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20180624_守るべき小さな奇跡_空に咲く花を求めて三ノ峰・別山

三ノ峰、別山( 東海・北陸・近畿)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

快晴

登山口へのアクセス

マイカー
その他: カーナビには「鳩の湯」もしくは「小池公園」をセットするのがよい。国道158号を通って、勝原駅付近から林道に入る。林道は車一台分の道が20kmほど続くが、基本、舗装されていて走りやすい。林道の一番奥にある上小池駐車場を目指す。上小池駐車場は、2から30台程駐車可能なスペースを持つが、人気の場所だけに直ぐに一杯になる。手前にも上小池野営場にある駐車場や10台レベルであれば駐車も可能だが、綺麗なトイレもあり、登山口に一番近い、上小池駐車場がやはりお勧め。

この登山記録の行程

上小池駐車場(04:19)・・・三ノ峰登山口(上小池コース)(04:36)・・・六本檜(05:26)・・・剣ヶ岩・・・三ノ峰避難小屋(07:17)・・・三ノ峰(07:23)・・・別山平・御手洗池(08:01)・・・別山(08:30)(休憩~09:00)・・・別山平・御手洗池(09:19)・・・三ノ峰(10:00)・・・三ノ峰避難小屋(10:06)・・・剣ヶ岩・・・六本檜(11:14)・・・三ノ峰登山口(上小池コース)(11:56)・・・上小池駐車場(12:13)

コース

総距離
約15.8km
累積標高差
上り約1,923m
下り約1,921m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

どうしても今週末に行きたい山があった。いや本当はできれば先週に行きたかったくらい。家の用事があり今週も無理かと諦めていたが、急きょ、フリーになった。天気予報は快晴。そうなるともう行くしかない。よし、三ノ峰・別山に行こう!ワクワクが止まらない。
同日、いつもの山仲間が白山に行くとのこと。皆にも会いたかったので、市ノ瀬起点で三ノ峰から別山を巡り、白山の山頂で合流しようかと目論む。そうなると相当早く出発して時間を稼がないといけないと思い、少しの仮眠で眠りもそこそこに車を走らせる。
でも、向かっている途中に気が変わり、どうしても上小池コースから登りたくなったので、勝山には抜けず大野から鳩の湯を目印にハンドルを切る。ここはソロの気軽さだ。
新しくなった鳩の湯を通り過ぎ、上小池キャンプ場を更に抜けて、上小池駐車場に着いたのは4時過ぎ。まだ薄暗いというのに既に10台以上の車が停まっていた。今日の日の出は4時半頃。急ぎ準備支度をする。
4時19分、装備の最終チェックをして歩き出す。駐車場の奥にある登山届用のポスト脇から山道に入る。ただし、5分程度で森を抜け、直ぐに林道に合流し、しばらくは林道歩きとなる。10分程で登山口の看板前に立つ。ここから先は本格的な登山道になり、尾根の六本檜を目指して一気に斜面を登っていくことになる。ずいぶん昔に、職場関係で登山企画を頼まれ、車2台のグループでやって来たのを思い出した。今見ている看板の前で、使用前(登山前)と使用後(下山後)の写真を撮ったのを覚えている。企画上は別山までの往復。でも、山登りを始めたばかりの人も含まれていたため、さすがに別山は無理だろうと予想していた。それでもせめて三ノ峰だけでも踏ませてあげたいと、しんがりを務めならが、ハラハラしながら皆の歩きを見守っていた。結果、予想通り別山には遠く及ばなかったものの、なんとか三ノ峰からの眺望は楽しんでもらうことができた。使用後の写真にはボロボロにくたびれた姿が写っていたが、それでも皆の顔には充実した笑みがとても印象的だった。ちなみに、その時の一人が、今や仲間の中でもトップクラスのスピードを持つ立派な登山家になっている。なんとも頼もしい話だ。
日の出を過ぎ、空もだいぶと明るくなってきたが、森の中はまだ薄暗く昨日の雨でぬかるんだ場所もあるので慎重に歩く。ボーっと白く輝くものが地面にあった。銀竜草だ。幽霊茸の別名の通り、今にも消えそうに白く浮き上がっている。サンカヨウの大きな葉には、既に花の季節も終わり青くブルーベリーのような実がなっていた。食べられないことはないらしいが果たして味はどうなのか?!いつも思うが食べる勇気はない。
今日は気温もかなり上がるとのこと。太陽が昇りきる前に尾根に出てしまおうと一気に高度を上げる。ひんやりした空気がとても気持ちが良い。登山は早朝に限る。
六本檜に到着。尾根沿いの登山道に合流。とてもきれいに整備された登山道だ。白山に向かっている仲間は今頃どの辺かと携帯を入れるが、あいにく圏外で連絡が出来なかった。もう少し進んで森林限界を超えれば電波も入るだろう。
尾根沿いの道は歩きやすく、スピードが乗っていく。所々にササユリやニッコウキスゲが出迎えてくれるようになった。ニッコウキスゲの黄色い花は、単純に綺麗というだけじゃなく、見ているだけでとても元気なエネルギーを与えてくれる。
緩やかだった尾根沿いの道もいつしか空に向かって延びる険しい道へと変わっていく。ここからは、剣ヶ岩へ向かっての急登の連続となる。自称、急登ハンターとしては望むところ。一歩いっぽ登るたびに景色が大きく変化していくのがなにより楽しい。
右手には石徹白から続く白山信仰の登山道が見える。一ノ峰から三ノ峰にかけてこちらも素晴らしい登山道だ。振り返ると大長や赤兎も見える。早朝に登って来た甲斐もあり、周囲には誰もない。登山道からの絶景を独り占めだ。
さて、忘れてはならない。今日はある目的でここにやってきた。ザックを下ろし、カメラを手に持ち替えて草むらをかき分け入っていく。。。一目見てわかる特徴的な姿。出会えた!と心が躍る。高貴な僧侶の袈裟のような鮮やかな紫に、提灯のようにまん丸とした愛らしいフォルム。どうしたらこんな不思議な花が出来上がるのだろうか。真っ先に提灯を連想したが、昔の人は侍が戦の時に後方からの矢を防ぐためにつけた武具「母衣(ほろ)」に見立て、そこに平敦盛の名前を重ねて「アツモリソウ」と名付けた。
アツモリソウは、絶滅危惧1A類に指定されている花で、栽培も難しいことから「幻の中でも幻の花」と呼ばれている。ましてや自然界で自生が確認されているのは、長野県・山梨県・福井県の3県しかないらしい。そのうちの福井県の自生株が今目の前にある。しかも、たったの2株。しかし、平敦盛を名前に冠するだけあって、厳しい現実をものともせず、まさしく武将のように実に凛々しい立ち姿だ。なぜこんな場所に?と思うようなところに、他の植物に負けじと立派な花を咲かせている。今ここに咲いている奇跡を守らなくてはいけない。来年も、また再来年も。同じ場所に咲いてくれるよう奇跡を繋いでいかなければならないと思う。あちこちで貴重な植物の乱獲や盗掘が問題視されているが、厳しい自然の中で咲かせてこそ花。そんな花を自分の欲だけで刈り取ってよい訳がない。できれば、単純に隔離するだけではなく、この花を求めて楽しみに登ってくる人がいる以上、むしろ、多くの人に愛でて見守ってもらえるようなそんな保護の仕方がないものかと思う。また、来年も会えるよう願いを込めつつその場をそっと離れる。
三ノ峰の山頂に到着。残雪が残るゼブラの別山が見える。御手洗池の周辺にはこのシーズンさぞかし綺麗な花畑が広がっていることだろう。はやる気持ちで三ノ峰からの最初の下りを駆け降りていく。三ノ峰から別山まではアップダウンがそこそこあるが、日本アルプスの縦走を思わせるようなスケール感が大好きだ。
いきなり風景が変わり目の前に草原が広がる。別山平だ。ここまで来ると別山ももう間近。目前に大きくそびえている。その手前には小さな池「御手洗池」があり、その水面にも大きな別山が映っている。これぞ逆さ別山。今日は天気がいいので、いつも以上に美しさが際立つ。ここで一人の山ガールと出会う。大阪からピンポイントで別山を目指して来たとか。「どうして、白山じゃなく別山なんですか?」と聞くと「以前、白山から見た別山がとにかくカッコよくて、忘れられなかった」とか。うんうん、よく分かる。そう、白山(特に黒ボコ岩のところ)から眺める別山は格別に美しい。ツウな一言に、まるで自分の事を褒められたかのように嬉しくなる。
さぞ別山平にはニッコウキスゲで埋め尽くされて黄色一面かと思っていたが、残念ながらむしろ三ノ峰手前(剣ヶ岩)の方が数は多かった。でも、代わりに僅かながらハクサンコザクラが楽しめた。
最後の急登を登ると、小さな祠があって別山の山頂となる。霞んではいるが御岳山や乗鞍もよく見える。さっき通って来た御手洗池を見下ろした後、白山が見える特等席に腰を下ろす。まだまだ雪が多く残っている。白山とはよく言ったものだ。室堂の赤い屋根。御前峰もくっきり。今日の山頂はきっと最高だろう。
コーヒーを沸かして、白山を眺めながらゆっくりとした時間を楽しむ。そういえば、別山に初めて来たのも今の山仲間の一人(リーダー)とだった。それまではソロ活動が基本だったが、ガシガシ登る力強い歩きが一緒に登っていて楽しくて、それ以来、行動を共にしている。仲間で歩く楽しさや山のことも多く教わってきた。その仲間もいつしか増え、そして今、そのメンバーは目の前の白山を登っている。ひょっとして甚之助を過ぎたあたりだろうかと想像すると、急に会いたくなって、「じゃ、ひとっ走り挨拶してこようか」みたいな気分になる。そう思うと大きな白山がまるで箱庭のように見えてくる。
とは言え、行は良いが帰ってこれなくなるので、今日はひとまず楽しそうに登っているであろう仲間にエールを送りつつ、別山を後にする。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 平敦盛ってアゴが大きかったのでしょうか?懐かしい風景の先が、こんなになっているとは。

  • アゴが大きかった訳でもなく、ドラえもんみたいに丸顔だった訳でもなく。(^-^)
    でも、愛らしい花だねー。

  • 同じコースだったんですね
    三ノ峰から御手洗池の間位ですれ違ってるんですね
    すれ違っても気が付かないものですね
    会うのなら赤坂山かなと考えていたのですが
    まさかここで会うとは思ってもみなかったのでびっくりです

    天気も良く花も沢山咲いていて良かったです
    そんな貴重な花が咲いていたとは知りませんでした
    今度は見逃さないようにします

    最近の写真を一枚貼って貰えると顔を思い出すのに
    私は夜叉が池のレポートにあるので
    今度会ったら声掛けて下さい

  • あれ?kuronekoさんの記録の日付が月曜日だったと思ったのでニアミスと書いたのですが、同じ日曜日だったのですか。じゃ、本当に出会ってますね。嬉しいです。が、自分も全く気が付きませんでした。写真、YAMAPの方にでも貼っておきます。自分は灼熱の夏山でも雪が舞う冬山でも年中同じ格好しているので分かりやすいですよ。(^-^)
    比良山系とかできっとお会いできると思っていたのですが、まさかまさかの別山とは。山も狭いですね。きっと近いうちにまた会えますね。その時は今度こそ挨拶させて下さい。(^-^)

  • 沢山の花の写真、堪能しました。別山はチブリ尾根より三ノ峰からの方が楽しめますね。今日は明日に備えて休養日です。(^-^)

  • 明日は晴れるといいですね。自分も今日は珍しく大人しくしています。(^-^)

登った山

別山

別山

2,399m

三ノ峰

三ノ峰

2,128m

よく似たコース

三ノ峰 石川県 岐阜県

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最適日数
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白山三山のひとつ、高山植物も多く人気の山

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別山・三ノ峰 別当出合から砂防新道・鳩ヶ湯新道で上小池へ

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