足元のつまづきが遭難を招く結果に・・・。 島崎三歩の「山岳通信」 第79号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2017年7月21日に配信された第79号では、県内で起きた3件の遭難について触れている。いずれも北アルプスでの転倒による事故となった。

 

7月21日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第79号では、7月6日~7月9日の間に起きた山岳遭難の遭難事例が掲載されている。以下に抜粋・掲載する。

また、本格的な夏山シーズンのスタートに先立ち、夏山情報の発表や、登山相談所の開設についても説明している。

 

7月6日~9日の信州の山岳遭難現場より

7月6日~9日の間に長野県内で起きた山岳遭難は以下の3件でした。

  • 7月6日、北アルプス北穂高岳で、65歳の男性が北穂高岳から涸沢へ向けて南稜を下山中につまづいて約 10 メートル滑落して背中などを打ち軽傷を負う山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

北穂高岳遭難現場付近の状況
(写真提供:長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)7月13日付)
  • 7月9日、北アルプス餓鬼岳付近で、餓鬼岳から東沢岳に向けて縦走中の44歳の男性がガレ場で足を滑らせ転倒して左足首捻挫などの軽傷を負う山岳遭難が発生し。県警ヘリで救助された。

北アルプス餓鬼岳遭難現場付近の状況
(写真提供:長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)7月13日付)
  • 7月9日、北アルプス焼岳で、焼岳から上高地へ下山中のアメリカ人の48 歳の女性が下山中に足首をくじいて転倒し、右足首を骨折する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

焼岳遭難者の負傷状況。ローカットシューズは捻挫のリスクが高い
(写真提供:長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)7月13日付)

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

7月2週は、3件の遭難が発生しましたがいずれも足元のつまづきや、足首のトラブルに起因するものでした。

3件目の写真は焼岳の遭難者の負傷状況と履いていたシューズです。最近はトレイルランニングの普及により軽量の登山用シューズも販売されていますが、登山靴と比較すると、つま先や足首の保護の点では劣ります。日帰り登山でも自分の足をしっかり保護できる登山靴を選びましょう。

登山用品店などで、専門知識のあるスタッフに登る予定の山と自分の経験を伝え、用具についてアドバイスを受けて装備を整えるのも安全登山のコツの一つです。計画段階で、自分の装備に不備はないか、もう一度確認をしましょう。

 

長野県、平成29年「夏山情報」を発表

夏山シーズンを迎えた長野県では、登山者に安全登山を呼びかけるために、山岳遭難の実態と遭難しないためのノウハウや心がけをまとめた、「夏山情報」を発表した。本内容は長野県のホームページから閲覧可で、PDFファイルをダウンロードして閲覧することも可能だ。

本書のまえがきでは、『遭難の背景には「登山コースと力量のミスマッチ」があります』として、自分の力量にあった登山を心がけることを呼びかけている。

平成29年夏山情報。クリックするとPDFをダウンロードできる

また、長野県内の主要登山地の登山口に、登山相談所を開設したことも発表した(開設箇所はこちら)。主要登山口44か所では、夏山シーズンとなる7~8月に、遭難箇所を明記したマップなどによりリスクをリアルに情報提供するとともに、積極的な声掛けを行っている。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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