雪渓での滑落に注意が必要な時期。 島崎三歩の「山岳通信」 第74号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2017年6月14日に配信された第74号では、北アルプス・蝶ヶ岳で起きた雪渓での滑落事故などについて触れ、注意喚起を呼びかけている。

 

6月14日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第73号では、5月29日~6月4日の間に起きた山岳遭難の遭難事例が掲載されている。以下に抜粋・掲載する。

 

5月29日~6月4日の信州の山岳遭難現場より

5月29日~6月4日の間に長野県内で起きた山岳遭難は以下の7件でした。

  • 5月29日、北安曇郡白馬村北城の南股入川で、写真撮影のため入山していた65歳男性が、移動中に岩の間に足を挟んで転倒。左下腿部骨折の重傷を負う山岳遭難が発生。消防隊員が救助した。

  • 5月29日、北アルプス白馬鑓ヶ岳で、67歳男性が下山中に道に迷う山岳遭難が発生。男性は、他の登山者とともに自力で下山した。

  • 6月1日、北アルプス蝶ヶ岳で、61歳男性が蝶ヶ岳に向けて登山中に雪渓で足を滑らせ滑落、頭部などを負傷する山岳遭難が発生した。

  • 6月1日、北アルプス北穂高岳で、62歳男性が北穂高岳を出発し下山に向かったものの行方不明となる事案が発生。捜索を行ったものの現在も発見されていない。

  • 6月2日、長野県黒姫山で、山菜採り中の男女2人(78歳・75歳)が道に迷い、さらに体調不良のため行動不能となる山岳遭難が発生。消防団員が発見、救助した。

  • 6月3日、中央アルプス烏帽子岳で、52 歳女性が下山途中に足を滑らせ滑落、顔面に軽傷を負う山岳遭難が発生。県警ヘリで無事に救助された。

  • 6月4日、北アルプス蝶ヶ岳で、単独下山中の67歳男性が、蝶ヶ岳山頂から1時間ほど下った標高2300m付近の雪渓で足を滑らせて蝶沢に滑落。死亡する山岳遭難が発生した。

北アルプス・蝶ヶ岳滑落事故現場の状況
(写真提供:長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月9日付)

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

5月5週は雪渓上での滑落が2件発生し、うち1件は死亡事故となりました。今後、山中の雪渓は雪解けが進み、内部に大きな空洞が形成され、非常に不安定になるため、不用意に立ち入らないようにしてください。

また、融解と結氷を繰り返すことで、硬く滑りやすい状態になります。事前に山小屋などに残雪状況などを確認し、予定するコース上に雪渓の通過がある場合はアイゼン、ピッケルなどの装備品を携行してください。

 

なお、下記URLより、「島崎三歩の山岳通信」バックナンバーもご覧いただけます。今後の登山にぜひ役立ててください。
 ⇒長野県・島崎三歩の「山岳通信」

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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