「三点支持」だけじゃない! 岩場・鎖場を安全に歩くコツ

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POINT
  • 「三点支持」は岩稜歩き基本中の基本!
  • 下りの練習は入念に!
  • 岩場を歩くときは、グローブを外そう
本日のお悩み

将来は北アルプスを縦走できるようになりたいです。次のステップに進むために、「岩場の歩き方」を上達させたいのですが...(40代/女性/登山歴1〜2年)

「近場の山々に慣れたら、次はアルプス登山にも挑戦したい!」そんな目標を持っている人も多いのではないでしょうか? とはいえ、初心者にとって「岩稜帯の登山」はほとんど未知の領域。岩場や鎖場を歩くコツについて、山センパイに聞きました!

 

基本中の基本、「三点支持」はおさえておこう!

「三点支持」または「三点確保」と呼ばれる技術が、全身を使って登るような岩場を安全に上り下りするための必須事項。手がかり、足がかりになる岩の突起や割れ目を見きわめ、手足の4点が岩をとらえた状態から、どこか1点だけを動かす(残りの3点は動かさない)、という歩き方です。また、岩からは身体を離すようにするなど、クライミングやボルダリングの基礎的な動きもマスターしたいところ。

「歩幅が開くと三点支持のバランスが悪くなるので、歩幅はできるだけ小さく」と教えてくれたのは、京都明峯勤労者山岳会の花折さん。ベストなバランスは、手足の3点で三角形を作るイメージだそう。欲ばって遠くの岩を掴もうとしないように心がけたいですね。

 

登りより難易度アップ!下りの岩場はどう歩く?

登りに比べるとコツが掴みにくい下りですが、やはりここでも「歩幅を小さく」が重要なポイントになるそう。小刻みな移動で安全を確保しつつ、下山します。

K9-SAR 岳の会の若山さんによると、「段差の大きいところは、速やかに腰を下ろして脚を出す。さらに不安な場所では、身体を岩に向けて降りる。こういう行動が自然にとれるようになると、安全性がぐっと高まります」とのこと。岩場での経験を少しずつ積んでいくことで、正しい判断力を身に付けていきましょう!

 

意外な落とし穴?岩場歩きでは「手袋」を外そう!

岩がゴツゴツしているから...とグローブをしたくなる気持ちも分かりますが、実はそれで「指先の感覚を鈍くしてしまう」という可能性も。

「京都のある登山学校では、無雪期の岩場では手袋は着けない、ということを徹底して指導しています」と花折さん。手袋をしていないと指先が凍りそう!という場合でなければ、素手でしっかりと岩を掴むようにするのが良いようです。・・・ということは、岩場歩きの練習は寒くない時期にしておくのが吉、かもしれませんね。

もちろん、前提として「バランス感覚を身につけること、足腰の筋力をつけておくことが一番」と若山さん。実際に岩場歩きをする前に、ボルダリングジムに行ってみるのもオススメです。岩場歩きの重要技術、「三点支持」の感覚をつかみやすくなり、バランス感覚にも自信がつきますよ。

プロフィール

花折 敬司(京都明峯勤労者山岳会)

19歳から本格的な登山を始め、40数年間、冬季や簡単なバリエーションも含め、連れ合いをパートナーとして一年を通じて山に登る登山愛好家。登山を始めたきっかけは「子どものころ父に連れて行ってもらった大峰山系 山上ヶ岳や弥山・八経ヶ岳などの体験」。

若山 望(K9-SAR 岳の会)

高校時代に山岳部へ入部、山登りを基礎から学んだ登山歴50年の大ベテラン。若いころはバリエーションルートを含む単独行も多くこなし、一歩間違えは死... というようなケガをしたことも。中学の頃から気象に興味をもち、「ラジオ天気図」を登山に役立て、それらが高じて気象予報士の資格も取得。

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「下り坂が苦手」「読図のコツをつかみたい」など、登山に関するお悩みを、山のセンパイたちが相談に乗り、解決方法を指南します。

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