まだ冷たい風が吹き付ける季節だが、春は着実に近づいてきている。陽の光は明らかに強くなり、日中は暖かさを感じることも増えてきた。
高い山を見上げれば、まだまだ雪がタップリと積もり冬の様相だが、この時期にいち早く春を感じる山もある。
そこで今週は、冬から春へ季節が移ろうとする早春のこの時期に、春を満喫できる山を6つ紹介する。
登山愛好者のみなさんは、登山中のどんなときに春の訪れを感じるだろうか? 1つが花の開花ではないだろうか? いち早く花が開く花といえば、ウメ、フクジュソウ、セツブンソウなど。そんな可憐な花を楽しめる山をまず紹介。
そして、もうひとつが陽だまりが一層あたたかい場所だ。春の暖かな日差しが一層強く感じる場所ということで、海と空の青に包まれた山を紹介する。
千葉県南房総市の通称「花嫁街道」は、冬~早春のハイキング場として人気が高い。花の産地として知られる周辺は冬でも温暖で花が彩る。3月初旬には菜の花や河津桜が楽しめるだろう。
また、登山道中も海の展望が美しい。波間に多くのサーファーが海を楽しむ姿を眺める一方で、登山道中は幽玄な雰囲気の渓流や滝を楽むこともできる。さらに登山後の海の幸はぜひ、味わいたい。
なお、花嫁街道の名前は、かつては山間部から温暖な海辺の村に嫁ぐ花嫁が通った道ということで名付けられている。
高低図
埼玉県の四阿屋山は標高700m程度の山だが、フクジュソウ、セツブンソウ、アズマイチゲなどの早春の花が揃って咲く場所として知られ、早春のこの時期は人気が高い山だ。
フクジュソウは2月上旬から3月中旬に咲き、同時期にロウバイ(蠟梅)も咲き、少し送れて2月下旬~3月中旬にセツブンソウが見頃を迎える。さまざまな花の開花時期が重なる3月初旬がとくに人気の時期だ。
なお、四阿屋山周辺は、フクジュソウやセツブンソウ後も、アカヤシオツツジやシャクナゲ、ハナショウブなどの名所としても知られるので、春はいつ行っても楽しみが多い山だ。
高低図
埼玉県の宝登山の山頂周辺にある「梅百花園」は約470本、170品種の梅を楽しめることで知られる。品種の多さでは関東一とも日本一とも言われている。このため、冬が最も賑わう山となっている。
梅の開花は1月上旬からロウバイの開花が始まり、その一段下に広がる梅林で梅の開花が始まり3月初旬~中旬には満開となる。なお、開花情報は、長瀞観光協会のホームページで確認できるので、こちらで状況をチェックしよう。
なお、梅の開花が終わった後もサクラやツツジやシャクナゲと続き、ファミリーハイキングにはオススメな山だ。
高低図
神奈川県湯河原町は、冬でも温暖な気候に恵まれ、まだ寒い2月・3月にハイキングをするには良い場所だ。南郷山・幕山付近は、梅林、温泉、海の展望に海の幸、さらにはクライミングや史跡めぐりもありと楽しみも多く、さまざまな目的で早春ハイキングができる場所だ。
南郷山からは眼下に真鶴半島が美しく、その先に広がる相模湾と初島が輝いてみる。周辺は源平合戦の石橋山の合戦の地でもあり、南郷山山頂から少し下った場所にある窪地の池「自艦水」は、戦いに敗れた源頼朝が自害を決意した(が従者に止められた)場所とされる史跡だ。
幕山公園の梅林は1月下旬~3月中旬が見頃になる。
高低図
福井県・敦賀半島には、心地のよい縦走路がある。半島の背骨に走る蠑螺ヶ岳(さざえがだけ)・西方ヶ岳は、敦賀湾と若狭湾の展望が美しい、海の絶景が楽しめる縦走を楽しめる場所だ。
アルペンムード漂う登山道の眼下には、入り組んだリアス式海岸、サンゴ礁の島ように浮かぶ水島、天然記念物のオウム岩など、標高以上の楽しみと絶景が広がる。
日本海側なので冬型の気圧配置の影響を受けるが、比較的温暖で3月には雪の心配は少ない。
高低図
鈴鹿山脈の藤原岳は、フクジュソウの自生地として知られる。平地では2月中には咲き始めるフクジュソウ、雪深い鈴鹿山脈で開花が始まるのは3月中旬くらいから。
石灰岩質の台地上の山である藤原岳は、フクジュソウに限らず春にはさまざまな花を咲かせ、花の百名山にも数えられる。
なお、フクジュソウはは聖宝寺コースの五合目付近、八合目より上部、稜線に出ての天狗岩方面などで幅広く群生する。
8合目付近や稜線の群生地は、積雪状況によっては、まだ周囲や登山道中に雪が多く残る時期。残雪とフクジュソウを楽しめる貴重な場所となっている。早い時期に花を探しに行く場合は、雪に対する装備も用意する必要がある。
高低図