やっぱり最初から揃えるべき? 厳冬期用登山靴の素朴なギモン

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雪山に行ってみたいけど、登山靴はいつも使っているもので大丈夫? それとも、雪山専用の登山靴をきちんと買うべき? 今回は、ちょっと分かりにくい雪山で履く登山靴について、石井山専新宿東口ビックロ店の植田さんに聞いてきました!

POINT
  • ソールが硬ければ、最初は3シーズン用の登山靴でOK
  • 手持ちの登山靴を使う場合は、アイゼンとの相性に注意
  • 厳冬期用登山靴、購入時は締め付け感がないかどうか確認を

雪山用の登山靴とは、どんな靴なのか?

編集部S:雪山に履いていく登山靴って、新しく買う必要があるのかなあ。普段履いている登山靴ではダメなのでしょうか?

植田さん:普段履いている登山靴にもよりますね。雪山ではアイゼンを着けることが前提になってくるので、ソールの硬さが重要になってきます。ソールが簡単に曲がるような靴だとアイゼンが外れてしまう恐れがあるので、10~12本爪のアイゼンは着けることができないでしょう。

左から右にかけて、3シーズン用ソールの硬い登山靴から雪山用の登山靴へとレベルアップしていきます(植田さん)

編集部S:となると、ソールがある程度硬い靴であれば3シーズン用の登山靴でも大丈夫ということでしょうか?

植田さん:そうですね。初めて雪山にチャレンジしようとする方だと、そのような登山靴しか持っていないことのほうが多いと思いますし、最初はそれでも良いのかなと思います。

編集部S:となると、雪山用の登山靴はどういうところが違うんでしょうか?

植田さん:こちらは厳冬期メインで使うものなので、暖かい保温材なども入っていますし、マイナス20度近くの厳しい条件下であっても冷たくなりにくいんです。両方持っている人は、それぞれを使い分けることが一般的ですね。12月くらいからゴールデンウィークくらいまでは、厳冬期用の登山靴を使う可能性が高いと思います。例えば北海道の山や、八ヶ岳、北アルプスなど氷点下で森林限界を超える山では必要になってくると思います。

アイゼンとの相性という部分

編集部S:アイゼンとの相性という話がありましたが、ソールがやわらかいとやっぱり外れてしまう恐れが大きくなるわけですか?

植田さん:はい。ですから、アイゼンだけを買いに来たとしても、必ずご自身が持っている登山靴との相性もチェックしてください。たとえば、つま先に力を入れてグッと斜面を登ったりするシーンでは、靴とアイゼンとの間にちょっとしたゆるみがあるだけでもアイゼンが外れてしまうことがあります。

編集部S:僕のイメージだと、靴自体が反っていたほうが、しっかり足に付いてくるし登りやすそうなんですけど、違うんですね。

植田さん:たとえば、3シーズン用の登山靴と厳冬期用の登山靴の底を比較してみると、3シーズン用の登山靴のほうが、つま先がやや反っているのがわかると思います。逆に厳冬期用の登山靴は、アイゼンを装着して雪の上を歩くことを前提に作られているので、よりフラットな作りになっています。

編集部S:厳冬期用登山靴のほうが、アイゼンとの相性が優先されているように思います。

植田さん:厳冬期用登山靴は、「アイゼンを着けた時の使いやすさ」っていうところで考えられているものが多いです。たとえば、基本的には、つま先の出っ張り(コバ)は厳冬期靴にしかありません。まれに前コバのある3シーズン靴もありますが、まれです。

写真左が厳冬期用登山靴、写真右が3シーズン用登山靴。厳冬期用の登山靴のほうが、より靴底は厚く、フラットなほか、コバは厳冬期靴にしかありません。(植田さん)

編集部S:ちなみに、手持ちの3シーズン用の登山靴に合うアイゼンを探す場合、どんなところをチェックすればよいのでしょうか?

植田さん:アイゼンが靴底に沿ってしっかり装着できているかどうかを確認して欲しいですね。

結局どっちが良いのかな?

編集部S:結局、手持ちの3シーズン用登山靴に合うアイゼンを買うか、厳冬期用の登山靴とアイゼンを買うか、どっちが良いのでしょう・・・。

植田さん:すでに3シーズン用のソールの硬い登山靴を持っていて、初めて雪山に行くという方は、無理して厳冬期用の登山靴を買わなくても良いと思います。山のレベルを理解していれば3シーズン用の登山靴でも、12本爪アイゼンでも簡単な雪山登山を楽しむことができます。

編集部S:でも、レベルアップしたことを考えると、やっぱり欲しくなるのかも・・・。

植田さん:難易度の高い山を登るってなると、やっぱり厳冬期用の登山靴は必要です。ですから、雪山の楽しさがわかって、本格的に始めてみたいと思った時は買うタイミングだと思います。

編集部S:厳冬期用の登山靴は、どういうところに注意して選ぶのが良いのでしょうか?

植田さん:歩いた時にかかとが靴から離れにくいものが良いと思います。かかとが浮いてしまっていると、アイゼンを着けた時に、もっと浮いてしまう可能性があるので。それから、指の付け根や甲の部分に圧迫感を感じるようだと、気温が低ければ低いほどそこから冷えて痺れてしますので、確認してあげてください。

編集部S:まず自分の足に合った登山靴を見つけて、それに合うアイゼンを探すということですね。

12本爪のアイゼンを厳冬期用登山靴に装着してみる。アイゼンのタイプによっては相性が悪いものもあるので、購入の際には店舗で必ず確認しましょう!(植田さん)

植田さん:はい。あとは値段とか、靴自体の重さなどを含めて、総合的に選んでいくのが良いと思います。

編集部S:それにしても、やっぱり見た目もガッチリしているし、硬いですよね。

植田さん:アイゼンを着ける以前に、この硬さに慣れるのもかなり大事ですね(笑)僕もそうでしたけど、いきなり山に行くのではなく、徐々に慣らしていくのが良いかなって思います。家のまわりを少し歩いてみるとか、ですね。

ソールがとても硬くて、普段履いている靴のような感覚にはなれない感じですけど、ある程度履いておくと、そのあたりも慣れていくと思うんです。本格的に歩き始めるよりも、行動時間が3~4時間程度の登山(雪山で無くても良いです)から慣れていくのが良いと思います!

紹介した山道具

AKU モンタニャードGTX (厳冬期用登山靴)
参考価格:58,000円+税

AKU ヤツミネGTX (3シーズン用登山靴)
参考価格:45,000円+税

教えてくれた山センパイ

植田 寿洋さん(石井山専新宿東口ビックロ店 勤務)

石井山専新宿東口ビックロ店で登攀具を担当。三度の飯より岩が好き。四季を通じて、沢登り、ロッククライミング、アイスクライミングを楽しんでいます。

石井山専新宿東口ビックロ店
首都圏最大級の山・アウトドアの大型専門店。「安全」をテーマに、ユーザーのライフスタイルに合わせたさまざまな商品を提案している。店内では、登山学校の講習やワークショップなども開催中。

住所 東京都新宿区新宿3-29-1 ビックロ 新宿東口店内 8F
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アクセス 東京メトロ丸ノ内線・副都心線、都営新宿線「新宿三丁目」駅A5直結/JR、小田急線、京王線、都営大江戸線「新宿」駅、西武新宿線「西武新宿」駅下車、徒歩5分