疲労が蓄積される下山時は遭難が多発。下山時は一層の注意が必要！　島崎三歩の「山岳通信」第88号

長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2017年9月22日に配信された第88号では、県内で起きた全10件の遭難について触れ、下山中の疲労による事故について注意喚起している。

9月22日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第88号では、9月4日～10日の間に起きた山岳遭難の遭難事例が掲載されている。以下に抜粋・掲載する。

9月4日～10日の信州の山岳遭難現場より

9月4日～10日の間に起きた長野県内で起きた山岳遭難は以下の10件でした。

9月4日、北アルプス針ノ木岳で、63歳の女性が針ノ木岳から針ノ木雪渓を扇沢に向けて下山中に、岩の上でスリップして左腕骨折の重傷を負う山岳遭難が発生。遭対協隊員により救助された。
9月4日、奥秩父連峰金峰山で、49歳の男性が廻り目平付近分岐岩でボルダリング中にバランスを崩して下に落ちて左足骨折の重傷を負う山岳遭難が発生。救急隊により救助された。
9月7日、北アルプス北穂高岳で、50歳の男性が大キレットA沢のコル付近の岩場で滑落して心肺停止状態となっているのを別の登山者が発見。9日に県警ヘリにより救助されたものの、多発外傷により死亡が確認された。
9月7日、北アルプス涸沢で、55歳の男性が涸沢からパノラマコースを下山中に行方不明になる山岳遭難が発生。8日より救助隊員等および県警ヘリで捜索し、9 日に県警ヘリがパノラマコース慶応尾根付近の沢で発見救助したものの、その後死亡が確認された。男性は何らかの原因により登山道を外れ、滑落したものと思われる。
9月9日、北アルプス針ノ木岳で、61歳の男性が針ノ木岳へ向けて登山中に土捨場駐車場上方の登山道で何らかの発病により体調不良に陥り、行動不能となる山岳遭難が発生。救急隊、消防救助隊により救助された。
9月9日、北アルプス槍ヶ岳で、55歳の男性が北鎌尾根を登山中、何らかの原因により滑落する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助したものの、その後死亡が確認された。
9月9日、北アルプス唐松岳で、70歳の男性が唐松岳に向けて登山中に丸山ケルン付近で、何らかの発病により体調不良に陥り行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。
9月10日、八ヶ岳連峰赤岳で、51歳の女性が赤岳に向けて登山中に赤岳頂上山荘付近でスリップして転倒し、右足首を負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

八ヶ岳・赤岳の救助活動の状況
（写真提供：長野県警察本部ホームページ山岳遭難発生状況（週報）9月14日付）

9月10日、北アルプス常念岳で、58歳の男性が一の沢登山道「山の神」付近で疲労により転倒、行動不能となる山岳遭難が発生し、県警救助隊などで救助された。
9月10日、北アルプス常念岳で、74歳の男性が一の沢登山道「烏帽子沢」付近を下山中に、転倒による打撲と疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。