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大切なのは、登山靴との相性! はじめてのアイゼン選び

道具・装備 2017年01月27日

冬山でのスリップ・転倒・滑落防止に欠かせないアイゼンですが、さまざまな種類があり、正直どう選べば良いかわからないという方も多いと思います。そこで今回は、石井山専新宿東口ビックロ店の植田さんに、アイゼンの選び方から歩き方のポイントまで、詳しくお聞きしました!

POINT
  • グレードに比例して爪も増える
  • 歩き方を覚えることが大事
  • 登山靴との相性で選ぶ

アイゼンを着けるのは、どんなとき?

アイゼンは雪山の斜面を歩くには、必須のアイテムです(植田さん)

編集部S:本格的な雪山登山にチャレンジしたいのですが、どんな装備が必要ですか?

植田さん:アイゼンは持っていますか? アイゼンは登山靴に装着し、斜面で滑らないようにしてくれるアイテムです。爪が付いていて、雪をザクザク踏みしめて歩くイメージがあると思いますが、凍った路面でもスリップを防ぐために着用することもあります。

編集部S:そうなると、時期としては雪の降り始めから必要になるイメージですか?

植田さん:そうですね。標高の高い山ですと、11月の終わりから12月には必要になってきます。さらに、場所によっては5~6月くらいまで必要なこともあります。山の雪がそのまま長い期間にわたって残り続けたりしますので。

編集部S:アイゼンといっても、形状にかなり違いがありますよね。爪の本数が多いほうがやっぱりレベルが高い山向けのでしょうか。

植田さん:はい、基本的に爪の本数が増えるほど、登山のレベルも上がると考えてください。関東近郊の森林限界を越えない山であれば、6本爪程度の軽アイゼンでも大丈夫だと思いますが、南アルプスや八ヶ岳のようなしっかり降雪があるところになると、10本爪以上のアイゼンは必携です。

編集部S:行きたい山がそれ相応のレベルになると、比例してアイゼンの爪の本数も増えていくというわけですね。

植田さん:目標としている山が森林限界を超えるようであれば、初めてアイゼンを買う方でも12本以上をおすすめしています。

編集部S:でも、これを初めて履くのはやっぱり緊張します・・・。

植田さん:もちろんいきなり一人で本格的な雪山を登ることはないでしょう。まずは、入山者も多く、踏み跡がしっかりついている山や、雪が降った直後の低山、傾斜のゆるい山などを歩いて慣れることをオススメします。

爪の本数が違うと、何が違うの?

編集部S:見てみると、爪の本数によって、見た目もだいぶ違うんですね。そんなに歩き心地も違うんですか?

植田さん:爪の本数の違いは、歩いてみるとすぐわかりますよ。本数が多いほうが安心感があります。10本爪や12本爪を使っている方だと、4本爪、6本爪の軽アイゼンで歩くと不安に感じるかもしれません(笑)

グリベルのG12(写真左)とその着用図(写真左)。本格的な雪山登山にも対応する12本爪のアイゼンです(植田さん)

編集部S:軽アイゼンの使いどころはどういうところになるんですか?

植田さん:爪の本数が多くなれば重量もそれなりに出てきますし、荷物もかさばります。例えば、積雪は多くないけど、登山道の雪が踏み固められてアイスバーン状になっている場合などは、12本だとオーバースペックですが、軽アイゼンをもっていると安心します。「凍っているかもしれないから持っていく」という意味合いで使っている人が多いのではないでしょうか。

i-TrekのHG120(写真左)とその装着図(写真右)。シンプルな6本爪のアイゼンです(植田さん)

編集部S:これを着けて歩くのか・・・。歩き方のコツってありますか?

植田さん:さっき見た目の違いに気付かれたと思いますが、まず軽アイゼンの場合は地面に対してフラットに、下に向けて爪が付いています。そのため、雪面に対して並行に、ザクザクと踏み込むような歩き方が必要になってきます。

6本爪タイプは、雪面に置くと爪がほとんど見えません(植田さん)

編集部S:斜度が出てくると、結構大変になってきそうですよね。

植田さん:そうですね。次に、12本爪の場合になりますが、12本爪の場合はつま先部分の爪が内側に入りこんでいるのがわかると思います。そうなると斜面に対して足先から置いていくような歩き方になると思います。

12本爪タイプは底面に沿っていて、爪先部分の爪がせり出しているのがわかります(植田さん)

編集部S:爪の本数によって、歩き方もだいぶ違いそうですね。

植田さん:歩き方で気をつけるところは、12本になると爪の長さも長くなるので、その分しっかりと足を上げてアイゼンを引っ掛けないように歩く必要があります。とはいえ、登山靴とアイゼンを合わせた重さは、片足で1.5kgほどありますから、まずその重さに慣れるというのも大事です。

編集部S:そんなに重いんですか! 疲れてくると、歩くのが辛くなりそうです・・・。

植田さん:人って、疲れてくると足の横の間隔がくっついてくるんですよ。ガニ股や内股など、歩き方に極端なクセのある方だと、アイゼンを引っ掛けて転んでしまうこともあります。足の動かし方にも要注意です。

靴との相性で選びましょう!

編集部S:そうなると、やっぱりアイゼンは、軽さで選んだほうが良いのでしょうか。

植田さん:軽ければ体力も温存できますし、それに越したことはないのですが、アイゼンを選ぶ際に重要なことは、何よりもまず「登山靴との相性」なんです。

編集部S:合う靴、合わない靴というのがあるということですか?

植田さん:はい。比べていただくとわかるんですが、製品によって爪の形や反り具合、アイゼンの幅が微妙に違っているんですね。このちょっとの形状で、合いやすい靴、合いにくい靴というのが出てくるんです。

編集部S:合っている靴ってどういう靴なんだろう。

植田さん:アイゼンを装着したとき、なるべく靴底にピッタリ合っていて、つま先とかかとの両方がフィットしているというものが相性のいい靴です。これがしっかり確認できていないと、靴から外れてしまって機能を十分に活かせません。

編集部S:今ある靴で大丈夫なのかなあ。

植田さん:アイゼンをたまたま先に持っているという方もいるんですが、靴と合わなければ使えません。いずれにせよ、土台となるのは何よりも靴ですから、それは妥協せずに選ぶべきだと思います。

編集部S:登山靴とアイゼンの相性が合ってないと意味がないんですね。

植田さん:そうなんです。さらに、アイゼンの着脱タイプには大きく3種類あって、ワンタッチタイプ、セミワンタッチタイプ、ストラップタイプがあります。これに関しても、たとえばアイゼンで「これがいい!」っていうのがあっても、やっぱり靴によっては合う、合わないがあります。使い勝手の好みもあると思いますが、必ず手持ちの靴と合わせながら確認するのが良いでしょう。

左から順に、ワンタッチタイプ、セミワンタッチタイプ、ストラップタイプ。ワンタッチタイプは靴のつま先と、かかとの出っ張り部分(コバ)に引っ掛けて装着するタイプ、セミワンタッチタイプは、靴のつま先のコバに引っ掛けて装着するタイプです。また、ストラップタイプはヒモで締めるタイプになります(植田さん)

編集部S:行き慣れている山だとしても、やっぱり冬山は装備が増えますよね。大変だなあ。

植田さん:装備を選んでしまえば、あとはそれを使いこなせるように練習をするだけです。逆に、歩き方の「技術」って、アイゼンを履いていてもいなくても共通している部分があります。講習会などに参加していくと、そういったトレーニングについても知ることができます。機会を積極的に得ることはスキルアップの近道なので、色々な講座に参加してみると良いと思います。!

教えてくれた人

植田 寿洋(石井山専新宿東口ビックロ店 勤務)

石井山専新宿東口ビックロ店で登攀具を担当。三度の飯より岩が好き。四季を通じて、沢登り、ロッククライミング、アイスクライミングを楽しんでいます。

石井山専新宿東口ビックロ店

首都圏最大級の山・アウトドアの大型専門店。「安全」をテーマに、ユーザーのライフスタイルに合わせたさまざまな商品を提案している。店内では、登山学校の講習やワークショップなども開催中。

住所/東京都新宿区新宿3-29-1 ビックロ 新宿東口店内 8F
TEL/03-5312-9550
営業時間/11:00~20:00
アアクセス/新宿三丁目駅A5直結、新宿駅・西武新宿線西武新宿駅下車徒歩5分

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