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春の山には、生命の躍動感が満ちあふれています。まずは里山や丘陵のハイキングコースへ行ってみましょう。太平洋岸の低山など、温暖な気候の山域では3~4月にかけて、春の花との出会いが楽しみです。
低山では5月に入ると若葉が萌え、歩くと汗ばむ陽気になります。高気圧と低気圧の交互の通過によって、3~4日周期の天気に。高気圧に広くおおわれると晴天が数日続き、さわやかな山歩き日和となります。
2,000mを超える山々では、5月でもまだ雪山です。登山初心者には厳しい環境なので、雪のない山を選びましょう。
また、太平洋岸の低山でも、春先に低気圧が日本の南岸を通過するときには注意が必要です。雪が降ることがあるからです。
緑が深み増す6月。大陸の冷たい高気圧と南の暖かい太平洋高気圧によって梅雨前線が生じます。山歩きに不向きながら、レンゲツツジ、シャクナゲの群落のある山には、多くの登山者が訪れます。標高1600m前後に位置する尾瀬ではようやく雪がとけ、ミズバショウの季節を迎えます。
梅雨が明けると、2000~3000m級の高山も、いよいよ夏山シーズンを迎えます。低山で山歩きに慣れたら、本格的な登山にチャレンジ。
高山では夏が短く、8月もお盆を過ぎると、秋の気配を感じるようになります。
夏季の山歩きでも防寒対策、雨具の備えはしっかりと行いましょう。真夏でも長時間、雨にあたると体温を奪われ、低体温症になる恐れがあるからです。
また、梅雨時期の登山は、いつでも行動を中断できるコースを選ぶのがポイントです。
なお、山は地形が複雑なため、午後は天気が変わりやすいものです。雷雨には十分に注意して計画・行動する必要があります。
澄んだ青空に鮮やかな紅葉――、一年でもっとも彩り豊かな表情を見せてくれる季節です。
9月下旬頃からは天気も安定し、3000m級の山々は秋本番に。有名な涸沢の紅葉は10月の体育の日前後にピークを迎えます。
11月になると、冬型の気圧配置になり、高山では雪の山になる。関東や東海、西日本の太平洋岸は晴天が続き、落ち葉を踏みしめて歩く晩秋の低山歩きが楽しい季節となります。
秋の序盤は台風通過や秋雨前線による長雨で山歩きに不向きの日もあります。台風通過後も秋雨前線への刺激によって、局地的な大雨のおそれもある季節です。
北海道、東北、日本アルプスの3000m級の山々の山頂や稜線では、10月初旬~中旬には降雪があり、かなりの積雪となることもあります。防寒対策をおろそかにすると遭難の危険を招く場合もあります。
晴天率が高く、空気が澄んで展望がよい季節。関東、東海、西日本の太平洋岸の標高300~800m程度の低山ならば降雪量が少なく、天気やコースを選べば、おだやかな山歩きを楽しめる。展望が効く場所を選べば夏にはない展望を楽しめることも。
高所では積雪が増して、スノーシューハイキングなどの遊びも可能だが、本格的な雪山は登山経験を積んだベテランの世界と心得よう。
冬型の気圧配置になると日本海側や内陸部の山では、強い寒気と降雪に見舞われます。1月中旬以降には、日本の南岸を通過する低気圧が太平洋岸の低山にも雪をもたらすこともあるので注意が必要です。
降雪後は、谷沿いや北側斜面に雪が残るので、南を向いた尾根コースを選ぶのが山行計画のポイントです。
なお、冬期は日が短い季節なので、15時くらいには行動を終えるような計画を立てなければなりません。日帰りでもヘッドライトを携行するのがポイントです。
山では標高が1000m上がるごとに気温は約6℃下がります。例えば、標高0mの平野部に対して、標高2000mの山頂では12℃、3000mでは18℃も下がります。平地で30℃ある日でも、標高3000mでは単純計算で12℃。初冬の日中くらいの気温になります。
たとえ真夏でも、高山ではフリースなどの防寒着が欠かせません。風があると肌で感じる温度はさらに下がります。山での防寒対策は風も考慮して備えをすることが肝心です。
Step2 コース選びのポイント | Step4 登山の基本装備 |
四季折々に美しい表情を見せる自然との出会いは、山歩きの醍醐味です。同じ山でも季節を変えて訪れてみると新しい発見や感動があります。
いっぽう、山歩きは気象条件に大きく左右されます。四季を通じて楽しむためには、季節ごとの自然の魅力とともに、気象の特徴を知っておくことも大切です。