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文=大関直樹、写真=熊野淳司

 飯豊山といえば、2016年に『山と溪谷』が行った「憧れの山」アンケートで堂々の第10位にランクインした山だ。夏でも大きな雪渓が残り、華やかなお花畑がどこまでも続くスケール感は、訪れる登山者を魅了してやまない。

 

 そこで、そんな飯豊山の魅力を体感してもらうため、4人のモニターレポーターを募集。飯豊山をよく知る小国山岳会会長、井上邦彦さんと山岳ガイドの吉田岳さんとともに3泊4日の山旅に出かけた。

 1日目は、「上杉神社」や「米沢市上杉博物館」などを見学の後、地元の食材を扱う「めざみの里観光物産館」へ。ここで一同は、明日の行動食として地元のトチモチなどを購入。東京から参加してくれた恩田さん夫妻の静香さんは、「旬の桃やさくらんぼとかも、本当に美味しそうですね!でも全部買うとザックが重くなってしまうので、泣く泣く我慢します・・・」と苦笑い。その後、「小国町マタギの里交流館」で飯豊連峰に昔から伝わる興味深いマタギ文化について教えていただき、今日の宿、飯豊山荘へ。


 翌日は、いよいよ梅花皮小屋をめざして梶川尾根へ。ガイドの吉田さんは出発前に「いきなり急登で、それがずーっと続くよ!」と教えてくれたが、その言葉通りに約5時間、一同汗をかきながらひたすら登る。

 

 「そんなときに現れた救世主が、五郎清水という湧き水でした」と言うのは、中居里美さん。「暑い日の急登という理由もあるのですが、今まで山の中で飲んだ水の中でも特に美味しいと思える水でした。この清水を生み出してくれた急登にも感謝したいと思うほどです!」(中居さん)

 

 それから2時間、長かった梶川尾根から稜線に出ると、素晴らしい景色が待っていた。「さわやかな草原と可愛らしいお花畑、あちこちに残る白い雪渓、雄大な周囲の山並み。ここはぜいたくな自然の楽園ですね」と、中居さんと同じ職場の川口恵三さん。 確かに7月下旬なのに、場所によっては夏道が見えないくらいの雪渓があちこちに残っている。この雪渓が解けた豊かな水が、飯豊連峰の壮大なお花畑を作っていることを井上さんから教えていただいた。

 

 夕方になり梅花皮小屋に到着。ここは寝具と食料を持参しなくてはいけない小屋なのだが、そこで驚くべきサプライズが待っていた。なんと吉田さんは手巻き寿司を、井上さんは自らが仕留めた熊肉を持参してくれたのだ。これには、一同、昼間の疲れも忘れてテンションMAX!「山の上で手巻き寿司と熊汁を食べると言う贅沢を味わせていただきました。・・・多分、これが人生最初で最後だと思います(笑)」(中居さん)


 翌日は、アップダウンの少ない稜線を縦走し、主峰、飯豊山をめざす。この稜線歩きが今回の山旅のハイライトだ。ヒメサユリ、イイデリンドウ、チングルマなどのカラフルな花たちが登山道のすぐ脇で競い合うように咲いている。しかもお花畑のスケールが他の山とは全然違う。ある特定の一角ではなく、斜面がお花で覆い尽くされている場所が、あちこちにあるのだ。「こんなにも多くの種類の花に囲まれて歩けるのは、本当に至福の時間ですね」(中居さん)

 

 花に囲まれた稜線漫歩をたっぷりと満喫した後は、飯豊山に登頂!ガスがかかり360度の大展望というわけにはいかなかったが、切れ間から大日岳などの峰々が雄大な姿を見ることができた。「どこまで遠くを見ても街が見えない山深さには、驚きですね!とくにこの時期の残雪を抱く濃い緑の山々の大きさ、美しさは素晴らしいです」(恩田伊織さん)

 

 最終日は、地蔵岳を経由して、大日杉小屋まで下山。雨の樹林帯歩きで、足元をとられ滑る人が続出するが、すっかり飯豊の魅力にとりつかれた川口さんは「天気はあいにくの雨ですが、昨日まで晴れや曇りだったので、むしろ飯豊連峰のひと通りの天気を楽しめてよかったです」と、ポジティブに語ってくれた。


 最後に3泊4日という短い山旅だったが、実際に初めて飯豊山に登ってみた感想をそれぞれの参加者に聞いてみた。「正直登る前までは、アルプスや立山連峰などに比べると「地味で渋い」と思っていたのですが、実際に登ってみると、とてもカラフル!草木の緑、雪の白、色とりどりの花に、青い空が本当にカラフルでした」(恩田静香さん)

 

 「訪れるまでは山深く、たおやかで大きな山塊という印象のあった飯豊連峰でしたが、いざ登ってみると尾根はなかなかの急登でした。しかし、稜線に出てからは、イメージと違わない雄大な光景でした。様々な花が咲き、多くの動物と豊かな沢を多くもつ素敵な山で、何故この山を好きな人が多いのかわかった気がしました。僕達も、いつか、必ずまた訪れようと思います」(恩田伊織さん)

 

 「今回の山旅で、最も印象に残ったのは、間近に迫るお花畑に囲まれながら歩けたことです。人工的に作られたお花畑とは違い、単一ではなく色々な種類の花々が、一緒に寄り添い、競い合って、咲き合っているのが、なんとも愛おしかったです」(中居里美さん)

 

「見晴らしのいいところに立ち止まってぐるりと眺めると、どの方角をむいても山と山があり、さらにその後ろに山があるばかりで、町や家などふだん見慣れた人間の暮らす世界がない。その深い山並みのなかに、ただそこに存在しているだけ、という自然の大いなる沈黙を聞いた気がしました。この感覚は、町や部屋のなかで山の写真を眺めているだけではぜったいに味わえないものだと思いました」(川口恵三さん)

飯豊連峰では、約10年前から浸食や裸地の拡大防止のため、地元の登山団体が中心となり「登山者自身で登山道の保全作業を担っていこう」という取り組みがなされている。作業に必要な資材は登山口に置かれ、趣旨に賛同した登山者が担ぎ上げる方式だ。ちなみに、保全作業前後は山中で宴会が催されるので、それを楽しみに集まってくる登山者も多い。

 


 

 


米沢の名物といえば、なんといっても米沢牛。32ヶ月以上かけてじっくりと飼育された肉の旨味と牛脂の持つ甘みの絶妙なコンビネーションは、まさにおいしい!の一言に尽きる。ツアー参加者からも「赤身の肉なのにとても柔らかく、ジューシーですね!」との声が聞かれた。写真は上杉神社近くの米沢牛レストラン「アビシス」の米沢牛ステーキ丼(4212円) WEB >>

 

 

松が岬公園の中央に位置する上杉神社は、上杉謙信、上杉鷹山を祭神として、米沢城本丸奥御殿跡に建立された。現在の本殿は、米沢市出身で明治神宮など設計者として知られる伊東忠太の設計によるもの。地元では「開運招福・諸願成就」のご利益があると言われており、季節を問わず多くの参拝者が訪れる。拝観時間:6~17時(4~11月)、7~17時(12~3月)

 

 

数千に及ぶ上杉氏ゆかりの貴重な品々や国宝が収蔵。なかでも織田信長から上杉謙信へ贈られたとされる国宝「上杉本洛中洛外図屏風」を体感できるコーナーが人気。シアターではドラマ仕立ての上杉鷹山ストーリーも鑑賞できる。休館日:毎月第4水曜日(4~11月)、毎週月曜日(12~3月)開館時間:9~17時(入館は16時30分まで) 入館料:410円 ☎0238-26-8001 WEB >>

 

 

飯豊連峰の登山口にあり、かけ流しの天然温泉が自慢の宿。源泉から一番近い温泉なので、鮮度抜群の熱めのお湯を堪能できる。食材に地元産の山菜や川魚を使った料理も美味しい。近くには日本初の森林セラピー基地である温身平のブナ原生林もあり、森林浴も楽しめる。冬季休業、1泊2食6900円~、日帰り入浴500円(10時~19時) ☎090-5234-5002 WEB >>

 

 

全国でも有数のマタギの里として知られる小国町小玉川地区にある、資料館。1Fは、地元食材を使用した定食などが楽しめるレストラン、2Fはマタギの歴史や狩猟方法等を紹介する資料展示室となっている。歴史を感じさせる狩猟具や民具は、山の文化を知る上でも興味深い。開館時間:10時~16時、休館日:月・火曜日、冬季休業、入館無料 ☎0238-64-2525

 

 

その昔、傷ついたガマ蛙が、傷をいやしていることから発見された「がまの湯」。単純泉で、肌への刺激がほとんどないので、皮膚に優しい泉質が自慢。おみやげには、全国どぶろく研究大会で最優秀賞2回、優秀賞1回を獲得した「がまのどぶろく」がオススメ。1泊2食8100円~、日帰り入浴400円(10時~20時30分) ☎0238-72-3706 WEB >>

 


 


1日目
飯豊山荘 -(4時間)- 梶川峰(1時間30分)-
門内小屋(1時間40分)- 梅花皮小屋
…計7時間10分

2日目
梅花皮小屋(3時間40分)- 御西小屋(1時間40分)-
飯豊山(1時間30分)- 切合小屋
…計6時間50分

3日目
切合小屋(2時間10分)- 地蔵岳(2時間)-
大日杉小屋
…計4時間10分

JR米坂線小国駅⇒飯豊山荘バス停
(バス約1時間、1日3便、小国町営バス ☎0238-62-2260)

大日杉小屋⇒JR米坂線羽前椿駅
(タクシー約1時間、約1万円、めざみ交通 ☎0238-72-2137)


小国町市街地から、国道113号、県道15号、260号を南進。飯豊山荘前に駐車場あり。
小国タクシー(☎0238-62-3223)で下山口の大日杉小屋まで車の回送をしてもらえる。
*2017年11月4日に東北中央自動車道の福島大笹生IC~米沢北ICが開通 詳細はこちら(PDFデータ)

:山形県小国町産業振興課 ☎0238-62-2416、山形県飯豊町商工観光課観光交流室 ☎0238-87-0523

:山形県警察本部生活安全部地域課 023-626-0110

:飯豊山・大日岳・川入・岩倉・長者原

 



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