これさえ守れば失敗しない!楽しい「グループ登山」のルール
- 「行動中にバラバラになる」がグループ登山の最大の問題
- グループの分裂を防ぐには「並び順」が重要!
- できるだけ「何でも言い合える」関係づくりを心がけよう
一緒に登山している友人のペースについていけず、グループがバラバラになってしまうことがあります。グループ登山ではどんなところに気を付けるべきなんでしょうか?(30代/男性/登山歴2年)
サークル仲間や職場の同僚と一緒に登山していたら、遅れをとったメンバーがいつの間にかはぐれてしまった... そんな経験ありませんか? 相手の体力や技術を知らずに出発してしまうと、こういった問題が起こりがちです。グループ登山を楽しむためには、何に注意したらいいのでしょうか。集団での登山経験も豊富な山センパイに、「グループ登山」のコツを教えてもらいました。
バラバラにならないよう、自分のペースより集団のペースを優先
グループ登山で一番危険なのは、集団がバラバラになってしまうこと。未経験者や登山歴の短いメンバーがはぐれてしまうと、遭難のリスクが高まり、最悪の場合、死亡事故を引き起こす可能性も・・・。実際のところ、過去にグループがバラバラになったことによる、遭難や死亡事故は何件も起きています。
ペースのばらつきには、だいたい以下のような原因があります。
- 個人で登山を楽しんでしまい、集団行動という意識が薄い
- メンバーがお互いの体力や技術を把握していない
- 登山歴の長いメンバーがいない(リーダー以外ほとんどが初登山、など)
メンバーそれぞれの様子を見ながら歩くスピードを調整したり、適宜休憩を入れたり 「集団のペースを大事にすること」がグループ登山では重要です。
グループ登山で最も重要なのは、メンバーの「並び順」
グループが山の中でバラバラにならないためには、並び順の工夫が必要です。「先頭は"登山経験のある人"、最後の人は"体力のある人"を配置し、メンバーがはぐれないように気をつけて進みます。先頭から2人目以降は体力のない人から順番に並び、先頭は早く歩きすぎないように気を配りながら登山しましょう」と山の会かたつむりの陶山さん。リーダーは必ずしも決める必要はありませんが、先頭と最後は登山経験がある人にお任せできると安心です。
円滑な「コミュニケーション」がとれる関係づくりを
「体調など、お互いに何でも言える関係づくりも大切です」と語るのは、京都明峯勤労者山岳会の花折さん。疲れた時、トイレに行きたい時、体調が悪くなった時・・・うまくコミュニケーションがとれず、言い出しにくい雰囲気があると、そのために全体のペースが乱れてしまいます。SNSなどで知り合った初対面のメンバーばかりで山に行く、いわゆる「SNS登山」は、こういう点でリスクが高いのです。
また、「トイレなどでグループから離れる時は、必ず仲間に声をかけていくというルールを徹底しましょう」と陶山さん。「すぐに戻ってくるからいいや...」と思っていると、思わぬアクシデントに遭遇してしまった時、トラブルに気づくのが遅れてしまいます。大事なルールなので、出発前に必ず共有を。
自分のペースで歩けないというストレスはあるものの、「みんな揃ってゴールした!」という喜びを共有できたり、充実した山ごはんが食べられたりと、グループ登山には、ひとりでは味わえない楽しさもあります。「並び順」と「コミュニケーション」に気を配りながら、グループ登山を楽しんでくださいね!
プロフィール
陶山 正(山の会かたつむり)
「春夏秋冬野に山に!」がモットーの60代。登山歴は35年。山とスキーが好きで、夏は低山から高山まで幅広く楽しみ、冬は山スキーと雪崩講習に勤しんでいる。お気に入りの山は、西上州の笠丸山、大菩薩山稜の小金沢連峰~雁ガ腹摺山。得意分野は、地図読み、高山植物、雪崩対策など。
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