エルキャピタンをフリークライミングで登りたいとか、ヒマラヤの大きな壁も登りたい
これはミスですね。アイススクリューがあたれば、なんであれ切れてしまいます。しかし、壁に肩をこすりつけ、全身を使ってチムニーを抜けたあとも、ジャケットもパンツも切れた箇所以外はちっとも摩耗していなかったんです。あれだけチムニーに身体を押し付けて登ったのに。これには驚きました。
動きやすさを追求すると生地がしなやかになり、軽さも必要です。けれど、アルパインクライミングには、耐久性も重要。その相反する要素が見事に両立されていて、このウエアは安心して使えるなと思いました。
今回発表になったアイガーコレクションの新作は、おそらくこの冬のシーズンインで着用することになりそうです。だいたい12月ごろ、八ヶ岳など登りなれたところで足慣らしをするのが常です。いまから、新作のアイガーコレクションを着用して冬のルートを登るのが楽しみです。
この先、どんなクライミングをしていきたいですか。
周りにすごい人たちがたくさんいるので、以前は「早くみんなと同じレベルで登りたい」と夢中になっていました。けれどいまは、もう少し気持ちが落ち着いています。誰かがあのルートを登ったから僕も、というのではなく、自分が見てカッコいいなと思えるルート、山を登りたいですね。そういう山を、自分で見つけられたら幸せです。
具体的に思い描くものもあります。エルキャピタンをフリークライミングで登りたいとか、ヒマラヤの大きな壁も登りたい、5.14を登りたい、トラッドもやりたいとか。あれもこれもやりたいと思うタチですが、どれもひとつのところへつながっていくと思っています。経験を積んでいくのは、たやすくないし、時間もかかります。けれどひとつひとつの経験が僕のクライマーとしての土台を作ってくれ、やがてもっと大きな壁に登れるようになるのかなあと考えています。