花の島・花の山、伊豆七島神津島の天上山は秋の今でも花の季節!

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秋も深まり、山で見かける花は少なくなったが、伊豆七島神津島の天上山は、今も花の盛りの時期。オオシマツツジ、サクユリ、イズイワギボウシまど、花の島・花の山の天上山で見られる花を紹介する。

 

伊豆七島神津島の天上山は、今も花の盛りの時期だ。5月のオオシマツツジのころ、7月のサクユリのころ、そして9月のキキョウなど初秋の花咲くころ、11月の秋のイソギクの咲くころまでが花のシーズン。春から秋まで花また花が続く。花の島、花の山がこの神津島の天上山だ。

春の天上山の様子。海と緑が美しい

 

神津島と天上山の位置。ジェット船で東京から3時間40分

 

天上山の花は、ほんの一部の花好きだけにしか知られていないが、見事なお花畑が広がる。何といっても、ここ伊豆諸島だけにしか咲かない固有種の宝庫であることが素晴らしい。ただ珍しい固有種というだけではなく、ほとんどが美しく、見事な花ばかり。

春はオオシマツツジの季節だ。天上山の山上砂漠に、ぽっかり浮かぶような緑の島を作る。足元には、アツバスミレやシチトウスミレなども咲いている。

春を彩るオオシマツツジ

 

夏のサクユリの季節。天上山にはよく霧が出る。白い霧の中を歩くと、まずサクユリの強い花の香りに気が付くだろう。霧をかき分けていくと、突然現れる巨大なサクユリの白い花。登山道に飛び出すサクユリを、かき分け、かき分け、歩く。

霧の中に咲くサクユリ

 

秋は小さな花の季節となる。過ごしやすく、秋晴れの日が続く。初秋の花はちょっと玄人好みかもしれない。地味で小さいランが咲いていたり、キキョウやハマシャジンが咲いていたり。

しかし本当の花好きならばこの時期もいいだろう。イズイワギボウシ、ラセイタタマアジサイなど伊豆諸島だけでしか見られない植物の花も美しい。晩秋にはイソギクやイズノシマダイモンジソウが静かに咲いている。

天上山のキキョウは独特な葉と茎を持っている

 

イズイワギボウシ

 

ラセイタタマジサイ

 

ガクアジサイ。葉アジサイの原種

 

花もいいが、天上山は山も一流だ。天上山は360度が海。周囲は断崖絶壁で、高度感があり、北には太平洋の向こうに新島や利島、さらには富士山も見え、南東には三宅島や御蔵島を望むことができる、絶景の山なのである。しかも展望だけでなく、表砂漠、裏砂漠と呼ばれる白い砂に覆われた砂漠状の場所があったり、屋久島を思わせるような山々の連なりがあったり、とにかく景観のバラエティが豊富なのである。

海から見た、天上山。展望は抜群だ

 

何度行っても違うか顔を見せてくれ、様々な花が咲き乱れる神津島の天上山。日本にこんなすばらしい山があることを知って欲しい。そしてできれば天上山に登って欲しいと願ってやまない。

そして楽しみは山と花だけではないことも付け加えたい。醤油で漬けた島寿司をはじめ。新鮮な魚もおいしい。浜辺には無料のキャンプ場もあり、東京都の離島は、旅をしても楽しい。

プロフィール

髙橋 修

自然・植物写真家。子どものころに『アーサーランサム全集(ツバメ号とアマゾン号など)』(岩波書店)を読んで自然観察に興味を持つ。中学入学のお祝いにニコンの双眼鏡を買ってもらい、野鳥観察にのめりこむ。大学卒業後は山岳専門旅行会社、海専門旅行会社を経て、フリーカメラマンとして活動。山岳写真から、植物写真に目覚め、植物写真家の木原浩氏に師事。植物だけでなく、世界史・文化・お土産・おいしいものまで幅広い知識を持つ。

⇒髙橋修さんのブログ『サラノキの森』

髙橋 修の「山に生きる花・植物たち」

山には美しい花が咲き、珍しい植物がたくさん生息しています。植物写真家の髙橋修さんが、気になった山の植物たちを、楽しいエピソードと共に紹介していきます。

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