登山記録詳細

無雪期登山
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東大巓(滑川温泉)2018 東大巓(東北)
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記録したユーザー

ブナ太郎 さん
  • 日程

    2018年10月8日(月)

  • 登山口へのアクセス

    マイカー
    その他:奥羽本線板谷駅からは細い道ですが舗装されています。滑川温泉福島屋の手前200mほどのところに3台ほど止められるスペースがあります。

  • 天候

    晴れのち曇り

この登山記録の行程

滑川温泉(6:18)・・滑川大滝(6:42)【休6分】・・薬師森分岐点(9:04)【休15分】・・明月荘(11:06)【休3分】・・東大巓山頂(11:40)【休37分】・・弥兵衛平湿原散策・・明月荘(12:59)・・薬師森分岐点(14:31)【休5分】・・滑川大滝(15:33)・・滑川温泉(15:46)


総距離 約16.2km 累積標高差 上り:約1,277m
下り:約1,277m
 東大巓(標高1928m)は地味な山である。田中澄江の花の百名山に選ばれているのだが、ここを訪れる人は多くはない。東の一切経山と西の西吾妻山の中間部に位置し,吾妻連峰の中では存在感に欠ける。山頂がどこにあるか分からない山容もあってそれほど人気が高くはないのだろう。白布温泉方面からロープウェイとリフトで登れば、起伏の少ない山道を歩いて2時間足らずで山頂に着くため、登高刺激も少ない。
 だが、この山の魅力は滑川温泉や姥湯から登って初めて味わえるのではないかと思う。特に滑川温泉からのルートは、滑川大滝を見下ろす景観美、ブナやダケカンバの黄葉、オオシラビソの森、鉱山開削時代のレールや吊り橋などの歴史的遺物、広大な湿原、吾妻連峰の展望など変化に富んだ山歩きが楽しめる。

 午前5時30分に滑川温泉に着く。朝食を摂って,温泉周辺を歩いてみる。沢の奥に秘湯温泉の福島屋が建っている。風情のある眺めである。車は温泉の駐車場には止められないので、200mほど下流の空き地に止める。ここには3台程度駐車できるが、その他に駐車できる場所は見当たらない。
 6時8分に歩き出す。登山道入口は福島屋の裏側にあり、吊り橋を渡って登山道に入るらしい。ところが、吊り橋が封鎖されている。貼り紙によれば、老朽化により平成27年から使用禁止になったようだ。
 吊り橋を渡らずに対岸に渡る方法を探ったが,沢は水量が多く,大きな岩が転がっていて,手がかりはまったく探せない。下流に下ってみたが,登山道周辺には接続点もないようだ。
 諦めて車に戻る途中で,浴衣姿の宿泊客に声をかけられた。沢を渡ることができるルートがあるという。渡渉点は、わたしが車を止めたところから30mほど上流で、よく見るとピンクのリボンが結んである。対岸の森の入口には道らしいものも見える。このルートは旅館の人に教えてもらったということで、おそらく福島屋に泊まらなければ,自力で発見することは困難だろう。
 渡渉は,水量の割には比較的楽だった。森に入ってすぐに、しっかりした道を発見した。これを進んでいけばよい。時計は6時20分。いったんは諦めかけた東大巓をめざし,歩き始める。今日はついているようだ。
 ブナとミズナラの森をゆるやかに登ると,左手下に福島屋が見えてくる。封鎖されている吊り橋も見える。吊り橋からの道が交わり,そこから登山道は山腹をゆるやかに巻く。直線が長く,傾斜もきつくないので,とても歩きやすい。
 と,登山道にカモシカを発見した。距離は十数メートルである。若いオスできれいな毛並みをしている。手を叩いたり,声を出したりしたけれども,まったく逃げる素振りはない。しばらくのあいだお見合いし,3分程過ぎたころにカモシカはゆっくりと斜面を登っていった。
 ゆるやかな登山道を歩き,6時42分に滑川大滝を見下ろす展望台に到着した。紅葉まっさかりの山並みを背景に,滑川大滝は水量豊かに流れ落ちている。絶景とはこのような景色を指すのだろう。
 ここから登山道は山腹を横切るように進む。道は狭くなり,右手は谷に向かって切れ落ちている。対岸を見ると燃えるような紅葉が迫る。下を流れる大滝沢の水音が響いてくる。
 登山道には鉱山開削時の線路があった。そのまま放置された機材や,使われなくなった吊り橋,鉄塔も残っている。登山道は鉱山の軌道を利用しているのだろう。
 このあたりから登山道は大分荒れてくる。崩れた所が数カ所,倒木は頻繁に現れる。崩落したザレ場もある。平成27年に,滑川温泉の吊り橋を封鎖してから後は,ほとんど手入れがなされてはいないようだ。背丈と同じくらいの笹薮が繁茂し,途中,10分程度の藪漕ぎを余儀なくされた。せっかくのいいルートなのだが,このままでは数年後に廃道になってしまいそうだ。
 いくつかの沢を横切る。硫黄の匂いがする沢もあった。ここで5分ほど休んで,9時4分に姥湯分岐点に着く。ここから潜滝まではほんの数分である。潜滝は岩を円柱形にくり抜いたような空間を流れる不思議な滝である。
 潜滝からは,これまでのトラバース道は一変して,急な登りとなる。10分ほど登ってザレ場に飛び出すと,正面に東大巓が見える。優美な山並みである。裾野にはブナの黄葉が,奈良の大仏の螺髪のようにこんもりと塊になっている。ここからは手前に見える岩峰のような峰に向かって沢を横切り,ダケカンバの林を抜けて急斜面に取り付く。森はオオシラビソに変わる。
 登山道は階段状に続き,途中,オオシラビソの大木が道を塞いでいる。回り込んで道を探し,ようやく登山道に戻った。急登が続き,ここが正念場だと観念して黙々と登ると,やがて木道が出てくる。笹薮は相変わらず濃く,木道はほとんど隠れた状態である。ここも刈り払いはされていないようで,濡れた木道に乗ると滑りやすく,慎重に歩いた。
 10時46分,金明水に着く。ここで水を補給し,小休止を取る。間近に東大巓の頂が見える。ここまで登れば,後は山頂湿原の木道歩きを楽しむだけである。空は雲がかかってきたが,湿原のあたりは青空である。
 11時6分に明月荘に着き,中を覗いて,また木道に引き返した。木道は湿原の中をややカーブしてオオシラビソの林に消えている。その先には東大巓のなだらかな山容が顔を出している。右手には西大巓から西吾妻山に連なる山並みも見える。
 11時40分,東大巓の山頂を踏む。どこが山頂か分からないような小突起で,見晴らしもない。ただ,山頂の杭と三角点があるだけである。山頂には長居せず,家形山方面に足を伸ばす。ここからの風景は伸びやかですばらしい。草モミジとオオシラビソの森,そして遠くに福島の市街地も見える。
 ここで一人昼食を摂り,絶景を一人占めした。今日は単独の男性に追い抜かれただけで,他の登山者の姿は見ていない。東大巓はやはり地味な山である。
 12時17分に下山を開始する。湿原を通り,明月荘から先の池塘や湿原を散策し,20分で明月荘に戻る。ここからは元来た道を下る。
 14時31分に姥湯分岐点を過ぎ,15時33分に滑川大滝に到着した。ここから滑川温泉までは,もう十数分の距離である。ブナの林をつづら折りに下って,15時46分に朝に渡渉した沢を,石飛で渡って車に戻った。

登山中の画像
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秘湯滑川温泉手前の駐車場
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一軒宿の福島屋
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福島屋の先に吊り橋があるが・・
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吊り橋手前の沢
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平成27年から閉鎖・通行止め
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下流を渡渉(ピンクのテープが目印)
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登山道に入り、吊り橋を見る
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ゆったりした道を行く
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美しいカモシカに遭遇
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滑川大滝
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日本の滝100選に選ばれている
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紅葉がすばらしい
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ナナカマドの実
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対岸の紅葉
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青空に映える
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トロッコの軌道跡
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しっかりした道もあるが・・
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鉱山開削時の遺物
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沢を横切る
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ブナの二次林
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ところどころにある懐かしい標示
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対岸は紅葉のさかり
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紅葉のアップ
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滝を見下ろす
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渓谷美を味わう
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稜線は錦に
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紅葉のアップ
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崩落した登山道
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クロベの大木
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クロベの大木(その2)
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トロッコの軌道跡
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水場?
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硫黄の匂いがする沢
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潜滝
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ザレ場
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東大巓を望む
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ブナとダケカンバの黄葉がすばらしい
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錦織りなす山裾
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急登をしのいで稜線に出る
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振り返ると雲が湧いてきた
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高層湿原へ
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明月荘手前から東大巓を見る
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明月荘
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明月荘の内部
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オオシラビソとナナカマド
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湿原の向こうに東大巓
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明月荘方面を振り返る
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ここを右に登ると東大巓山頂
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東大巓山頂
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吾妻連峰の山並
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東吾妻山が大きい
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明月荘へ戻る
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明月荘が見えてきた
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池塘を巡る
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弥平衛平湿原
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大きな池塘
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明月荘に戻る
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下山する
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笹藪に埋もれた木道が顔を出した
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ナナカマドの赤
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滑川大滝
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午後は曇り
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