雪山、困ったり悩んだり(8)真冬の八ヶ岳へ ~ レベルに合った山を楽しむ

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雪山のレベルって?

雪山登山では標高や気象条件、積雪量などによって山の難易度は大きく異なります。そのため、「自分の登山レベル」に合った山を選ぶことが重要です。雪山初心者であれば、難易度の低い山からスタートし、技術と経験を重ねながら難しい山にトライしていきましょう。自分のレベルを考えずにハイレベルな山に挑戦するのは、場合によっては生命の危険につながります。この連載の初回でお話をした「赤岳単独事件」はまさに、レベルを無視した危険登山でありました。

登りやすさで異なるレベル

『山と溪谷』12月号の雪山ステップアップ特集では、入山者の多さや営業小屋の有無、気象条件などをもとに、アイゼン・ピッケルが必要な本格的な雪山を3つのレベル(ステップ)に分けています。日帰り~営業小屋1泊程度で入山者の多い山を初級、営業小屋または無人小屋に1~2泊、そこそこ入山者のある山を中級、無人小屋やテント泊で、人が少なくロープでの確保も必要となる山を上級としています。八ヶ岳でいうと、北八ツ・天狗岳や北横岳は初級、赤岳は中級(!)ですね。

『山と溪谷』12月号

じっくりステップアップ

ステップアップ、というと、スタンプラリーのようにどんどん行く山のレベルを上げていきたがる人がいますが、雪山では非常に危険です。たとえば初級の天狗岳でも、快晴のときと悪天候時、降雪直後などで、登りやすさは全く異なります。いろいろな雪の状態、気象条件の中、雪山を歩き、過ごすことで経験値を上げ、次のレベルへとステップアップしていくのです。

ゆとりを持った行程

自分のレベルを把握し、見合った山に行くこととともに、無理のない行程を組むことも大切です。雪山は積雪量や歩行技術によって、コースタイムが大きく異なります。慣れないうちは、1日の行動時間を5~6時間程度に抑えるとよいでしょう。日帰りのときは「下山開始時間」を設定しておき、時間を過ぎたら登頂にこだわらず下山開始します。

おっくうがらずに栄養補給

雪山登山は夏山登山より運動強度が高く、カロリーを消費します。行動食はこまめにとります。グローブをした状態でも取り出しやすいよう、ジッパー付きビニール袋や口の広いボトルに入れるなど、簡単な包装のものがおすすめです。水分も同様に汗や呼気から放出されているので、水分補給も大切です。

冬山登山で、私は何度かひどいシャリバテを経験しています。少し疲れてくると、ザックから行動食や水筒を取り出すのが面倒になるのです。まだいいや、次のピッチで補給すれば、と思っていると、なかなか次の休憩ポイントがなかったり、天候が悪化してザックの中のものを取り出すのが困難な状況になり、気づくと疲労困憊...というパターン。行動食や水分はとれるときに確実に、がポイントです。

教えてくれた山センパイ

西野淑子さん(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行うフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。雪山登山歴は10年、好きな雪山は赤岳(笑)