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文=四角友里、写真=杉木よしみ、協力=名張市、名張市観光協会
四角友里

 赤目四十八滝は、太古の火山活動によって創り出された急峻な岩壁や渓谷が広がる室生火山群の中心にあり、かつては多くの修験者や“伊賀流忍者”が修行したと伝わるゆかりの地。名古屋出身の友人に「赤目四十八滝」について訊いてみたところ、「会社のみんなで紅葉ハイキングにいったよ!」との返信。中部・関西からアクセスのよい、人気スポットで期待が高まる。

 今回は、赤目四十八滝の滝巡りをしながら渓谷を歩き、復路は春に開通したばかりの長坂山トレッキングコース(修験の道)を戻るという周遊散策ができるので楽しみだ。

 

 近鉄大阪線・赤目口駅で、ネイチャーガイドの宮本さんと落ち合う。宮本さんは、長坂山トレッキングコースの整備にも加わった方だ。遊歩道の入り口に到着すると、空気がひんやりと涼しくて心地いい。

 まずは遊歩道の入り口にある「日本サンショウウオセンター」を見学。古代から姿を変えず“生きた化石”と呼ばれる国の特別天然記念物オオサンショウウオは、ゆったりとした動きで、愛らしい小さな目をこちらに向けてくれた。彼らの姿を川のなかに探しながら歩こう。

 

 爽やかな空気を吸い込んで出発。ここから4kmにわたって大小さまざまな滝が続くのだという。不動滝、干手滝、布曵滝、荷担滝、琵琶滝と”赤目五瀑”と呼ばれる見どころをめぐり、片道約1時間30分、清流沿いを歩く。

 「ここには、滝が48個あるんでしょうか?」と宮本さんに聞くと、「“四十八”というのは、数が多いことを意味しているんです。雨のあとに出現するものを含めると30個以上ありますよ」とのこと。苔で覆われた岩肌から見つかったという「南元阿弥陀仏」と彫られた文字が、古くからここが修行場とされ、山岳信仰の神聖な場所であったことを教えてくれる。

 

 高さ15mの「不動滝」をさらに上流へ進む。ふつうならば滝は遠くから見上げることが多いけれど、赤目では、渓谷の奥へと歩き進めて川が滝に変わる「はじまりの場所」を見ることができる。荒々しい滝の上は、とても穏やかな川だったりするので、どんどん惹きつけられていく。まるで水に導かれていくようだ。

 「竜ヶ壺」は地下に深い滝壺があり、竜が棲んでいると言われているそうだ。雨降滝、雛段滝、骸骨滝……、ネーミングも想像力をかきたてる滝の連続。高い岩壁から落ちる滝、川床のなかで生まれる滝、階段状の岩をつたう滝など多彩な表情。清流は躍動したかと思えば、時が止まった鏡のように静かな流れにもなり、“山歩き”というより、水を“鑑賞”している気分。

 ひとつの川のなかで生まれたいくつもの滝が、それぞれ個性的で美しいのが赤目四十八滝の最大の魅力だ。清流を遡りながら、水という“生きもの”の生涯をみているようなひとときだった。

 

 同時に、感激したのは森の豊かさ。苔はふさふさと、草木は生き生きとしている。このルートは、滝を単なるアトラクションではなく、自然の造形美として味あわせてくれる。火山活動によって造られた柱状節理の山肌を、1500万年かけて水が彫刻した作品が、この美しい渓谷だった。

 宮本さんが「ここは天然の博物館なんです」と愛おしそうにおっしゃるのも、納得の空間だった。これから迎える紅葉、そして新緑の時期も美しいだろうなと思いを馳せる。きっと水量によってもまったく違う表情をみせてくれるのだろう。赤目四十八滝の自然には、水と同じように、とどまることなく変化しつづける景色がある。

 

 琵琶滝のまえで、瀑声に耳を澄ましながらのお昼ごはん。滝は音の楽しさもくれる。30分かけて百畳岩まで戻り、長坂山へのトレッキングコースへ。この道ができるまでは、行きと帰りは同じみちで歩く選択肢しかなかったのが、違う眺めを味わいながらゴールすることもできるようになり、ハイカーにとっては楽しみが2倍になった。

 長坂山トレッキングコースは2時間余りの登山。標高差は200mほど。急登には手すりやロープが設置されていて、宮本さんをはじめコース開通のために尽力された方々の気遣いを強く感じた。

 

 急坂を登って、いったん緩やかな山道になったところが、里見峠ビューポイント。続く針葉樹の森は、すくっと立つ樹々から差し込む光が美しい。ふかふかの足元の腐葉土からは、きのこがたくさん顔をだし、楽しい鑑賞会に。尾根は広葉樹の森へと続く。植生の変化にも縦走の楽しみがぎゅっと詰まっていた。

 

     

 いったん林道へと下り、再び山道へ。道標には「パノラマコース」と書かれている。下から見上げていた屏風岩の縁を周回しているのだそうだ。長坂山の手前にあるビューポイントからは、ついに、赤目渓谷を眼下に見ることができた。山の凸凹を目で辿り、ついさきほど歩いた渓谷をおさらいするように上から眺めた。

 原生林の山肌を縫って流れる川。すると思い出がぐんと立体的になってゆく。この豊かな森のどこかで生まれた一滴の水が、山肌をつたって水の流れとなり、沢となり、川となり、そして滝を作っている。

 ……そう思うと、今日、渓谷と山の両方を楽しめたことで、ひとつの小さな世界をまるごと旅することができた気持ちになった。

 

長坂山のルート開設にも携わっていらっしゃるので、赤目四十八滝エリアを熟知されていて、知識豊富!!
いっしょに歩かせていただき、好奇心をそそるような案内をしてくださいました。また、とにかく、赤目エリアを愛されているんだな、という印象で、やっぱり“愛情”がいっぱいある方といっしょに歩くのは、とても楽しかったです。
赤目四十八滝は「平成の名水百選」「日本の滝百選」「森林浴の森100選」などに選ばれている。
4kmにわたり様々な滝を見ることができる散策路は往復3時間程度。
本文にあるように長坂山を歩く場合は、百畳岩から下山口まで2時間半をみておこう。
ガイドマップは、赤目四十八滝公式サイトで閲覧・ダウンロードすることができる。
渓谷の環境保護、清掃、安全管理のための入山料(大人400円、小人200円)を収めよう。
ガイドの相談はエコツアーデスク(tel 0595-64-2695)で。自然の魅力をもっと知ることができる。
長坂山トレッキングコースは、地形上、双方通行困難な箇所があるため、渓谷側(百畳岩)からの一方通行となります。

 

 

 

 



info:瀧自慢酒造
〒518-0464 三重県名張市赤目町柏原141
TEL 0595-63-0488
営業時間:13:00~18:00
  (土・日曜日は、10:00~18:00)
定休日:月曜(臨時休業あり)

オーガニックやマクロビオティックなどのナチュラル系カフェが続々とオープンしている名張エリア。
自然が豊かで、旬の美味しい食材が身近な名張ならではのスポットで、山も麓も楽しもう!

 


info:cafe sanaburi
〒518-0613 三重県名張市上小波田218-1
TEL 0595-48-6936

営業時間:10:00~22:00(21:00 L.O)
定休日:毎週日曜(日曜以外の祝日は営業)
info:土の香市場 ハラペコあおむし
〒518-0613 三重県名張市上小波田1810-6
TEL 0595-67-0155

営業時間:10:00~18:00
定休日:年末年始

名張は、伊賀牛、伊賀酒、伊賀米などが名産品。
お土産を買い求めるなら「まちの駅なばり『とれたて名張交流館』」が便利。
日帰り温泉「癒しの里 名張の湯」も併設されている。
観光協会のウェブサイトには観光パンフレット(PDF版)もある。


まちの駅なばり「とれたて名張交流館」
  開館時間:3月-10月 9:00~18:00
        11月-2月 10:00~18:00
        (年末年始休み)
TEL:0595-62-1755

今回の取材で泊まったのは、赤目四十八滝から車でわずか5分、山の自然に囲まれた渓谷沿いにある、和風造りの閑静な宿「湯元赤目山水園」。四季折々の旬の食材をていねいにあしらった食事と、天然ラドン含有率が高く、弱アルカリ性で肌がすべすべになる人気の温泉宿。自然に囲まれた天然温泉は、内湯のほか、露天風呂、家族風呂で楽しめる。

湯元温泉 山水園
〒518-0464 三重県名張市上赤目町柏原1203
*近鉄赤目口駅からの送迎サービスあり。要問合せ
TEL 0595-63-1034
26室。駐車場50台。

http://akame-sansuien.jp