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主要山域

八甲田山

八甲田山

写真:高寺志郎  沖揚平からの北八甲田連峰。左から赤倉岳、井戸岳、大岳

 八甲田山は十和田八幡平国立公園にあり、十和田湖外輪山の御鼻部山以南に連なる峰々の総称である。同地域は昭和11年(1936)に十和田国立公園として指定されたが、その後1956年に八幡平の追加指定を機に名称が変更され、現在にいたる。
 八甲田山はまた、奥羽山脈最北の火山群である。山麓各地に温泉が湧出し、訪れる湯治客も多い。峰々の山容も円錐形や馬の背状をなし、穏やかである。しかし、これらの峰々の連なりは東北地方北部多雪地帯の障壁として、日本海型気候と太平洋型気候を仕切っている。それだけにこの火山性の山地には渓谷や湖沼、湿原が数多く見られ、四季を彩るそれらの景観がまた魅力的である。
 特に南八甲田山と呼ばれる地域は広大な湿原を有し、そこには幾多の池塘が点在する。そしてそこに敷きつめられたように群生する高山植物は、夏になると、カラフルなジュウタンを広げたように一面に花を咲かせる。その光景は、訪れる登山者の美的感覚を快く刺激するに違いない。さらに南八甲田山の峰々はオオシラビソ(アオモリトドマツ)林で山腹が覆われ、ゆったりとした馬の背状の山容を見せ、穏やかな雰囲気をつくり出している。
 この南八甲田に対し、北八甲田山がある。この2つの山域の境界は、荒川と猿倉川を分かつ笠松峠であり、国道394号線が延びている。その笠松峠を通る国道394号線の北側に広がる山域が北八甲田山で、南側、御鼻部山にかけて連なる山域が南八甲田山である。
 北八甲田山の盟主は大岳である。通称八甲田大岳。八甲田山で一番高い。ほかに雛岳(ひなだけ)、高田大岳(たかだおおだけ)、小岳(こだけ)、井戸岳(いどだけ)、赤倉岳(あかくらだけ)、前岳、田茂萢岳(たもやちだけ)、硫黄岳(いおうだけ)、石倉岳などの峰々がある。これらのうち石倉岳を除くと、いずれも成層火山で円錐形の山容をしている。
 他方、南八甲田山の盟主は櫛(くし)ガ峰(みね)である。このほか逆川岳、横岳、南沢岳、下岳、駒ガ峰、猿倉岳、乗鞍岳、赤倉岳などが緩やかな山容を見せている。
 北八甲田山は八甲田ロープウェイ開設(1968年)以来、登山者が著しく増加し賑やかになった。これに対して南八甲田山は登山者も少なく、まだまだ静寂。そのなかでも櫛ガ峰の北面、「ガチャボッチ」と呼ばれる小ピーク付近の逆川源流に広がる湿原地帯は道もなく魅力的だ。
 このガチャボッチに隣接して横岳がある。春の堅雪のころにはスキーで簡単に登れるが、山頂からの眺望は絶景である。北八甲田山から南八甲田山にかけて連なる峰々の雄大な風景を、一望の下に楽しめるピークである。

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八甲田山の主要な山

八甲田山

1,585m

高田大岳

1,559m

櫛ヶ峰

1,517m

乗鞍岳

1,450m

八幡岳

1,020m