登山はバランスの良い土台から!インソールを選ぼう

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ついつい後回しになりがちなインソールですが、実は入れるだけで登山のトラブルをグッと減らしてくれるんです。インソールの役割や機能をしっかり理解しておけば、効果をより実感できるかも? 今回は、アートスポーツ新宿東口ビックロ店の山田さんに、インソールを必要とする足の構造から、選ぶ時のポイントまで、深〜く教えていただきました!

POINT
  • 地味だけど、快適登山には欠かせない
  • 足の構造を知っておくと効果的
  • 自分の足に合ったインソールを選ぼう

地味だけど、あったら違うインソール

編集部S:最近、小屋泊で登山に行くんですけど、よく膝が痛くなるんですよねえ。やっぱり長い距離を歩いているからでしょうか・・・。

山田さん:もしかして、インソールって使ってないとか・・・?

インソール棚。サイズはもちろん、種類や目的によってたくさんの種類がある。

編集部S:実はそうなんです・・・。良さは店員さんから聞いてわかってはいたんですけど、必要なものを買うのにいっぱいいっぱいで・・・。

山田さん:地味なアイテムのわりには、値段もそれなりにしますしね(笑)

編集部S:やっぱり、有りと無しじゃ、違いますか・・・?

山田さん:ぜんぜん違いますよ! ちなみに効果がわかるようなバランステストがあるんです。やってみましょうか。

編集部S:ぜひやってみたいです!

山田さん:じゃあ最初はインソールの上に乗った状態で、手を前に組んでください。私が上から押しますよ。

編集部S:・・・! なんとか、耐えられますね。

山田さん:次は、インソール無しで、床の上に立ってやってみましょう。先ほどと同じように、手を組んでみてください。じゃあ、行きますよ!

編集部S:うわっ、全然力が入らない。腕が下がっちゃいます。

山田さん:そうですよね。今実感いただいたように、インソールって足の"ニュートラルな状態"をつくってくれるんです。まずは足の土台をインソールを使ってしっかり整えて、バランスをとる。そこから、足の機能をしっかり使うことで、より正しい体の使い方で歩けるようになるんです。

左はインソールに乗った場合、右はインソールに乗らなかった場合。乗っていると上から押されても耐えることができますが、乗っていないと踏ん張れず、簡単に力負けしてしまうのがわかります(山田さん)

足の構造を理解し、インソールを生かす

編集部S:土台というと、インソール自体がクッションになっているということなのでしょうか?

山田さん:座布団のようなクッションという意味でのやわらかさとは違います。登山靴に通常入っているインソールは薄いですし、握ると簡単に曲がるようなものが多いですけど、たとえばシダスのこのマルチプラスっていうインソールなんかは、力をいれてもそこまで曲がったりはしません。

編集部S:本当だ。特にかかとなんかはかなり硬いですね。てっきりやわらかいものだと思っていました。

山田さん:インソールには、足をしっかり固定してあげることで、ニュートラル、つまり体が自然に安定する理想的な状態をつくりだす機能があるんです。インソールがやわらかいと、膝や腰への直接の負担は減ると思いますが、例えばベッドの上に立つような、グラグラした状態になってしまいます。

編集部S:その状態で、砂利とか岩場とか不安定な場所を歩けば、さらにグラグラしますね。

山田さん:足の骨は数多くのパーツで作られていて、歩く度に連動しています。足元が不安定な場所を長時間歩いていると、疲れてきますし、足首が土踏まずの側に横にずれて、足が落ちてきてしまう。そうすると足が実際の幅よりも広がってしまうので圧迫感を覚えたりします。

編集部S:僕も足が靴に当って痛くなったり、つま先が当たったりします。

山田さん:そこから足の指の第一関節を曲げて進む運動をすると、足元の痛みや、それをかばった膝の痛み、さらには腰や肩の痛みへとつながっていくんです。

編集部S:そっかあー。インソールがやわらかすぎず立体的になっているのは、その沈みを支えることが目的だったんですね。

山田さん:じつは、もともと普通の状態できちんと立てているという人も少ないです。そうなると、すでに体本来の安定性が低下している状態です。自分でまっすぐ立っているつもりでも、そうではない場合には体がねじれやすく、負担がかかります。それをかばって腰や肩に痛みが出ます。両足のバランスを整えてあげるということが本当に重要なんですよ。

インソール、どう選んだら・・・

編集部S:インソールの目的、とてもよくわかりました。買う時はどこを気にしたら良いのでしょうか?

山田さん:まずはかかとのカップに合わせて乗り、サイズが合っているかどうかをチェックしてください。乗ってみて気持ちいいかどうかも、足に合うかを確かめるポイントです。

まずはかかとにインソールのカップを合わせて足を置いてみる。立ってみて安定すればOKです。(山田さん)

編集部S:実際に登山靴に入れて、合わない場合もありますか?

山田さん:当然ありますね。足の形は個人差がありますので、どちらかというと相性です。どんなにインソールの形が良くても、かかとのヒールカップに収まらなければダメです。あとはインソールで高さが出ることによって、足の甲が圧迫されやすくなる場合もありますね。

編集部S:そうなると、できれば手持ちのシューズと合わせて試すということが重要になってきますか?

山田さん:シューズが決まっているのなら、それに合わせたものを選ぶということも大切ですね。インソールの機能はあっても、それを使えない状態になる可能性も出てきますから。いくら体に良くても、痛みを感じるようだったらやめたほうがいいと思います。欲しいインソールが決まったら、実際に登山靴と合わせてみましょう。手持ちがあれば、それに合わせてみるとなおグッドです。

編集部S:わかりました。ここにあるのは登山用のインソールですか?

山田さん:登山用はもちろん、スポーツ別、オールジャンルものもあります。登山でも、長距離長時間の歩行に向いているものと、ランなどの短距離に適したものの目的別で分かれていたりします。

編集部S:ブランドごとに機能も違ったりするんでしょうか。

山田さん:機能として抗菌効果が付いているものもあったりします。他には接触面を増やすことによって、体重の集中をなくす圧力分散をウリにしたものもありますね。目的に沿ったもので、自分にまず合うかどうか、それから機能を試してみると良いのではないでしょうか。

プロフィール

山田 宏(アートスポーツ新宿東口ビックロ店)

シティーランからトレイルランニングまで幅広く楽しむランナー。足のメカニズムに造詣が深く、快適な靴内環境をつくるお手伝いをしています。

アートスポーツ新宿東口ビックロ店

都内最大級のアウトドアショップ「石井山専 新宿東口ビックロ店」にあるランニング・トレイルランニングに特化した専門店。ウェア、シューズなどの性能を熟知した専門スタッフが的確なアドバイスを提供してくれる。

住所/東京都新宿区新宿3-29-1 ビックロ 新宿東口店内 8F
TEL/03-5312-9550
営業時間/11:00~20:00
アアクセス/新宿三丁目駅A5直結、新宿駅・西武新宿線西武新宿駅下車徒歩5分

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