雪山、困ったり悩んだり(7)真冬の八ヶ岳へ~雪山登山の技術はどう学ぶ?

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持っているだけでは意味がない

初めての雪山登山に備えて、アイゼンやピッケルを購入! さあ、雪山へGO!!

...ちょっと待って下さい。そのアイゼン、靴に正しく装着できますか? そして、装着した状態で歩くことができますか? ピッケル、どう持つか分かります? 

雪山登山を始めようと思うまでは見たこともなかった道具。これらには使い方があり、正しく使うことではじめて登山の助けになります。持っているだけでは、残念ながら「猫に小判」のようなものです。

独学には限界がある

道具の使い方以外にも、雪山登山ではさまざまな技術や知識が必要になります。雪のある斜面の歩き方、寒さや風雪から身を守る手段、雪崩などのリスク管理。夏山登山では技術や知識がなくてもなんとかなったことも、雪山では知らないことが遭難のリスクを呼び、生命を危険にさらすことがあります。とくに基本となるのは歩行技術。どんな状況でも安定して歩くことが必要となりますが、雑誌の記事やネットの情報などをもとにした独学のみでは、学べることに限界があります。

正しい技術を得る

赤岳単独事件」をきっかけに、自分の技術や知識の足りなさを痛感した私は、技術講習を中心としたガイド登山に申し込みをしました。1泊2日で、初日に山小屋のまわりで歩行技術の講習を行い、2日目に赤岳に登頂する、という内容でした。氷の緩斜面でアイゼンの爪を正しく使う歩き方を何度も行い、翌日に赤岳へ。その日も悪天候で、結局登頂はできませんでしたが、優しくも厳しいガイドさんからこまやかな指導を受けながらの登山は、本当に学びの多いものでした。

さまざまな講習会

山岳会などに所属していない登山者が多い現在、初心者を対象にした冬山登山の技術講習が盛んです。山岳団体や登山用品店・メーカーが主催するもの、個人の登山ガイドが主催するものなどさまざまです。歩行技術などを中心にした単発の講習もありますし、半年かけて総合的に雪山の技術を学べる講習もあります。自分に必要な講習を選び、受講してみることをおすすめします。初めに正しい技術を得ることができれば、あとは山行を重ねて、得た技術を自分のものにしていけばよいのです。

登山の世界を広げる

講習会に参加するというのは、単に技術を得るだけがメリットではありません。講師やガイドという信頼できる山の先輩と「つながる」機会でもあります。よい先輩に巡り会えれば、ガイド登山などを通じて世界を広げることもできるでしょう。毎年雪山シーズンの初めに、技術の確認も兼ねてガイドの講習登山を受講するのもよいと思います。また、講習で知り合った受講生どうしで山に行くことなどもできるでしょう。

教えてくれた山センパイ

西野淑子さん(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行うフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。雪山登山歴は10年、好きな雪山は赤岳(笑)