本と実際の山のギャップを楽しむべし! 机上登山のススメ

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みなさん、行く山はどうやって決めていますか? 行く山が決まったら、どうやって山の事を調べていますか? 今回は、ICI石井スポーツで書籍部門を担当している間瀬さんが、若いころ「机上登山」に活用していた2冊と、「机上登山」の楽しみ方を教えてくれました!

 

【左】『東京周辺の山』(山と溪谷社)
【右】『車窓の山旅・中央線から見える山』(実業之日本社)

「さあ、次はどこの山へ行こうかな?」

そう思うところから机上登山ははじまります。実際に出かけるまでのその間は、わくわくどきどき、山へ行くのが最高に楽しみになるシミュレーションタイムです。

私が山を選び、ルートを決めるのに役立ってくれたのが『東京周辺の山』(山と溪谷社)でした。自宅に近い山から、夜行バスを利用して行くような遠く東北や八ヶ岳、北岳や仙丈ケ岳まで掲載山域がとても広くて重宝しました。購入した当初は、はじめのページに出てくる山から片っ端に登っていました。そのうち、次のページの山とつないだり、本には出ていない隣の山へ縦走したり、自分なりの山を楽しむように。また南アルプス深南部の山まで紹介されていて、私がヤブ山にハマるきっかけにもなりましたね。

思い出深いのは甲斐駒ケ岳の近くにある雨乞岳です。ページを適当にめくって登ってみたこの山で、初めてカモシカに出会えたのでした。最新版では掲載されている山やコースも多少変わっているようですが、(夜行バスで行ける山)の項目は類書にない特徴といってよいでしょう。山選びの参考書としておススメのガイド本です。

山行の度、利用する機会の多いのがJR中央線。その窓越しに見える山々に思いを馳せていると目的地はあっという間です。登ったことのある山、登りたい山。友人と行をともにすれば話も弾みます。ただ、どうしても山名の判らない山、知りたい山がありますよね。

『車窓の山旅・中央線から見える山』(実業之日本社)は、そんな疑問を晴らしてくれる稀有な本でした。中央線に乗る山好きならば必ず思う「あの山はなに山?」という問いに応えてくれる車窓からの山座同定の書です。新宿から松本までの130の山について、その風土、文献などに触れながら解説してくれます。今この本を持って中央線に乗ると、果たしてどの山が見えて、どの山が見えないのか、ちょっと気になるところです。

みなさんもお気に入りのガイド本を見つけて机上登山をしてみてください。そして、その想像と実際の登山との相違を楽しんでみてください。いつのまにか登山のセンスがアップしているはずですよ。

プロフィール

間瀬 孝之

1957年神奈川県生まれ。NPO法人山の自然学クラブ 山の自然学指導員。日本地図センター公認マップリーダー。ICI石井スポーツ登山本店勤務。

ICI石井スポーツ登山本店

登る前にも後にも読みたい「山の本」

山に関する新刊の書評を中心に、山好きに聞いたとっておきもご紹介。

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