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黄色くないのに「キバナシャクナゲ(黄花石楠花)」な理由は?

たしなみ 2017年07月19日

高山のハイマツが生えるような場所に咲くキバナシャクナゲ。漢字で書くと「黄花石楠花」だが、名前とは裏腹に花の色は白に近いクリーム色。なぜ、白花ではなく黄花なのか? 植物写真家の高橋修さんが観察を続けた結果、最近ようやく納得した理由とは?

 

梅雨が終われば、本格的夏山シーズンになっていくだろう。しかしその前、まだ山には登山者の姿がまばらなころ、高山の明るい稜線上ではキバナシャクナゲが咲きほこる。梅雨時に咲く高山植物は多いが、キバナシャクナゲは雪田横、稜線の岩場、ハイマツの下などさまざまな環境の場所に生える。シャクナゲの仲間では特に背が低く、高さ20~60cm程度。

たくさんのキバナシャクナゲが咲く大雪山

キバナシャクナゲの特徴は黄みがかった花と、葉脈の細脈が窪んだ葉表。同じような場所に生えるハクサンシャクナゲの葉の表面はつるつるであまり窪まない。

キバナシャクナゲ(黄花石楠花)という名前だが、その名前ほど花は黄色ではない。前から疑問に思っていたのだが、キバナシャケクナゲといっても白色に近いクリーム色で、雌しべの根元はピンク色をしている。なぜ、この花がキバナシャクナゲ(黄花石楠花)なのだろうか。

最近になってやっと疑問は解決した。数年前、初夏の北海道で見たキバナシャクナゲの蕾や咲きたての花は、黄みが強いことに気がついたからだ。よく観察してみると、蕾や咲きたての花は黄みが強いクリーム色だが、時間がたつと花色の黄みがなくなりどんどん白っぽくなっていく。そして同時に雌しべや花の中心部分は赤っぽくなっていく。

キバナシャクナゲの蕾と葉。蕾は黄みが強い

 

咲きたてのキバナシャクナゲの花は黄みが強い。「黄花」の名前に納得

花色が時間とともに変化をしているのだ。咲いてから時間がたっている花ばかり見ていたときには、「シロバナシャクナゲ」ではないのか、と思っていたが、花色の変化の観察をしてやっとキバナシャクナゲの名前に納得できたのだ。

植物をよく知るには、やはり花を数多く見るとよい。キバナシャクナゲでいえば、7月上旬の北海道の大雪山だ。なかでも大雪山最高峰の旭岳山麓のキバナシャクナゲの大群落はすばらしい。今年はまだ稜線以外は雪が多く、花はまだまだ楽しめるだろう。

植物は観察すればするだけ新しい発見がある。少しでも発見があれば感動も大きい。山を歩くときには、よく観察しながら歩いてみよう。

 

教えてくれた人

高橋 修

自然・植物写真家。子どものころに『アーサーランサム全集(ツバメ号とアマゾン号など)』(岩波書店)を読んで自然観察に興味を持つ。中学入学のお祝いにニコンの双眼鏡を買ってもらい、野鳥観察にのめりこむ。大学卒業後は山岳専門旅行会社、海専門旅行会社を経て、フリーカメラマンとして活動。山岳写真から、植物写真に目覚め、植物写真家の木原浩氏に師事。植物だけでなく、世界史・文化・お土産・おいしいものまで幅広い知識を持つ。

⇒高橋修さんのブログ『フィンデルン』

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