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スマートフォンが普及し、高度、気圧だけでなく、位置情報、降雨情報などの情報を入手し、確認しながら活動することが増えてきた。
ところが、フィールドでの活動中、大きくなる一方のスマートフォンでは、取り出しに「もどかしさ」「煩わしさ」を感じたことはないだろうか。
そこで登場したのが「スマートウオッチ」なのだが、ほとんどが街での使用を想定していて、水濡れや衝撃に弱いなど、アウトドアフィールドには不向きだった。
G-SHOCK、PRO TREKなど、フィールドでもタフに使える腕時計のノウハウ持つCASIOから、「アウトドア仕様のスマートウオッチ」が登場した。
スマートフォンの情報収集力とアプリケーションを利用しながら、フィールドであっても見やすい「腕時計の位置」に整理して表示させ、さらに衝撃や、水濡れにも強い。そんな理想を追求したのがCASIOの「Smart Outdoor Watch WSD-F10」なのだ。その機能や使い勝手を紹介しよう。
方位、高度、気圧など、従来のアウトドアウオッチでも搭載されていた機能だが、スマートウオッチの液晶表示のため、色彩豊かな表現が可能で見やすい。
スマートウオッチは、スマートフォンとの連携で初めてその力を発揮する。CASIOがアウトドアユーザー向けに開発したアプリ「CASIO MOMENT SETTER+」で、予め設定した数値や、指標を腕時計に「お知らせ」することができる。
例えば、「消費カロリー◯◯kcalごとにお知らせする」などは、補給タイミングを逃さず、シャリバテ、ハンガーノックを避けるためには有効なお知らせ機能だ。従来の高機能腕時計では実現しえない、スマホの情報処理能力を活かした高度な機能連携といえる。
特に行動中、トレッキングポールを持っている時などの場合は、いちいちスマートフォンを出さなくても、スマートウオッチにお知らせが表示される。スマートフォンを取り出す「もどかしさ」「煩わしさ」から解消され、アクティビティに集中できるだろう。
アウトドアフィールドでの使用を想定している「WSD-F10」には、定評のあるアプリがプリセットされている。スマートフォン側のアプリと連動し、さらに高度な使い方を提供する。
ここでは登山・トレッキング向きのアプリを2つを紹介。これらのほかGoogleが提供する各種アプリやサービスにも対応している。ストアからAndroid Wear対応アプリを自由にインストールすることもできる。
「GO雨! 探知機」 by 日本気象協会
身のまわりの雨の様子が表示される気象レーダーアプリ。現在地を中心に周囲の雨量情報が見やすく表示され、今後の雨予測にも活用できる。過去15分以内の落雷情報も確認可能。
現在地の周囲5kmまたは10km(選択可能)がどの程度の雨量なのかを把握でき、また今後雨が来るかを予測する目安にもなる
「YAMAP」 by SEFURI INC.
携帯圏外でも使える地図アプリ「YAMAP」。スマートフォンから予め登山地図を転送しておけば、スマートウオッチに地図を表示させることができる。地図上に現在位置が示され、スマートウオッチの画面サイズながら、驚くほど見やすい。スマホを取り出さなくても、すぐに地図と現在地が確認でき、道迷いを防ぐうえでも有効。
地図上に現在位置とログが表示されているのがわかる
アウトドアで使う腕時計として、頑丈さ、タフさは絶対条件。G-SHOCKブランド、PRO TREKブランドで培った技術で、落下、振動、湿度、氷結や高温下・低温下での動作など、米軍国防総省の「MIL STANDARD 810G」10項目をクリア。
さらに雨中での登山や、釣り、カヌーなど、水回りのアクティビティでの使用も想定し、5気圧防水を実現。スマートウオッチであっても妥協せず頑丈なボディになっている。
長くPRO TREKを使ってきて、普段はアナログのPRW-6100やPRX-8000、デジタルのPRW-3100を、山行によって使い分けています。
スマートウオッチで最もよかった機能は「YAMAP」。自分の位置が指し示され、進むべき方向がわかります。実際に、谷筋の地形がわかりにくい樹林帯でガスに巻かれたとき、地図とコンパスでは同定しづらかったなかで、この地図表示で道に迷わずに済みました。ガイド中、お客さんに見せたときも、腕時計の画面サイズながら「結構見やすい」、という声が上がりました。
何百万人の登山人口のうち、常に地図とコンパスを見ている登山者は二割に満たないでしょう。スマホでもスマートウオッチでも、地図を見るとっかかりのハードルを下げて、地図を見ることの楽しさを知り、そこから「地図読み」などの登山技術を学ぶのもよいと思います。
現状のスマートウオッチは、情報の入力よりも、情報を取り出すことに向いているようです。今後は使えるアプリが増えていくでしょう。スマホにクライミングのトポを入れて、スマートウオッチで見るとか、ビーコンやトランシーバーの役割を持たせるとか、可能性は広がっていると思います。
一方で、道具が便利になって情報量が増えていっても、判断するのは登山者自身です。そこを見誤らなければ、道具はどんどん進歩してほしいと思っています。
山岳ガイド・花谷泰広さん
1976年兵庫県生まれ。山岳ガイド。
幼少時から六甲山で登山に親しみ、信州大学山岳会で本格的に国内外の登山経験を積む。
2012年、ネパールのキャシャール南ピラーを初登攀。その功績が評価され、翌2013年に第21回ピオレドール賞を受賞した。
長年PRO TREKを愛用、2014年からPRO TREKのアンバサダーとなる。
2015年より公募により選抜されたメンバーとともにネパール・ヒマラヤの未踏峰に挑む「ヒマラヤキャンプ」を主宰。2016年の挑戦が9月下旬よりスタート。
first-ascent.net
価格:70,000円(税別)
サイズ/重量:61.7×56.4×15.7mm/93g
タッチパネル:静電容量式タッチパネル
防水性能:5気圧防水
電池寿命(使用環境によって変動):
カラー液晶のみ使用:約1日以上
カラーとモノクロ液晶を組み合わせて使用:約2.5日以上
無線:Bluetooth、Wi-Fi
動作環境:以下を搭載したスマートフォンが必要
Android:Android 4.3以上を搭載したスマートフォン
iOS:iOS 8.2以上を搭載したiPhone 5以降のモデル
※iOS接続時には使える機能が制限される
0570-088922
(月曜~土曜 9:00~17:30、PHS、IP電話、公衆電話からは03-5334-4957)