| 甲斐駒ヶ岳 七丈小屋
2024.03.15
晴天続いていますが強い西風が続き雪質は締まってきました。万全の装備と余裕を持った計画で
「日本三大急登」をご存じだろうか? 「谷川連峰・西黒尾根、北アルプス烏帽子岳・ブナ立尾根、南アルプス甲斐駒ケ岳・黒戸尾根」(諸説あり)と瞬間的に答えられる人は、これらの登山道を経験したことがあるに違いない。
長い急登を汗水流し、気合と根性を振り絞って、延々と登った先にある素晴らしい景色と充実感。この何とも言えない感情を味わったことがあれば、急登もまた良し、と思うのではないだろうか?
急なだけの登山道なら、色々な場所にある。しかし、精神的にダメージを受けるほどの長さ・標高差・斜度を持つ登山道は、山の大きさによるものが大きいので限定される。
今週は、一度は経験しておきたい(けど2度は勘弁?)な、急登な登山道を10コース紹介する。
選抜には議論もあると思う。急登と呼ばれ、数字的にも精神的にも、もっと凄い登山道は数多い。ぜひ、みなさんが考える「自分史上三大急登」はどこかを聞いてみたい。
「三大急登」と言われる登山道の中でも、圧倒的な標高差を持つのが、甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根だ。登山口の尾白渓谷から甲斐駒ヶ岳山頂までの標高差は、約2200m。ほぼ一本調子で続く急登の尾根道は、相当の体力と精神力を要する。
人気コースなので登山道はよく整備されているが、暑い夏に登るとなると、相当に体力を消耗する。しかし、その苦労に報いるだけの充実感と景色が待っている登山道でもある。
高低図
| 甲斐駒ヶ岳 七丈小屋
2024.03.15
晴天続いていますが強い西風が続き雪質は締まってきました。万全の装備と余裕を持った計画で
| 北沢峠 こもれび山荘
2022.04.12
2022年度の営業は4/25~10/31。南アルプス林道バスも4/25から運行予定
北アルプスの裏銀座縦走をするなら、一般的にはこの尾根を登ることから始まる。標高差は1300mに満たない規模なので黒戸尾根に比べると半分強だが、地図を確認すると等高線の詰まり具合が激しく、その急登さが伺える。
ブナ立尾根には、登山口を「0」、烏帽子小屋を「12」とした標高差100mを目安とした番号札があるので、どの程度登ったかがわかる仕組みになっている。
目安となる番号が、精神的な支えとなるかどうかは登山者次第だが、いずれにしても大変な登りであることには変わりはない。
高低図
もうひとつの日本三大急登が、谷川岳・西黒尾根だ。標高差こそ1160mと、ほかの2つに比べると少ないながら、短い距離にさまざまな要素がギュッと詰まっている急登だ。
前半はひたすら樹林帯の急登を登り、後半は岩場や鎖場を通過すれば、4時間程度で登りきることが出来る。ただし、ほかの急登に比べると標高が低いぶん、夏の時期は厳しい暑さとの戦いにもなる。
谷川岳登山は、天神平までロープウェイを使って、天神尾根で登るのが一般的だが、敢えて厳しい西黒尾根を使って登る価値十分の急登だ。
高低図
一般的な登山道の中で、アルプスの中で最も標高差のある登山道として挙げられるのが、ここ剱岳・早月尾根だ(国内最大はおそらく富士山の御殿場口登山道)。
登山口となる馬場島から剱岳山頂の標高差は、実に2240m。距離も長く、後半は岩場も続く、長く厳しい急登の尾根道だ。
一般的には早月小屋で一泊してから登るので、1日で一挙に2240mを登りきる人は少ないが、日帰りで往復してしまう強者もいる。ちなみに馬場島⇒剱岳山頂の標準コースタイムは8時間30分(休憩含まず)。じっくり安全に無理せず登って欲しい急登だ。
高低図
中央アルプスの中で最も手強い急登と呼び声が高いのが、空木岳・池山尾根だ。駒ヶ根高原から登ると標高差は約2010m、マイカーなどで池山林道終点から登っても、1500m以上の標高差を登ることになる。
途中には「大地獄」「小地獄」という、名前からして恐ろしい岩場も待ち受け、コースタイムも片道で約6時間30分のロングコースだ。
宿泊場所が限られるので、日帰りでトライする人も多いが、長く厳しい急登では何が起こりかわからない。じっくり安全に登っておきたい急登だ。
高低図
日本三大急登のほかに、北アルプス三大急登と呼ばるものがある。すでに登場している、早月尾根とブナ立尾根が数えられるが、もう1つがここ燕岳・合戦尾根だ。
北アルプス縦走の入門コースと言われる燕岳だが、合戦尾根は標高差約1260mと決して楽ではない。しかし、多くの登山者が登り、歩きやすく整備されていて、途中にベンチや合戦小屋などの目安や休憩スペースがあるので、精神的には心強い。
北アルプスの急登入門コースとしては適したコースとなる。
高低図
北アルプス三大急登には、さまざまな諸説があるが、先に挙げた「早月尾根、合戦尾根、ブナ立尾根」以外の“諸説”の中にあがってくる登山道の1つが、この赤岩尾根だ。
大谷原から赤岩尾根分岐(冷乗越)までの標高差は1360m程度だが、このコースの厳しさは林道終点の西俣出合から冷乗越が非常に急登なことだ。取り付きからハシゴが現れる急登で、約2.6kmの距離で標高差約1200mを稼ぐ登山道は非常に急峻。
鹿島槍ヶ岳に登るには最短の登山道だが、多くの人は柏原新道経由で登っている。使うとしても「下り道」として使う人が多いようだが、ぜひトライして欲しい急登だ。
高低図
南アルプス・白峰三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)を縦走するとなると、コースは広河原⇔草スベリ⇔北岳⇔間ノ岳⇔農鳥岳⇔大門沢下降点⇔奈良田を通るのが一般的だ。
もちろん、広河原から行っても、奈良田から行ってもどちらからでも良い。ただし、いずれも厳しい急登が待ち受けている。
白根御池経由(通称:草スベリ)からだと、北岳まで標高差約1670mを一挙に登ることになる。その真ん中にある白根御池小屋までも・からも、いずれも急登がひたすら続き辛い。
一方、奈良田からとなると、農鳥岳までは2010mの標高差となり、さらに長大。前半が長い林道歩きで、大門沢小屋を過ぎてからが本格的な急登が続く。
どこで泊まるのか(大門沢小屋、農鳥小屋、北岳山荘、北岳肩の小屋、白根御池小屋)も含めて計画を立ててトライしたいが、登山記録から見ると多くの登山者は広河原⇒奈良田のルートを選んでいるようだ。
高低図
| 南アルプス市 北岳山荘
2023.10.26
食事の提供は10月31日宿泊まで、11月の営業は素泊まりのみです。朝の気温は氷点下です
| 大門沢小屋
2018.04.10
2018年の営業は 7月1日〜10月中旬を予定。今年から予約はwebメールか山小屋へ直接電話でお願いします。
| 白根御池小屋
2019.11.05
白根御池小屋は営業を終了いたしました。冬期期間は2階を無料で開放しています
これまで挙げた、急登の登山道にいきなりトライして、キツくて途中敗退では悲しい。トレーニングをして体力・メンタルの両面を鍛えておきたいという場合は、谷川連峰・白毛門への挑戦をオススメしたい。登山口の土合橋からの標高差は約1040mと手頃だ。
樹林帯の中をひたすら一本調子に登り、何度もニセピークに騙されてガッカリさせられるので、精神的には十分に鍛えられる。山頂に到着してからの谷川岳方面の景色も美しく、爽快感・充実感も抜群だ。
さらに精神的に鍛えたい場合は、電車で行くと良い。地下駅の土合駅から地上に出るには、462段の長い階段を登る必要がある。この階段の登りだけでも、相当メンタルが鍛えられるはずだ。
高低図
山形県側から飯豊山に登るには、さまざまな選択肢がある。丸森尾根、梶川尾根、さらには石転ビノ沢という選択があるが、最短で一気に登れるのがこのダイグラ尾根だ。ほかの登山道は、迂回して登るために1日目で飯豊本山に立つのは難しいが、ダイグラ尾根なら真っ直ぐに飯豊本山を目指せる。
しかし、その分厳しい登りを強いられる。スタートすれば途中に宿泊できる場所はなく、一気に山頂に登りきって、さらに本山小屋まで進むしかない。その間の標準コースタイムは9時間45分、つまり登り始めたら引き返すか登り切るしかない! 引き返すタイミングは難しいので、判断力も必要になる。
ちなみ標高差は、飯豊山荘から約1700m・距離も10km超となり、非常に長く急だ。一般的には下山のために使う登山者が多いようだが、健脚自慢な人は是非ともトライしたい急登だ。
高低図