テント泊の醍醐味、山料理を楽しむために必要な山道具を揃えよう! 効率よく美味しい料理を作るコツ

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テント泊登山の醍醐味のひとつが山料理。食材や調理道具などで制限の多い山の中で、効率よく美味しい料理を作るために必要なものは「アイデア」。そのアイデアを実現するために必要な山道具について、石井山専新宿東口ビックロ店の清水良文店長に話を聞いた。

 

POINT
  • どんな料理を作るのか、何人分作るのかをしっかりとイメージしよう。
  • フライパンやトースターなどを使えば、アイデア次第で楽しい料理ができるかも!
  • 山料理は登山の大きな楽しみの1つ。ラクチン料理もいいが、ぜひ趣向を凝らしてみよう。

 

編集部T: 今回はテント泊に初めて行く際に、料理用の道具として必要なものについて教えてください。

清水さん: どういう料理をしたいのか、ということによって選ぶ道具は変わります。一人で歩いて、できるだけ軽く・コンパクトにしたい人、大人数で共同装備で長期で縦走するという人では大きく変わってくると思います。また、どんな料理を作るのか――、例えばお湯を沸かしてほぼ終わるようなものもあれば、しっかり山で料理する志向の人もいる――、どう料理するかによっても変わってくるでしょう。
一般的には、クッカー、ストーブ(バーナー)、食器類(皿およびスプーン・フォークなど)が必要となります。
まずはクッカー(コッヘル・鍋類)です。選択のポイントとしては大きさが重要になりますが――。その際に、ひとつ確認しておくべきはクッカーには「チタン製」と「アルミ製」があることです。コストパフォーマンスや熱伝導性を考えればアルミ製、軽量性や強度を考えるとチタン製を選ぶべきです。

登山用の一般的なクッカー。これ1セットで広く様々な料理に対応できる

 

編集部T: 形状については何かポイントはありますか?

清水さん: 例えば一般的には丸いものですが、パッキングの際に収まりが良いということで、四角いタイプもあります。また、燃料(ガスボンベ)がしっくり収まるタイプは収納性には有利だと思います。コンパクト性を追求する人は、こうした形のチョイスも良いと思います。
いずれにしても大事なのは、「何人で行くのか」「どのくらいこだわって料理をするのか」「何を作るのか」という目線で選ぶことです。
お湯を沸かす程度の料理で済まそうというのであれば、それだけに特化したものでも良いわけですからね。

一般的には丸型が多いが、パッキングで収まりが良い四角型など、大きさ・深さ・形状はさまざま。用途を登山スタイルをイメージしながら選ぶ必要がある

 

編集部T: 最近は山で凝った料理をすることが、少し話題になっていますね。

清水さん: そうですね、それについて最近も取材を受けたこともあります。その中で1つオススメしたいのがフライパンを使う料理です。フライパンにも様々なタイプがありますが、最近、自分でも愛用して使っているのが、お皿になるタイプとハンドルの組み合わせです。コンパクトにできる点、お皿とフライパン、一石二鳥で使える点などが便利で重宝しています。

お皿としても使えるのでフライパン+ハンドルの組み合わせは山料理に重宝するという

 

編集部T: 他にも便利なクッカーはありますか?

清水さん: 例えば、最近愛用しているのは「トースター」です。アウトドアのタイプは非常に軽くて使いやすい。そのうえ熱伝導が優れているので、パンなどは瞬間的に焼けますよ。また、中にソーセージなどを挟んで焼いても、すぐに焼けてしまいます。手早く火を通すことができるので、アイデア次第で、いろいろ使えると思いますよ。

清水さんがオススメするのがトースター。この中に挟んで火に当てれば、ソーセージなどはあっという間に焼けてしまうという

 

編集部T: 続いて実際に料理を作るための火器類について聞きますが、今はガスストーブが中心ですね。

清水さん: はい、安全性、手軽さ、コンパクト性考えると、初めての選択ではガスになると思います。もちろんホワイトガソリンは、冬季の火力面で優位性がありますが、最近はガスカートリッジでも冬の寒いところでも使えるものが出てきています。もちろん、長期山行などでは、ホワイトガソリンは重宝しますが、一般的にはガスで良いでしょう。

編集部T: ガスストーブにも色々な形がありますが、選ぶポイントはありますか?

清水さん: これも「どんな料理を作るのか」で、選び方が変わってくると思います。お湯を沸かすだけで済むような料理であれば、コンパクト性の高い、ジェットボイルのような湯沸かしに特化した商品でもいいかもしれません。
いろいろな料理をしたいのであれば一般的な形のもの、大人数で行って大鍋を使うというのであれば燃料と分離できる安定したものを選ぶ必要があるでしょう。
お湯をわかすだけなら、固形燃料やアルコールを使った、ウルトラライト系のものも、けっこう火力がありますよ。

大鍋を使って料理するなら安定性の高い「ボンベとの分離タイプ」を選ぼう

 

お湯を沸かすだけで済ます料理なら、それに特化したジェットボイルなどの選択もある

 

ウルトラライトに行くならこちら。固形燃料やアルコール燃料でも、お湯を沸かす程度なら十分な火力があるという

 

編集部T: ほか料理を作る・食べる上では、様々な用具・食器を利用しますが、便利なものは何かありますか?

清水さん: いろいろありますが、例えば折畳式のお皿、平らになるもの、シリコンのものなど、さまざまです。用途を連想して、実際にお店などで見てみて選んでもらうと良いと思います。
カトラリー(スプーン/フォーク類)は、今は軽量でコンパクトなものが人気です。いろいろなタイプがあるので好みのものを選んでみてください。
その他の調理用具については、調味料入れなども色々なラインナップがありますが、100円ショップなどで探しても良いものが揃うと思います。

 

アウトドアショップには、魅力的なお皿は多い。真っ平になるタイプ、折りたためるシリコンタイプなど、興味深いラインナップが多い

 

 

こだわりの料理グッズ、調理グッズも見ていて楽しい。作りたい料理をイメージして、少しずつ買い揃えていくのが良い

 

編集部T: 続いて、実際に作る料理・食材について伺いますが、お店には、簡単に作れる料理が結構ありますね。

清水さん: 水やお湯を入れるだけで済むものが多く揃ってます。山でいちばん多く使う食材の1つは、やはりご飯系だと思います。たとえば、このタイプ(下記参照)は、夜のうちに水を入れておけば朝はお茶漬けにして食べるとかできたり、朝水入れておいて昼に戻ったのをたべることが出来たりして便利ですね。
まったく水のいらない、スープ付きのタイプもあります。荷物はちょっと重くなりますが、水に心配な山行になりそうな場合は、選択肢になると思います。

手早くご飯を作るならこららのラインナップ。水やお湯で戻すだけで出来あがるので、手早く料理したい人にはオススメだ

 

編集部T: 最近はフリーズドライも、いろいろありますね。

清水さん: フリーズドライは味もいいし色々な種類があって、お湯を入れれば1分で戻るので、早くて手軽で、かつ軽くて良いですね。これにパン付けて食べるなどすると、さらに早く・軽くできると思います。

フリーズドライはカレーや味噌汁、リゾットなど味が豊富。お湯を注ぐだけで完成。軽量、簡単、味も美味しい。料理より行動重視な時には重宝する

 

編集部T: 手軽に料理を済まそうと思うと、今はかなりラインナップがありますね。

清水さん: 荷物を軽量化して、食料も簡単にして、ガンガン歩くのも良いでしょう。ただ、いろいろ食材を持っていって趣向を凝らした美味しい料理を作るのは山の楽しみのひとつだと思います。
数年前に「山ガールブーム」があって、今は落ち着いていますが、このときに始めた方たちが山飯ブームを作っているのかもしれませんが、凝った山飯を作る人が増えている気がします。
料理・食事はテント泊の醍醐味ですから、様々なアイデアを試して、山の楽しみを広げて欲しいと思います。

プロフィール

石井山専新宿東口ビックロ店

首都圏最大級の山・アウトドアの大型専門店。「安全」をテーマに、ユーザーのライフスタイルに合わせたさまざまな商品を提案している。店内では、登山学校の講習やワークショップなども開催中。

住所: 東京都新宿区新宿3-29-1 ビックロ 新宿東口店内 8F
TEL: 03-5312-9550
営業時間: 11:00~20:00
アクセス: 新宿三丁目駅A5直結、新宿駅・西武新宿線西武新宿駅下車徒歩5分

 ⇒ホームページ

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