黄色の花は、似ている花が多いけど・・・葉に注目してみよう!

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花盛りの夏山。みなさん花の名前どれだけわかりますか? 似たような花が多くてなかなか覚えられないですよね・・・今回は植物写真家の高橋修さんが「ミヤマ●●●」「●●●キンバイ」という名前の花について、見分け方を教えてくれました!

高山植物はよく似た名前が多く、なんとなく覚えづらい、と悩んでいる登山者が多い。もちろん私も最初はそうだった。ミヤマ~、シラネ~、タカネ~、ハクサン~などなど、同じような名前が付いている。確かに覚えにくい。

黄色の花の高山植物はたくさんある。黄色い色は花粉の色。花粉は花に来る昆虫にとってタンパク質など栄養素が豊富な餌なのである。花にとって花粉を食べられるのは不利益なのではあるが、食べ残した花粉で受粉を行う、という花の戦略なのだから多少の損失は必要経費だ。黄色い花は、花粉を食べる昆虫にとって、とてもおいしそうに見える花色。そしてよく目立ち、多くの昆虫を呼ぶことができる。このため、高山植物には黄色の花が多いのだ。

黄色い花の中でも花びらが5枚程度の花は、金梅(キンバイ)の名前が付いていることが多い。金梅とは、ウメのような形の黄色い花のこと。単純な名である。ミヤマキンバイ、シナノキンバイ、タテヤマキンバイなどなど。キンバイという同じ名前が付いていても、同じ仲間ではなく、違う種類。似た名前が多く、さらに高山植物の名前が覚えづらくなっている。

さて、高山でよく見られる黄色い花に、ミヤマキンバイ、シナノキンバイ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマキンポウゲの4種がある。花が似ていて、初心者には見分けがつきにくいが、見分けるポイントはちゃんとある。それは花だけでなく、葉も見ることだ。

ミヤマキンバイの花びらは5枚で先端がくぼみ、小葉は3個。シナノキンバイの花びらは5~7枚、葉は深い切れ込みがある。ミヤマダイコンソウの花びらは5枚で、葉は丸い。ミヤマキンポウゲの花びらは5枚で、直径1cm程度と小さく、茎に付く葉は細長い針状。

高山植物の名前が覚えられないという方は、今年は花だけでなく、葉も一緒に見てみよう。きっと花を見分けられるようになるだろう。

ミヤマキンバイ

プロフィール

髙橋 修

自然・植物写真家。子どものころに『アーサーランサム全集(ツバメ号とアマゾン号など)』(岩波書店)を読んで自然観察に興味を持つ。中学入学のお祝いにニコンの双眼鏡を買ってもらい、野鳥観察にのめりこむ。大学卒業後は山岳専門旅行会社、海専門旅行会社を経て、フリーカメラマンとして活動。山岳写真から、植物写真に目覚め、植物写真家の木原浩氏に師事。植物だけでなく、世界史・文化・お土産・おいしいものまで幅広い知識を持つ。

⇒髙橋修さんのブログ『サラノキの森』

髙橋 修の「山に生きる花・植物たち」

山には美しい花が咲き、珍しい植物がたくさん生息しています。植物写真家の髙橋修さんが、気になった山の植物たちを、楽しいエピソードと共に紹介していきます。

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