| 谷川岳登山指導センター
2024.03.12
積雪が増えました。雪が落ち着くまでは注意が必要に思われます
雨降りの中で登山をするのは、やはりオススメできない。安全面で考えればリスクが大きいし、そもそも気分が乗らない。
梅雨空で景色が見えなければ山の魅力は半減どころではないし、足元が濡れば不快だ。予定を組むなら、雨の心配が少ない7月まで待っておきたいもの。
しかし梅雨に重なる頃が最適期という山は少なくない。雨により雪解けが進む時期でもあるので、高山植物は雪の下から一斉に花を咲かせる。また、希少種の花が花開くのは梅雨の頃の場合が多い。
そこで今週は、梅雨時期に適期を迎える山を9つ紹介する。梅雨時期限定の楽しみがあったり、見頃の草木が梅雨時期に重なったりとさまざまだが、いずれも出来れば晴れ間が広がった時にこそ行きたいのは当然だ。
天気予報と気圧配置などとにらめっこしながら、良いタイミングを見計らってほしい。
6月の中旬頃、谷川山系の平標山の稜線あたりは、「天空のお花畑」と呼ばれるほど、高山植物が一斉に咲く。
ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、イワカガミ、ヨツバシオガマ、ハクサンシャクナゲ、チングルマなど、初夏を彩る高山植物が斜面を彩る。
平標山へは平標山登山口から往復で6時間程度、平標山乃家経由で周回するコースを使うなど、コース選びも豊富だ。時間と体力があれば平標山から、さらに東に稜線を進んで仙ノ倉山まで足を伸ばすこともオススメしたい。初夏の花を思う存分堪能できる、稜線歩きを楽しめる。
高低図
| 谷川岳登山指導センター
2024.03.12
積雪が増えました。雪が落ち着くまでは注意が必要に思われます
6月の八ヶ岳は、雨さえ降らなければオススメだ。2000mを超える標高ながら、積雪の少ない山域なので、6月にはほぼ雪が融けている。そして、雪解けの下からは、高山植物が芽を出し花を咲かせ、アルプスなどより1ヶ月近く見頃を迎えるからだ。
この時期に咲く花で、とくに注目したいのがツクモグサ。八ヶ岳の横岳周辺ほか、北アルプス・白馬岳、利尻岳などでしか見られない、超希少種の花だ。
ツクモグサの花は、太陽が照りつけないと花が開かないので、なかなか開花した姿を見ることが出来ない。ぜひ、こちらのコラムを参考にしながら、ツクモグサに会う山旅に出かけたい。
高低図
| 硫黄岳山荘
2023.12.24
積雪は標高2500m付近で5~20cm前後、夏沢鉱泉周辺で5~10cm。冬山登山装備が必要です
| 赤岳天望荘
2022.06.23
急な雷雨があるので早めの行動をおすすめします
日本2位の高峰、南アルプス・北岳周辺にだけに咲く花として、知る人ぞ知る花「キタダケソウ」。雪解けすぐの梅雨時期のみ限定の花で、花季も短い。
夏の山でよく見かける高山植物、ハクサンイチゲに似ているが、葉や花びらをよく観察すると、その違いがわかる。ぜひ、見分けるポイントを学んでから探して欲しい。なお、見分けるポイントは、こちらのコラムを参考にして欲しい。
雨の中の北岳登山は辛いが、梅雨時期はキタダケソウ以外にも多くの花が咲く時期でもある。
なお、この時期の北岳登山は、残雪が残っている箇所が多い。とくに大樺沢方面は残雪が多く残り難易度が高く危険も多い。草すべり(白根御池側)ルートからのアクセスが楽だ。
高低図
| 南アルプス市 北岳山荘
2023.10.26
食事の提供は10月31日宿泊まで、11月の営業は素泊まりのみです。朝の気温は氷点下です
| 白根御池小屋
2019.11.05
白根御池小屋は営業を終了いたしました。冬期期間は2階を無料で開放しています
南アルプスの北端に位置する入笠山は、スズランの山として有名だ。入笠山のスズランの開花時期は、梅雨時期の前半となる6月初旬~下旬当たりとなる。
入笠湿原・御所平は、約100万本のスズランが咲き乱れる。ゴンドラ山頂駅すぐの「入笠すずらん山野草公園」はドイツスズランが約20万本咲く。
なお、スズランの時期の入笠山は、他にも多くの花が咲く時期だ。日本すずらんの群生地となる入笠湿原、山頂からさらに大阿原湿原まで足を伸ばして、美しい緑と花を楽しみたい。
ゴンドラを利用すれば、時間も体力も余裕ができる。梅雨の晴れ間を狙って、ゆっくりと山頂や周辺の湿原・お花畑を堪能したい。
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岩手県の早池峰山は、約200種類の高山植物が生育する、国内屈指の花の山として知られている。多くの固有品種が咲くことでも知られるが、せっかく行くなら、やはり「ハヤチネウスユキソウ」の時期に行ってみたい。
ハヤチネウスユキソウとは、ヨーロッパアルプスに咲くエーデルワイスと似ている花で、早池峰山のみで見られる。花季は7月初旬から下旬あたり。東北地方では梅雨の後半と重なる時期で晴天率は低いが、雨に濡れる花もまた美しい。東北の美しい花の山を堪能してほしい。
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梅雨時期の後半、6月下旬あたりから8月初旬、日本では北アルプス・白馬岳周辺や八ヶ岳の横岳・硫黄岳、そして礼文島あたりのみで見られる花がウルップソウだ。
千島列島の得撫島(ウルップ島)で発見されたため名付けられたこの花は、氷河期に南下して高山でのみ生き残ったとされる希少種だ。
白馬周辺では、希少な花とは思えないほど多くの姿を目撃できる。先に紹介した、ツクモグサと同じ時期・場所で見られることもあるので、運が良ければ、希少種の花を一挙に楽しめるかもしれない。
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雪解けが進み、湿原の雪が消える梅雨の終盤から開ける頃の新潟県・火打山は、ハクサンコザクラが咲き乱れる。ハクサンコザクラは高さは15cmほどの小さな高山植物だが、ハート型のピンクの花弁が美しく、緑の湿原に映える美しい花だ。
火打山中腹の高谷池や天狗の庭周辺の湿原や池塘の周辺に大群落を作り、残雪の山にピンク色のジュウタンを敷くように咲く。
残雪が消える頃の火打山は、ハクサンコザクラ以外にもたくさんの花を楽しめる。湿原に揺れるワタスゲに癒やされながら、さまざまな自然を堪能したい。
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東京都・秋川渓谷の近く、武蔵五日市駅より徒歩1時間弱の場所にある、南沢あじさい山は、梅雨時に訪れたい山の1つだ。
土地の所有者の南沢さんが育て上げたアジサイは、約1万本。アジサイが花咲く6月~7月初旬は、色とりどりのアジサイが楽しめる。なお、南沢あじさい山は協賛金として入山料が500円(2017年現在)かかる。
駅からも近いので雨の日でも安心して歩ける場所だ。また、周辺の「山抱きの大樫」「千年の契り杉」などを訪れるのも楽しい。こちらの記事も参考にしてほしい。
もっとたくさん歩きたい登山者であれば、金比羅尾根を登り、麻生山、日ノ出山方面へと縦走すると良いだろう。
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愛知県岡崎市の京ヶ峯周辺は、ホタルの里として知られる場所だ。山の東麓にある「鳥川ホタルの里」は、美しい清流が流れるゲンジボタルが生息する場所として知られる。「岡崎市ホタル学校」の施設ではホタルについて学んだり、さまざまな保護活動に触れることが出来る。
京ヶ峯の登山コースには20もの小ピークがあり、それぞれ地元の小学生が名づけた、かわいらしい山名がついている。日中はこれらのピークをめぐりながら、夜はホタルの鑑賞を楽しみたい。
ゲンジボタルが光を放つ時期は5月下旬から6月下旬と短い。
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