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重さ100g...!? トレランや低山ハイキングにおすすめのレインウェア -いまどきレインウェアの選び方 その2-

道具・装備 2017年09月08日

前回は、防水性や耐久性が高い、初心者でも安心できるレインウェアの選び方を、さかいやスポーツ・高橋さんに紹介してもらった。
今回はトレイルランニングや低山でのハイキングなど、本格的な登山以外のアクティビティ用に販売されているレインウェアについて取り上げたいと思う。最近は山の楽しみ方のバリエーションが増え、超軽量のものや、今までにないデザインのレインウェアも販売されている。従来のレインウェアとの違いは何なのか?
今回も引き続き、高橋さんに聞いてみた。

POINT
  • 超軽量レインウェアは、基本的に◯◯がない
  • 2.5レイヤーと3レイヤーの違いは裏地
  • 薄いレインウェアの防水力って、ちゃんとあるの?

透湿の高い軽量レインウェアは、多くのパーツが省かれている

前回の記事:レインウェア、これを買えば間違いない! -いまどきレインウェアの選び方 1-

高橋さん:前回、防水性と耐久性で選ぶなら、「ゴアテックス素材を使った上下セットのレインウェアがベストだ」とお伝えしました。しかし、ゴアテックスのレインウェアは、独特な蒸れ感があり、それが苦手な方もいると思います。

編集部N:たしかに、丈夫なレインウェアは生地が厚く信頼性が高い分、蒸れを感じやいですよね。

高橋さん:何日もかけて縦走するような山行にはゴアテックスが向いていますが、低山やロングトレイルを軽快に歩きたい方は、ちゃんと特性を理解していれば他の防水透湿素材でもいいと思います。例えば「ポーラテック ネオシェル」は透湿性がとても高く、湿気がよく抜けてくれます。それでいて防水力もしっかりしている素材です。

編集部N:ゴアテックスのレインウェアとの違いはなんでしょうか?

高橋さん:まず、ゴアテックスのレインウェアは基本的に限りなく完全防水に近づくように作られています。たとえば、ファスナー裏(もしくは表)にフラップがあります。これによって弱点のジッパー部分も外から水が入りにくくなり、防水性が高まりますが、フラップを付けることで通気性は損なわれ重くなります。

ジッパー裏側に取り付けられているのがフラップ

高橋さん:軽量で高透湿のレインウェアは、そういったパーツが省かれて簡素化されている場合が多いんですよ。例えば、このティートンブロスの「Tsurugi Lite Jacket(ツルギ ライト ジャケット)」なんて、まさにそうですよね。止水ファスナーは使っていますが、裏も表もフラップはない。「蒸れるくらいなら、重くなるくらいなら、多少濡れてもいい」くらい割り切っている方には、こういったレインウェアがいいかもしれません。もちろん経験と体力がある人に限りますが。

「ツルギ ライト ジャケット」は根強い人気があるそうだ

編集部N:「ツルギ ライト ジャケット」は、デザインも独創的ですよね。最近のウルトラライト(以下、UL)指向のハイカー、トレイルランナー向けのレインウェアはとても軽量でコンパクトですが、生地が薄い分、快適性の面で心配です。着心地はどうなんでしょうか?

高橋さん:レインウェアの着心地は、2.5レイヤーか3レイヤーかによって大きく変わってきます。これは生地の層構造の違いで、3レイヤーは撥水機能を持つ表地とトリコット(編み物)の裏地の間に防水透湿性を持つメンブレン(被膜)をはさんだ3層構造になっている生地です

3レイヤーの裏地

高橋さん:2.5レイヤーは、裏地をトリコットではなく、ポリウレタン等でコーティングしたものです。2.5レイヤーのメリットは軽量でしなやかなことですが、トリコットの裏地がない分、汗をかくとベタついてしまいます。また、軽量なレインウェアは生地が薄くなりますから、寒さを防げないというところが弱点になりますね。

2レイヤーの裏地

理解したうえで使えば、大きなメリットを得られます

編集部N:軽い分、弱点も出てくると。登山経験がしっかりある人向けのレインウェアとも言えますね。

高橋さん:そうですね。トレイルランニング、ULハイキングのようなストイックに軽量化を求めるジャンルのレインウェアは軽くてカッコいいんですが、防水力では少し劣る部分があります。登山初心者の一枚目としては不向きですが、性質をよく分かったうえで経験と体力がある方が着用していただければ問題ないと思います。

編集部N:駅が近い低山のハイキングなんかは、荷物を軽くして軽快に歩きたいですもんね。

高橋さん:例えば登山経験が豊富な方が、奥多摩に日帰りで行くために重いレインウェアを持っていく必要はないと思います。それなら、トレイルランニング用のコンパクトなものをザックに忍ばせておいて、急に天候が変わったら、それを着て駅まで降りてしまえばいい。荷物が減れば歩ける距離も増えますし、最低限のプロテクションはトレイルランニング用のレインウェアでもしてくれます。

編集部N:防水性能も気になるところですが、実際どこまで雨を防いでくれるのでしょうか。

高橋さん:軽量でコンパクトなレインウェアも、基本的な防水性能はあります。例えば、ザ・ノース・フェイスの「ストライクトレイルフーディ」。

高橋さん:とても薄い生地ですが、ホースで水をかけても問題ない程度の耐水圧はあります。耐水圧とは、「どのくらいの水圧に耐えられる防水性を備えているか」ということです。「ストライクトレイルフーディ」だと、普通の雨程度は耐えられますが、激しい雨が降ってきた時は沁みてくる場合があります。あとはザックを背負っていれば、ショルダーハーネスが擦れて耐水圧を超えてしまうこともあります。

編集部N:擦れる部分は盲点になりやすいですね。

高橋さん:また、軽量化のためにファスナー裏のフラップが省かれているだけではなく、ポケットの裏地がメッシュになっています。これは大雨が降るとファスナーから浸水しやすいので、ポケットからメッシュ全体が濡れてしまって冷えに繋がります。そういったリスクを理解したうえで使えば、超軽量・コンパクトという大きなメリットを得ることができます。この「ストライクトレイルフーディ」なんて、たった110g(※メンズLサイズ)しかないんですよ。

実際に重さを測ってみたら、110gよりも軽かった

編集部N:軽いっ!

高橋さん:シーンによって選べば、こんな選択肢も良いと思います。基本的には標高の低いところで使うことを目的をしているので、すぐに帰ることができなかったり、アクシデントが起こる可能性の高い山行には、耐久性の高い、しっかりしたレインウェアを選んだほうがいいと思います。どちらを選べばいいかわからない場合も、防水性や耐久性が高いしっかりしたレインウェアを選ぶことをオススメします。山ではどんなアクシデントがあるか分からないですからね。

編集部N:なるほど、よく分かりました。(店内を見回して)お! これも面白いですね。

アクシーズクイン「カグヤ」(右)と、「トバリ」(左)

高橋さん:アクシーズクインの「カグヤ」は、完全に低山、樹林帯向けのレインウェアですね。長く歩いていれば雨脚も変わってきますので、雨が弱くなったら紐を開けてしまえば、通気性がとても良くなります。

編集部N:透湿性ではなく、通気性能を高めた。面白い発想ですね。

高橋さん:雨で濡れないのはもちろん、蒸れて内側から濡れてしまってもよくない。使えるエリアは限定されますが、「カグヤ」とレインスカート「トバリ」を使えば、上から降ってくる雨は十分防げます。稜線や風の強い場所では一気にまくりあげられて濡れてしまいますが、山行計画に合っていれば、こういう選択肢も全然アリだと思います。

「街中でも着られるレインウェアと、フェスの定番だったポンチョの今 -いまどきレインウェアの選び方 その3-」に続く...!

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雨具
教えてくれた人

高橋典孝(さかいやスポーツ ウェア館)

山の世界で働いて17年のベテラン。ウェアに関する知識はオタク級だが山道具も大好き!!
ゆったりオートキャンプからガッツリ登山まで何でもこなすが特に最近は、トレイルランニング、テンカラ釣りに没頭中。

さかいやスポーツ

創業以来、約60年にわたり神田神保町で全国の登山家やアウトドアマンに愛されている登山用品店。ウェア、シューズ、ギアなど品目別の専門館を6店舗展開。ウェアや道具に詳しいスタッフが丁寧に解説してくれるので、ビギナーでも安心。

住所/東京都千代田区神田神保町2-48
TEL/03-3262-0432
営業時間/11:00~20:00
アクセス/神保町駅A4出口より徒歩6分、JR中央・総武線水道橋駅東口より徒歩8分

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