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主要山域

大峰山脈

大峰山脈

写真:吉田昭市  大台・大蛇嵓からの大峰山脈。左から釈迦ヶ岳、仏生ヶ岳、八経ヶ岳、弥山、行者還岳

 大峰山脈は、近畿の屋根といわれるとおり、紀伊半島の南部、熊野本宮付近から吉野山まで延々150kmの大脊梁を形成している。
 山脈には標高1200m以上の山だけでも50座を数える。それぞれ深いV字渓谷を形成し、渓谷は豊富な雨量がはぐくんだ森林に包まれ、清流を走らせる。激流は深淵、奇瀑を生み、大峰特有の渓谷美を造り上げている。
 近畿に残された数少ない大自然の魅力は多くの山岳愛好家をひきつけてやまない。また、古くから修験道の山としても広く知られているが、今もって女人禁制の掟を守っているのはあまり知られていない。修験道の最高の練行といわれる「大峰奥駈修行」は、山脈の北端吉野山から南端の七越ノ峰まで、峻峰深谷を踏み越え、75カ所の聖地、行場を巡る厳しいものである。
 大峰山脈の地形は一般的に吉野川、北山川に落ち込む東面が急峻である。これに比べ西面の十津川側は、概して緩い傾斜の側脈が延び、渓谷が複雑に入り組んでいる。
 地質は大天井ヶ岳から行者還岳、稲村ヶ岳付近が秩父古生層に属する。礫岩や硬砂岩からなり、岩登りには適さない。弥山、八経ヶ岳は砂岩、頁岩。平均傾斜70度、500mの岩壁を持つ七面山南壁や釈迦ヶ岳、大日岳の行場などは石英斑岩からなっている。
 気象条件は大台ヶ原山における観測データから見て、大峰山脈は年間降水量が極めて多いことが知られている。すなわち、天気が不安定な日が多い。
 大峰山脈を訪れる登山者は常に気象の変化、荒天に備えなければならないが、気象の特徴として、夏季に雨が多く、冬季は比較的少ない。
 冬季は標高1900mの八経ヶ岳付近の年間最低気温が氷点下18度程度。積雪も弥山付近が最も多く、南進するに従って少なくなり、玉置山付近ではほとんど積雪を見ない。峻険な北部と緩やかな南部では気温や植生も違う。
 大峰山脈は最高峰でも標高2000mに満たない。山頂も多くは樹木に覆われているが、高山植物は比較的多く、50余種に及ぶと聞く。代表的な植物はツクシシャクナゲやヤシオツツジ。稲村ヶ岳、山上ヶ岳から五大尊岳付近まで広範囲に分布している。珍しいものとしては孔雀岳から釈迦ヶ岳付近にかけて見られるシコクダケカンバの群落。また阿須迦利岳(あすかりだけ)から笠捨山までの稜線付近では4月下旬ごろ、アケボノツツジが開花する。弥山付近と明星ヶ岳北西面には国の天然記念物に指定されているオオヤマレンゲが分布し、7月中旬に気高く香る花を咲かせる。孔雀岳と釈迦ヶ岳の間にはクルマユリ、ウスユキソウ、コケモモなどがお花畑をつくる。

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大峰山脈の主要な山

大峰山

1,915m

弥山

1,895m

仏生嶽

1,805m

釈迦ヶ岳

1,800m

大普賢岳

1,780m

孔雀岳

1,779m

稲村ヶ岳

1,726m

山上ヶ岳

1,719m

国見岳

1,655m

七面山

1,624m

槍ノ尾ノ頭

1,556m

行者還岳

1,546m

天狗山

1,537m

大天井ヶ岳

1,439m

笠捨山

1,353m

百合ヶ岳

1,346m

和佐又山

1,344m

玉置山

1,077m

吉野山

858m

五大尊岳

825m

高城山

698m