残雪の上を安全に歩く
夏山でも高山なら必須のテクニック 残雪の山での歩き方
アイゼンなしでの歩行
厳冬期は、雪が固くパックされたり氷化したりで滑りやすいため、アイゼンを履いて登ります。
いっぽう残雪期にはカチカチの雪面は減り、日差しのある日中には雪がやわらかくなってアイゼンの出番は減ります(ただし朝夕など冷え込むときや、標高の高い山では油断禁物)。
アイゼンは足に重りをつけているのと同じで筋疲労につながるので、スリップすると危険な箇所だけで使うようにしましょう。
登山靴で雪上を安全に歩くのは雪山歩行の基本。この基本をしっかりマスターしておきましょう。
ふだん歩いているような地面を蹴る歩き方だと、雪上では滑ってしまいます。ソール全体を雪面に一歩ずつフラットに置くような歩き方をするとよいでしょう。
トラバース(斜面を横切る)の際はソールの山側のエッジをきかせると滑りにくいので、急斜面では斜面に正対してつま先やかかとを蹴り込んで登り下りする「キックステップ」を使いましょう。ただし、不安を感じるなら、速やかにアイゼンを使用しましょう。
以下にアイゼンなしでの歩行のテクニックについて図解で紹介します。
◇フラットフッティング
摩擦が少ない雪面で滑らないように、接地時は雪面にソール全体がつくように足を下ろす。そして蹴り上げない。
◇トラバース
登山靴の山側エッジを雪面に食い込ませる。谷側の足はややガニ股にするとバランスをとりやすい。
◇キックステップ(登り)
ピッケルと片足で斜面に立ち、もう一方の足を、ひざを支点に後ろへ振り上げ、つま先を蹴り込む。
◇キックステップ(下り)
やや前のめりの体勢で、かかとを強く踏み下ろす。つま先が水平よりもやや上を向く角度でステップを作ること。