キノコ採りは通常の登山よりもはるかに遭難のリスクが高いもの。 島崎三歩の「山岳通信」 第90号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2017年10月4日に配信された第90号では、県内で起きた全5件の遭難のうち、キノコ採りによる遭難が3件あったことについて触れ、きのこ採りのリスクの高さを指摘している。

 

10月4日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第90号では、9月18日~23日の間に起きた山岳遭難の遭難事例が掲載されている。以下に抜粋・掲載する。

 

9月18日~23日の信州の山岳遭難現場より

9月18日~23日の間に起きた長野県内で起きた山岳遭難は以下の5件でした。

  • 9月18日、松本市三才山で、74歳の男性が三才山から下山中に道に迷い、右手皮下出血等の怪我を負うなどで行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

松本市三才山の現場の状況。樹林の切れ間から視認できるが、条件(日没、ガスなど)が悪ければ、発見は困難となる。
(写真提供:長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)9月27日付)

 

  • 9月20日、北アルプス五竜岳で、70歳の女性が五竜岳から下山中にバランスを崩して転倒して左手首骨折の重傷を負う山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

五竜岳の現場の状況。このような標高の高い稜線で行動不能となった場合、天候によっては救助を待つ間に体温を奪われ低体温症に陥る危険性がある。
(写真提供:長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)9月27日付)

 

  • 9月20日、松本市三才山で、62歳の男性がキノコ採りで入山したものの、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。松本署員により救助された。

  • 9月21日、松本市安曇の山林内で、71歳の男性がキノコ採りのために入山し、日向窪トンネル北側山林で滑落して頭部などを負傷する山岳遭難が発生。松本署員などにより救助された。

  • 9月23日、北アルプス横尾で、75歳の女性が本谷橋付近でスリップして転倒し、右足首骨折の重傷を負う山岳遭難が発生。県警救助隊により救助された。

 

山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

9月4週は、キノコ採り中の遭難が3件発生しました。昨年の秋山期間中は、キノコ採りの遭難が15件発生し、7名の方が亡くなっています。また、発生当初、単独入山したまま下山しないなどの届け出を受け、行方不明として対応したケースは6件ありました。

キノコ採りは整備されていない山林や崖等の斜面に入って行うため、通常の登山よりもはるかに遭難のリスクが高いと言えます。キノコばかりに目を奪われ、肝心な安全対策がおろそかになってしまわないよう、準備を整えて入山をしてください。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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