楽しい登山のベースレイヤー、メリノウールの魅力!

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登山の快適さに関わるベースレイヤー、吸汗速乾性があれば何でも良さそうで、ウェアの中ではおろそかになりがちですよね。でも機能性の高いものを選んでおけば、気になる「ニオイ」も気にすることがなくなるかも・・・? 今回は神田さかいやスポーツスポーツ・ウェア館の髙橋さんに、最近山でも着る人が増えている「メリノウール」という素材について、特長とその魅力についてお聞きしました!

POINT
  • 化学繊維とメリノウールの違い
  • 吸水性抜群。そして"におわない"
  • メリノウールを買う時の注意点

 

メリノウールってなんだろう?

編集部S:登山用のTシャツを探してるんですけど、売り場ってどこにありますか? 着替え用にもう1枚買っておこうと思って。

髙橋さん:それでしたらこちらにどうぞ。ところでメリノウールって知ってます? あれホントにいいですよ。おすすめです。

さかいやスポーツウェア館のウールTシャツ売り場。かなり幅広いラインナップ!

編集部S:なんか聞いたことはありますけど・・・くわしくはわかりません(笑)

髙橋さん:メリノウールは、ウールの中でもメリノ種を使用した天然素材で、このスマートウールのマイクロ150パターンTは100%メリノウールでできています。登山用のTシャツは化学繊維のものが主流ですが、私は絶対メリノウール派ですね!

編集部S:何がそんなにいいんですか?

髙橋さん:まず汗をよく吸ってくれるということなんですが、メリノウールは湿気も吸ってくれるのが大きな特徴です。体から出る汗で玉になって出てくるもの、これは化繊でも吸収してくれるんですが、玉にならないようなモワッとした湿気は、化繊はなかなか吸ってくれないんですよ。

編集部S:綿のTシャツに近いような感じですか?

髙橋さん:はい。でも同じ天然素材のコットンとの違いは、濡れても冷たくなりにくいこと。メリノウールは吸水すると熱を発生させる傾向にあるので、体を冷やしにくいというメリットもあります。化繊は逆に素早く乾くのですが、乾くときに水分と一緒に熱を奪います、それと比べてもメリノウールは標高の高い山での体温調整に向いている素材なんです。

登山で気になるニオイをカット

編集部S:汗をたくさん吸うと、やっぱり乾きにくくて不快感も増しませんか?

髙橋さん:化学繊維のベースレイヤーに比べると、天然素材なので速乾性には敵わないかもしれません。でも、もうひとつの大事な特徴が"におわない"ってことなんですよ。

編集部S:あー、それは嬉しい! 登山で山小屋泊すると、自分でもニオイが気になるし、それに山小屋で他の人にもニオイが伝わってないか心配で・・・。

髙橋さん:化学繊維だと自分でもビックリするくらい臭くなるんですよね(笑)でもメリノウールには天然の抗菌効果が備わっています。だから、ずっと着続けていても全然気にならないんですよ。

編集部S:そういえば、化学繊維のベースレイヤーで、消臭効果をうたっているようなものを見たことあります。あれではダメなんですか?

髙橋さん:いやいやダメではないんですが・・・個人的にはメリノウールと比較すると全然効果も違うと思っています。ホントに快適です。

編集部S:そっかあ・・・。"におわない"っていうのは、登山を楽しむためには意識しておきたいポイントですね。

髙橋さん:登山をトータルで考えると、山行中だけじゃなく、山小屋に着いても楽しんでいたいですし、"ニオイ"は、自分の気持ちやモチベーションに関わるような大切なポイントだと思っています。着替えを持っていなくて電車で帰ろうものなら、ウェアがにおうと「ああ・・・」って気分になりますよね。

メリノウールのウェアを選ぶ時のポイント

編集部S:そんなにいいこと尽くしなのに、なんで化繊が主流なんでしょうか?

髙橋さん:化繊が登場する前はむしろウールが主流でしたし、ずっと前からあったことはあったんです。ひとつはやっぱり価格ですかねえ。

編集部S:ほんとだ! 結構するんですね。

髙橋さん:日本人だと特に、ベースレイヤーというカテゴリに関して、あまりお金をかけない傾向があると思うんです。それもあって、価格の面でやっぱりハードルが少し高くなると思うんですよね・・・。おすすめなんですけどね。

編集部S:ある程度お財布に余裕がないと、なかなか思い切って買えないかも。

髙橋さん:このスマートウールのマイクロ150パターンTは、基本的には下着のカテゴリに含まれるのですが、Tシャツのような感じの使い方をイメージすると良いと思います。夏ならこれ1枚でも行けるところは行けちゃいますし、この上からアウターを着てもらって全然OKです。その高機能性に着目すれば、価格差もさほど気にならないのではないかと・・・。

さっそく試着! かなり気持ちの良い着心地!
「ジャストサイズがいいですが、こんな感じで少しゆったり着ても雰囲気いいですね」(高橋さん)

編集部S:どうしよう、買おうかなあ。薄さとかはこれくらいで大丈夫ですか?

髙橋さん:平方メートル辺りに使われているウールの量(g)にあわせて130、150、190、250といくつかタイプがあって、数値が低いほど薄くなっています。夏なら150くらいで大丈夫だと思います。秋口には長袖を着るという選択肢もありますね。

編集部S:天然素材ですけど耐久性はどうですか?

髙橋さん:そこまで気にせず何年も着れると思いますよ。ただ摩耗には弱く、毛玉になりやすいので、洗濯するときはネットに入れてください。多少ヘタっても普段使いで着たりとか。私、実は今も着てるんですけど、めちゃめちゃ快適ですよ。

紹介した山道具

スマートウール マイクロ150パターンT
参考価格:8,964円

プロフィール

さかいやスポーツ

創業以来、約60年にわたり神田神保町で全国の登山家やアウトドアマンに愛されている登山用品店。ウェア、シューズ、ギアなど品目別の専門館を6店舗展開。ウェアや道具に詳しいスタッフが丁寧に解説してくれるので、ビギナーでも安心。

住所/東京都千代田区神田神保町2-48
TEL/03-3262-0432
営業時間/11:00~20:00
アクセス/神保町駅A4出口より徒歩6分、JR中央・総武線水道橋駅東口より徒歩8分

高橋 典孝(さかいやスポーツ ウェア館)

山の世界で働いて20年のベテラン。ウェアに関する知識はオタク級だが山道具も大好き!!
ゆったりオートキャンプからガッツリ登山まで何でもこなすが特に最近は、トレイルランニング、テンカラ釣りに没頭中。

登山道具の買い方・選び方、ショップのスタッフに聞きました!

数ある登山道具の中から、自分にピッタリの用具を選ぶには? 登山用具を知り尽くした、ICI石井スポーツ、好日山荘、さかいやスポーツ、かもしかスポーツなどのスタッフが、用具チョイスとツボを説明します。

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