ミレーの定番ザックSAAS FEE(サースフェー)を斬る
定番中型ザック選び

 日帰り登山や小屋泊まりなど、なにかと出番の多いのが、容量30〜40L程度のザック。登山を始めて最初に購入するのは、この中型ザックだろう。複数個所有したり、買い替えたりする中・上級者も少なくない。もっとも売れ筋の容量だけに、各メーカーともラインナップが豊富だ。登山用品店へ行けば、中型ザックがずらりと並んでいる。中でも、雨蓋式の2本締めデザインは定番で、価格は2万円前後。サイドポケット付きで、最近はレインカバー付属のものが増えている。生地厚や堅牢さによる重量の違いや、バックパネルの形状、ポケットの数などに差があるものの、「横並び」と感じる人も多いだろう。

 しかし、一見同じように見えるザックも、ブランドやモデルごとに使用される素材や設計が異なる。ポケットのマチの取り方ひとつを比べても違いがある。細かい部分、見えないところに、各ブランドのコンセプトやザックづくりへのこだわりが反映されている。そんな小さな違いが、登山中の機能性や使い勝手、快適性に大きな差を生む。「定番の中型ザックはどれも同じ」ではないのだ。

ミレーのザックづくり

 ミレー(MILLET)は1921年にフランスで誕生し、1950年には人類初の8000m峰の登頂を支えるザックを提供。その後も、多くの登山家や冒険家の偉業をサポートし、信頼のザックブランドとしての地位を築いた。ミレーは素材や設計の小さな違いが(本当は大きな違いなのだが…)、機能性や快適性、しいては安全性にまでつながることを熟知しているのだ。

 現在ではウェアや靴なども手掛ける総合的なマウンテンブランドに成長したが、ザックを起源とするだけに、ザックづくりにかける情熱やノウハウは並ではない。最新の革新的な技術や素材を取り入れた商品開発を推し進めると同時に、世界最古の山岳ガイド協会「シャモニーガイド協会」と提携し、プロガイドのフィードバックを反映。また、登山用ザックに求められるものの真髄、「安全性」と「快適性」を損なわないよう、手抜きをしない堅実なザックづくりを行なっている。

 これらの伝統や技術、職人気質によって生み出されたミレーの定番中型ザックが「サースフェー(SAAS FEE)」だ。

「サースフェー」のこだわり

 ミレーのザックに対する考え方は徹底している。「ザックは丈夫でなくてはならない」というものだ。登山中にザックが破損すると、行程の遅れや山行の中止、あるいは命を危険にさらすことさえある。このため、使用する素材には軽さばかりを求めるのではなく、十分な耐久性があり、万が一破損しても、それ以上ダメージが広がらないもの、あるいは他のパーツを使うことで、そのダメージを補うようなバックアップとなる機能を採用している。

 このこだわりはサースフェーで使用される生地にも表れている。570デニールと840デニールの強靭なコーデュラナイロンの糸を、強度の高い織り方で、さらに丈夫な生地に仕上げている。流行りの極薄生地とは違い、とても安心感がある。

 コーデュラナイロンは、素材コストが高いが、引き裂きや摩擦に強く、仮に穴が開いても、それ以上裂けにくい性質を持つ。また、裂け目がボロボロにならず、直線的なので、応急処置や補修もしやすいという。

 写真は、メイン生地を切り裂いてみたものだ。初め、フォークで引っ掻いたり、突き刺してみたが穴は開かなかったので、ハサミで5cmほど切り裂いた。裂け目をさらに素手で切り裂こうとしたが、相当力を入れても裂け目が広がることはなかった。ちょっとやそっとでは破損せず、安心・安全に、長く使える定番ザック、それがサースフェーなのだ。

 ミレーのザックづくりへのこだわりは、見えない部分にも隠されている。例えば、サースフェーのパッド部分。一般的に、ショルダーハーネスやヒップベルト、バックパネルは、クッション性に優れ、体にフィットして背負い心地がいいのはもはや当たり前。ミレーはその先を考えた。パッド部分は濡れると保水して重くなり、また、一度濡れると乾きにくかった。濡れたパッドは体を冷やす。翌日まで濡れたままのことも多く、シャツが濡れるのが嫌で、晴れているのにレインウェアを着るはめになることも。濡れないのが最良だが、登山では汗をかくし、悪天時はザックカバーをかけていても、ザック背面はどうしても濡れてしまう。そこで、パッド部分に保水しにくく、素早く乾く素材を採用することにしたのだ。

 写真はヒップベルトを解体したもの。内部は2層構造になっている。黒いフィルター状のものは、クッション性がありつつも保水しない立体網目構造のフォームだ。通気性があり、エアコンの室外機などにも使用される上質なもので、嫌な臭いが発生しにくく、クッション性がへたりにくいのが特長。黒いフォームの下の白いものは疎水性のEVAで、クッションと芯材の役割を果たしている。これらが、ヒップベルト、バックパネルに採用されているため(ショルダーはEVAのみ)、通気性がよく、、濡れてもすぐに乾き、快適な背負い心地が長く維持できるのだ。

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サースフェーのポイント
全面&背面のフォルム

 日本の気候や日本人の体形に合うよう、本国フランスと日本とで共同開発されたサースフェーは、耐久性と快適性を備え、機能と使い心地を追及したオールラウンドに使える中型ザックだ。背面には空気の通り道をつくったエアコンフォートシステムを搭載。雨蓋は取り外し可能で、ヘルメットが収納できるよう、エクステンションスカートは深めに設定されている。大小9つのポケットも装備する。ユーザーの意見から生まれたヒップベルトポケットは、コンデジなどを入れることを考慮し、クッション性がある。一時的に肩の荷重を軽減し、腕を休めるハンドレストも健在。サイズ(背面長)は、S(43cm)、M(48cm)、L(51cm)の3サイズが用意されている。

その他の機能

2気室&1気室可変式
ファスナー開閉式の間仕切りがあり、2気室でも、1気室でも使える。ボトムの荷物に素早くアクセスできる。

折り畳み式チェストポケット
左のショルダーハーネスには、スマホを入れるのに重宝する収納可能なチェストポケットを装備。

専用レインカバーが付属
専用レインカバーが付属する。背面を横にまたぐようにストラップで固定できるため(赤矢印)、風が強くてもばたつかない(写真左)。ザックカバーを被せる際、誤って風で飛ばされないよう、ザックカバーが固定されている(写真右)。

価格面で妥協することなく、厳選した上質な素材を使用

サースフェーでは、他社ではなかなか採用していない、コストのかかる素材を使っています。他社のザックを解体して比較する、といった研究も行なっています。価格面で妥協することなく、厳選した上質な素材を使い、見えないところまでしっかりつくるのがミレーのポリシーです。サースフェーのファーストクラスの背負い心地と使い勝手を、ぜひ体感してください。

「サースフェー」のラインナップ

メーカーサイトへ >>

ミレー/サースフェー 30+5
価格:21,060円
(本体19,500円+税)
サイズ:M、L
容量:30+5L
重量:1,470g
カラー:4色

ミレー/サースフェー 40+5
価格:22,680円
(本体21,000円+税)
サイズ:M、L
容量:40+5L
重量:1,540g
カラー:3色

ミレー/サースフェー 28+5LD
価格:21,060円
(本体19,500円+税)
サイズ:S
容量:28+5L
重量:1,430g
カラー:3色

ミレー/サースフェー 38+5LD
価格:22,680円
(本体21,000円+税)
サイズ:S
容量:38+5L
重量:1,490g
カラー:2色

快適なドライ感と動きやすさを生み出す革新的なアンダーウェア

24時間ずっと着続けられる驚異の透湿性を持つレインウェア

耐久性と快適性を備え、どんな山行にも使える定番中型ザック

ミレーウェブサイト:http://www.millet.jp/
ミレー店舗一覧:http://www.millet.jp/find-a-store/