ローカット、ミッドカット、ハイカット――、登山靴選びの第一歩!「靴のカット」に注目してみよう

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「登山靴」と一言で言っても、本当にたくさんの種類がありますよね。これは登山靴のメーカーがたくさんあるだけでなく、さらにメーカーの中でも用途別に靴を作り分けているから。つまり登山靴は用途ごとに細分化し過ぎてしまったため、選ぶ側の選択肢も多くなってしまいました。靴選びは最終的には用途と自分の足との相性ではありますが、買い物に行く前の基礎知識として、今回は靴の「カット」に注目してお話しします。

 

靴のカットの違いによるメリットとデメリット

登山靴を種類で分けると、メーカーによって「ウォーキング・アプローチシューズ」、「軽登山靴」、「重登山靴」など、さまざまな呼び方がありますが、靴のカットに注目して、ローカット、ミッドカット、ハイカットの3種類の特徴に加えて、メリット、デメリットもあえて挙げてみました。

 

「ローカットシューズ」

靴の高さがくるぶし辺りまでの靴です。荷物の少ない日帰りの低山・里山歩きに適した靴です。自然歩道歩きや植物の観察など、比較的高低差の少ない山歩きに向いていて、普段履く靴に近い感覚で歩けます。スニーカーとの違いはソールがしっかりしていること。ぬかるみなどでも滑りにくい形状になっています。軽量なので、脚の筋肉量の少ない人でも扱いやすいです。

メリット

  1. 足首が自由に動くので、平坦な場所で歩きやすい
  2. 軽い
  3. 林道歩きなどで疲れにくい

デメリット

  1. 足首を覆っていないので、足首をひねりやすい
  2. 砂利や小石が靴の中に入ってしまう

 

「ミッドカットシューズ」

靴の高さが足首を覆っているタイプのうち、低めのものをミッドカットと言います。厳密な高さの規定はありません。用途としては日帰りから山小屋泊までの山行を想定しています。例えば富士登山などがこのカテゴリーになります。ゴツゴツした岩場でも安定して歩けるよう、ソールはやや固めになります。靴自体があまり重くならないよう、皮とナイロンの組み合わせが多いです。

メリット

  1. 足首を覆っているので、足をひねりにくい
  2. ハイカットタイプよりも軽量で扱いやすい
  3. 荷物が多少重くなっても、安定して歩くことができる

デメリット

  1. 雪山での使用は想定されていないことが多い
  2. 素材によっては耐久性が弱いものがある

 

「ハイカットシューズ」

靴の高さが足首を覆っているタイプのうち、くるぶしまでしっかり覆われているものをハイカットと言います。重い荷物を背負ってアルプスを縦走するなど夏のテント泊登山にも向いていて、特に急な下りでその威力を発揮してくれます。足首をしっかりホールドしてくれるので、意外と安定して歩くことができます。ソールは固めで溝もしっかり深いです。これはつま先で小さな岩場などに体重をのせる時などに有効です。足首全体が靴に守られていて慣れるまで動きづらい面もありますが、長期の縦走となると逆に楽に感じられます。

メリット

  1. どんな状況(雨、雪、岩場など)でも使用できる
  2. 足首のホールド感が強く、下りで安定
  3. 防水性、耐久性も考慮されている

デメリット

  1. 重いものが多い
  2. 軽快な動きには向かない

登山用品店で試し履きするときは、ご自分の目指す山行がどんなものかがはっきりしているほうが、スタッフからも的確なアドバイスがもらえると思います。最近は「ファストパッキング」という衣食住を担いでより早く軽快に山を歩く登山スタイルもあるくらいで、歩き方は本当に人それぞれ。でも靴は登山用品の中でも一番の相棒ですから、じっくりと選びたいものです。

プロフィール

田口 裕子

フリーランスのライター、編集者。学生時代より登山を始め、登山歴は25年のいわゆる中高年登山者の一人。徒登行山岳会所属。ハイキングから沢登り、アルパインクライミングまで山での遊びは何でも楽しんでしまう自由人。最近はロゲイニングとロングトレイルに夢中。

⇒徒登行山岳会

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