1914年、森と湖の国、スウェーデンのダーラナ地方の湖畔に建つ小さな小屋で、ヴィクトル・ホグロフはバックパックづくりを行なっていた。シンプルだが、機能的でタフなそのバックパックは、森林業者や鍛冶職人などの間で人気となり、地域に広まっていった。これがホグロフスの始まりだ。

　‘16年には工場を設立し、規模を拡大。’50年頃には、フレーム入りのバックパックを発表し、アウトドアバックパックブランドとしての地位を築いた。’70年代後半からは、アウトドアウェアやギアの製造にも着手し、数々のエポックメイキングなアイテムをつくり出し、世界に名を知らしめた。

　登山家や冒険家、またウィークエンドキャンパーにまで支持されるホグロフスの製品づくりの根底には、「新しい素材の選択からさまざまな工夫、洗練されたアイデアをもとに、良質なプロダクトを可能な限りシンプルに、必要なものを必要な形でつくる」という創業者ヴィクトルの信念がある。100年以上経った今もなお、このクラフトマンシップをもとに、ファンクショナルかつミニマムなデザインの製品づくりが行なわれている。

　「リザードⅡジャケット（LIZARD ⅡJACKET）」は、「Ⅱ」と名称にあるように、リザードジャケットの二代目となる。初代はホグロフスを象徴する人気アイテムだったが、2014年の販売以降、カタログから姿を消していた。そのリザードが今シーズン、さらにパワーアップして帰ってきた。

　リザードⅡジャケットは薄手のソフトシェルだ。登山やハイキングはもちろん、クライミングやデイリーユースにも向く。また、雪山から夏山まで、シーズンを通して使えるのもこのジャケットの特徴だ。雪山や夏の3000m峰ではミッドレイヤーや保温着として、クライミングやハイキングではアウターとして使える。

　この汎用性の高さの秘密は、オリジナルのノンメンブレン素材「FlexAble」を採用した生地にある。4wayストレッチの抜群の伸縮性を持ち、撥水性や防風性も優れている。また、生地の厚みが絶妙で、保温メインのソフトシェルよりも薄く、ウィンドシェルのような極薄ソフトシェルよりも厚みがあるため、ミッドレイヤーやアウターレイヤーとして使えるのだ。

　さらにディテールについても見てみよう。

　シルエットは、初代よりも、よりタイトにフィットするよう改良されている。袖は少し短くなり、より日本人の体形に合うデザインとなった。ホグロフスのラインアップでは珍しく、フードがないのは、近年のヘルメットユーザーの増加に対応してのことだ。

　ファスナー付き胸ポケットは、初代は圧着だったが、Ⅱでは刺繍ポケットへと改良された。同一素材となったことで、より伸縮性が高まり、動きやすくなった。

　随所に細かな配慮もなされている。肩や身頃、腕は、他のウェアやハーネスとの干渉を軽減するため、縫い目をずらすオフセットシームが施されている。さらに、脇下に透湿性の高い生地を採用し、蒸れを軽減するとともに、軽量化を達成。また、フィット感の高い袖口や、片手でクイックに調節できる裾のドローコード、ファスナー付きのハンドウォーマーポケットを装備するなど、ストレスのない着心地が実現されている。

　4シーズン、幅広いアクティビティに対応する万能ソフトシェル「リザードⅡジャケット」。登山の中・上級者はもとより、初心者も一枚持っているとレイヤリングの幅が広がるはずだ！