低山を歩きながら探してみよう、難を転ずる植物の話

あっという間に2017年も10日を過ぎました。今回は植物写真家の高橋修さんが、1年の初めにふさわしい縁起の良さそうな植物を教えてくれました。山の中でも見ることができるので、山初めに見つけたら良いことあるかも。

「ナンテンはその名前から、難を転じる難転と言いまして、縁起のいい植物として知られております。それで家の周り、特に鬼門の方角に植えてあるんです。」

この言葉がなぜか身に沁みついていて、ナンテンの果実や花を見るたびにこの言葉が思い出される。これは関西で聞いた話だ。関西では確かに、家の周りに植えたり、鉢植えにしたりして、冬の花の少ない時期に赤い実を楽しんでいる。江戸時代には火災除けとして玄関に植えられた。

この赤い果実はヒヨドリが食べるのにちょうどよい大きさ。お正月の飾りにちょうどいい、と思っていても、ちょうどそのころ熟してヒヨドリが食べてしまう。鳥はけっこうよく見ていて、熟しておいしくなるまで毎日のように見に来ているが、熟すまでは絶対に食べない。しかし、果実が熟すと争うように食べてしまうのだ。網をかけたりして食べられないようにしている家もあるが、ちょっと趣に欠ける感じがする。

植木のイメージが強いが、低山のあちこちに野生のナンテンが見られる。冬に赤い果実が目立ち、けっこう多い。山の中で見ると、その強靭な生命力に驚かされる。ちなみに花は梅雨時に咲く。花は白くて小さくて目立たない。

教えてくれた山センパイ

高橋 修(たかはし・おさむ)

自然・植物写真家。子どものころに『アーサーランサム全集(ツバメ号とアマゾン号など)』(岩波書店)を読んで自然観察に興味を持つ。中学入学のお祝いにニコンの双眼鏡を買ってもらい、野鳥観察にのめりこむ。大学卒業後は山岳専門旅行会社、海専門旅行会社を経て、フリーカメラマンとして活動。山岳写真から、植物写真に目覚め、植物写真家の木原浩氏に師事。植物だけでなく、世界史・文化・お土産・おいしいものまで幅広い知識を持つ。