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主要山域

後立山連峰

後立山連峰

写真:近藤辰郎  五竜岳山頂からの剱・立山連峰。左から水晶岳、赤牛岳、薬師岳、立山、別山、剱岳、池ノ平山

 飛騨山脈の北部、いわゆる北アルプスの裏銀座コースに続く、烏帽子岳から日本海までの山並みを、また狭くは針ノ木峠から白馬岳までの山域を後立山(うしろたてやま)連峰と称している。
 後立山とは、立山の方面から見て後ろにそびえる山々という意であるが、そのことは立山の方が、立山信仰などによって早くから拓かれていたことを示している。それに比べて後立山連峰には宗教的な匂いはあまりない。
 後立山連峰はほぼ南北に連なり、冬季、大陸からの季節風によって大量の降雪がもたらされ、夏の登山最盛期まで残雪も豊富である。この山域の南北には、日本三大雪渓のうち2つを占める白馬、針ノ木の大雪渓が存在する。
 連峰の東面は、フォッサマグナ(中央構造線)に沿って隆起した断層地形をなし、それと冬季の大量積雪がもたらす浸食との複合作用によって急崖をつくっている。岩稜、岩壁などのバリエーション・ルートが、東面に集中しているのはそのためである。
 それに反して、西面は黒部峡谷に向かって緩く傾斜し、主稜線はいわゆる片屋根型の非対称山稜を形造っているのが、この連峰の地形的特質である。非対称山稜は、特に白馬岳周辺、鹿島槍ヶ岳などで顕著である。
 白馬岳以北の主脈はおおらかな山容を連ねており、特定する必要のないほど至る所に高山植物が群生し、残雪、圏谷地形や高山湖沼群を散りばめて、独得の雰囲気をつくっている。
 白馬―鹿島槍ヶ岳の山域は、地形的特色から、岩稜と残雪のコンビネーションによるアルペン的風貌で代表され、その主稜は豪快な縦走が味わえる。黒部峡谷を隔てて対峙する剱・立山連峰の景観を欲しいままにできるのもこの縦走路の魅力である。
 爺ヶ岳以南の主稜は西方に大きく湾曲して半円状を描き、高度はやや低くなるが、北アルプスの中央部に位置するところから、北アルプス全体の眺望には恵まれ、静かで、変化もあり、意外に味わいのある山歩きのできる山域でもある。
 この連峰への登山道は、最も古い針ノ木峠越えや唐松越えなどの主脈を横断するもののほかは、東面の信州側からのものが多く、登山者もまた信州側から入下山することの方が圧倒的に多い。登山の歴史としては、天正12年(1584)、戦国武将の佐々成政の積雪期針ノ木越えの伝説や、1640年以後の富山、松本藩による黒部奥山廻り役などの記録もあるが、近代登山としては1870年代の外国人による針ノ木越えなどをはじめ、地質・植物学者による学術登山や日本山岳会の初期メンバーによるものがある。

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後立山連峰の主要な山

白馬岳

2,932m

鑓ヶ岳

2,903m

鹿島槍ヶ岳

2,889m

旭岳

2,867m

針ノ木岳

2,821m

五竜岳

2,814m

蓮華岳

2,799m

小蓮華山

2,766m

唐松岳

2,696m

赤沢岳

2,678m

爺ヶ岳

2,670m

鳴沢岳

2,641m

岩小屋沢岳

2,630m

烏帽子岳

2,628m

雪倉岳

2,611m

不動岳

2,601m

北葛岳

2,551m

船窪岳

2,459m

朝日岳

2,418m

奥鐘山

1,543m