エベレストでもマナスルでもなく・・・人類がはじめて登った8000メートル峰の山は?

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なかなか梅雨が明けない今日この頃、山に行けずムズムズしている方も多いのでは・・・? そこで今回は、石井スポーツ登山本店の間瀬さんにゾクゾクわくわくする山の本を教えてもらいました! これで山に行けないイライラが少し落ち着くかも!?

『処女峰アンナプルナ』ヤマケイ文庫

今年は日本人による初の8000メートル峰マナスル登頂から60年目の年にあたります。その3年前の1953年、世界最高峰のエベレストが初登頂されました。さらにその3年前、1950年人類ははじめて8000メートルを超える頂に立ったのです。14座ある8000メートル峰でフランス隊に真っ先に登られた山、それがアンナプルナでした。

この登山の記録が『処女峰アンナプルナ』なのです。12名からなるフランス遠征隊の隊長であり、頂にも立ったのが著者のモーリスエルゾーグです。出版されるや大ベストセラーとなりました。日本でも昨年亡くなられた近藤等氏の翻訳本は岳人に広く読まれたものです。

この遠征の特異な点は目的の山が決まっていなかったところにあります。先ずダウラギリを偵察し、難しそうなのでこれを止め、次にアンナプルナを探ってみて、日程ぎりぎりの段階で登頂に踏み切ったのでした。山頂に立てたエルゾーグとナシュナルは下山でたいへん苦しみ、生還の代償として二人合わせて30本の指を切断することになりました。しかし、はじめての、しかも1回のアタックで登頂に成功し、全員が無事に帰国を果たしたのはこのような遠征では極めて稀な事でした。

余談ですが、この時彼らの背中にあったのがミレーのザックだったそうです。当時ミレーは憧れのザックだったそうです。私の若いころもフランス製のミレーザックはとても人気がありました。

ところで、この本の最後のフレーズ(あえて記しません。)は流行語となったそうですよ。ぜひ読んで確かめてみてください。

プロフィール

間瀬 孝之

1957年神奈川県生まれ。NPO法人山の自然学クラブ 山の自然学指導員。日本地図センター公認マップリーダー。ICI石井スポーツ登山本店勤務。

ICI石井スポーツ登山本店

登る前にも後にも読みたい「山の本」

山に関する新刊の書評を中心に、山好きに聞いたとっておきもご紹介。

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