている素材に「化学繊維」と「羽毛」の2種類があります。化学繊維のメリットは、「乾きが早い」「濡れてもふっくらしている」「羽毛と比べると安い」となります。一方でデメリットとしては「コンパクトになりにくい」「重量が増える」となります。

編集部T: 羽毛は、その逆となると考えれば良いですね?

増田さん: はい。「温かい」「コンパクトになり軽量」「濡れには弱い」「高価」となります。登山では一般的には羽毛の寝袋を選ぶ人が多いですが、シチュエーションや用途によっては、化学繊維のものも選ばれています。

編集部T: どんなときに、化学繊維を選ばれるのでしょうか?

増田さん: 長期に渡って山に入る人や、沢登りで使う、激しいバリエーションルートに行くという人は、化学繊維のメリットを活かせるので、選ばれています。また、最近は化学繊維のものも、だいぶ軽くコンパクトになってきていることもあります。
例えば、ファイントラックのポリゴンネストのような、新しい発想の化学繊維もあるので、このあたりは選択肢として検討してもいいでしょう。ただし、「安い」というメリットは少なくなってくると思いますので、羽毛タイプとよく比較して考えてください。

編集部T: 羽毛タイプのものを見渡すと、ずいぶん種類が豊富ですね。同じ温度設定で、大きさもずいぶん違いますが、これはなぜでしょうか?

増田さん: 羽毛の種類・質の違いで、軽量性やコンパクト性が変わるからです。基本的には「フィルパワー」という数値を見てください。ダウンのウェアなどにもある数値ですが、フィルパワーの数値が高くなればなるほど軽くコンパクトになります。もちろん値段も高くなります。
そのうえで寝袋の選択になりますが、大切なのは「いちばん寒い時期を想定する」ことです。

寝袋に掲載している、対応温度、重量、羽毛量、フィルパワーなどを、しっかり確認しよう

 

編集部T: やはり冬山を視野に入れるかどうか、ということでしょうか?

増田さん: テントでも同じことを説明していますが、自分が行きたいと考えている山・季節を想像することが選択の要の1つとなります。例えば、最初は夏山に行くためのものかもしれませんが、「秋には涸沢の紅葉を見たい」となった場合は、夏山専用の寝袋では確実に寒いです。
並んでいる商品を見ると夏用のコンパクトなタイプに目が行きがちですが、寝ているときの寒さは身体に堪えます。寝る際に衣服を着込んでも、寝心地が悪くなるうえに、足先などの末端には対応できません。
暑いぶんには、衣服での対応や、ジッパーを開けて寝るなどの対応はできますが、寒さについては羽毛量を増やすということしかできないものです。

編集部T: 春・秋を見越した選択となると、どのあたりが良いでしょうか?

増田さん: 夏山モデルと3シーズンモデルは、対応温度域がかぶるので、最初からマイナス温度域まで対応できる3シーズンモデルを選んでも良いと思います。これで春から秋まで、だいたい対応できるからです。3シーズンモデルを夏山で使ってみて「これでは夏山でオーバースペック」と思った時には、夏専用に安価な化学繊維のものを購入しても良いと思います。

編集部T: 通常の布団では、重ねるのは基本ですが、寝袋を重ねるのはアリでしょうか?

増田さん: もちろん暖かくはなると思いますが、「1+1=2」にはならないと思います。重ねた場合、とくに内側になる寝袋の「ロフト」と呼ばれるふくらみが阻害され、それぞれが100%の力を出しきれないと思います。となると当然、通常よりもかさばるので、オススメはできません。
それよりも、シュラフカバーのほうが有効だと思います。濡れ対策として使われるものですが、雨具が防寒具となるのと同じように、ある程度の効果は期待できます。プラスαとして揃える装備としては有効でしょう。

寝袋+シュラフカバーも有効な手段

 

スポンジの入ったタイプのエアマットが、断然オススメ

編集部T: 続いて「敷き布団」となるマットについてです。これはエアマットとウレタンマットがありますね。

増田さん: これから始める人の「最初の1本目」としては、中にスポンジが入ったタイプのエアマットをお勧めしています。理由としては、さまざまな面でバランスが良いからです。

編集部T: ウレタンマットとエアマットでは、だいぶ大きさが違いますね。

増田さん: ウレタンマットは耐久性は抜群ですが、どうしてもザックの外につける形になるので、行動中のバランスが悪くなります。また枝や岩稜で引っかかるリスクがあり、あまりオススメできません。
エアマットは、最も軽量でコンパクトになり、かつクッション性も高いので良いのですが、空気を入れる作業はけっこう大変です。寝心地については快適だと思いますが、エアマット独特のグラつきが気になるという意見があります。これは好みによって意見は別れますね。
その点では、スポンジが入りエアマットは、寝心地も安定しています。どのメーカーのものでも8割くらいまでは自動で空気が入るので、空気を入れる作業もさほど大変ではありません。クッション性も十分だと思います。手間を掛けずに快適性を高められる、良い選択だと思います。

ウレタンマットと比較すると、エアマット(スポンジ入り)のコンパクトさは明らか。
ザックの中に収納できるタイプが登山ではオススメだ

編集部T: エアマットの「穴が開くリスク」は、どうなのでしょうか?

増田さん: 上で飛び跳ねたり、尖った小石があるのに気づかずに思いザックを載せてしまったり、などのことをしなければ、なかなか穴が空くことはないと思います。もちろん、点で力が加わることには強いとは言えないので、テント内の砂利などをしっかり取り除くなど普通の対策はしてください。
ちなみに、エアマットのパンクする要因の多くは、「コンロの熱」ということです。熱が冷めていないコンロのヘッドを落としてしまったなど、些細な"うっかり"で穴を開けてしまっているようです。
エアマットにはリペアキットがだいたい付いているので、小さい穴であれば、ある程度は修理できるでしょう。

編集部T: サイズにも色々ありますね。

増田さん: 今は120cm、160cm、180cmの3サイズ展開が主流です。エアマットを選ぶのであれば、全身用を勧めます。枕は別のもの、と考えるのであれば、1サイズ落としても良いかもしれませんが、足先までマットの上に乗る大きさが良いでしょう。
「短いサイズ&足元はザックを敷いて寝る」という人もいますが、この方法は末端冷え症の人は特にオススメしません。足先までマットと比べると確実に寒いです。寒さによる寝不足は大きく体力消耗します。
半身用のマットはコンパクトになるので魅力的ですが、まずは重さよりも快適性を重視して欲しいと思います。最近流行りの軽量化・コンパクト化という考え方は山行回数を重ねていく中で考えて欲しいので、まずはしっかり寝られる環境を用意することをオススメします。

 

教えてくれた人

石井山専新宿東口ビックロ店

首都圏最大級の山・アウトドアの大型専門店。「安全」をテーマに、ユーザーのライフスタイルに合わせたさまざまな商品を提案している。店内では、登山学校の講習やワークショップなども開催中。

住所/東京都新宿区新宿3-29-1 ビックロ 新宿東口店内 8F
TEL/03-5312-9550
営業時間/11:00~20:00
アアクセス/新宿三丁目駅A5直結、新宿駅・西武新宿線西武新宿駅下車徒歩5分

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